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行政文書・公文書管理の電子化・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/07/03

行政文書・公文書管理の電子化・実施事例【自治体事例の教科書】

5G時代は目前であり、6Gすらその先に控えている現代の情報化社会の中で、国や地方自治体による行政サービスにおいても、当然電子化の流れが加速度的に進んでいます。元来は「紙」の書類によって遂行されてきた役所関係の様々な手続も含めて、新しい時代に対応するために多くの地方自治体が様々な模索を行っているのです。ここではその事例として三重県、岡山県、そして鳥取県の実証実験を紹介します。

【目次】
■三重県の電子決裁の推進について
■岡山県岡山市の「e!市役所実証実験」
■鳥取県の電子申請・電子決裁・総合文書管理システムの構築

三重県の電子決裁の推進について

・現状と問題点

総合文書管理システムの文書作成機能、いわゆる電子決裁を使用して行うことを原則にし、とりわけ保存期間5年未満の文書については、ペーパーレスの促進という面からも、できるだけ電子決裁を使用するのが妥当と考えられます。電子決裁は決裁履歴の管理や保存、文書消失のリスク回避など多くのメリットがあるので、より厳格な公文書管理を行うことが可能です。また、災害時などの事業継続性を担保するためにも非常に有効です。このような理由で危機管理の面からも電子決裁の活用を進めていく必要があります。ところが三重県の電子決裁利用率は約4%と少なく、近隣県との比較でも低い実績が現実です(愛知県63%、滋賀県50%)。

・地域連携部においての実証実験

電子決裁の推進に向けての実証実験を、三重県の地域連携部で行ったところ、電子決裁率が飛躍的に向上し、取り組みの成果を確認することができました。その概要は以下の通りです。
● 期間 : 平成24年10月1日~12月31日
● 対象者 : 336人
● 実施内容 : 「文書主任を集める定例会議の開催」「Q&A資料の全員配布」「各県民センターへの訪問説明の実施」等
● 電子決裁率5%(実施前)→49%(実施後)

・電子決裁の全庁的推進

全庁的に電子決済を推進するに際しての課題について関係部間で調整を進める中で、第一段階として以下のように電子決裁を推進することが決定しました。

1. 平成25年4月以降は、紙決裁と簡易処理は可能な限り使用せずに、電子決裁を使用します。ただし、以下の文書については当面の運用として必ず紙決裁での処理です。
● 公印の押印を要する文書
● 保存期間が5年以上の「歴史的価値のある公文書」

2. 平成25年度以降は、所属別の電子決裁利用率について定期的に情報共有を行います。各部局(各所属)は、利用率目標の設定・管理が必須です。

3. 平成24年度は「周知期間」と位置付けて、文書主任を中心とした承認者向けの操作研修、メルマガ配信などによって職員向けの意識啓発と手法の紹介・説明を行います。この間の電子決裁実施は、各部局の自主性に任せられるということです。

4. 今後の課題
● 職員及び組織としての危機管理意識について
災害時の文書消失リスクの回避、不適切な公文書管理や情報公開事務の防止、歴史的価値のある公文書の認識など、職員を含めて組織全体としての危機管理意識が必要であるため、定期的に啓発、研修等を行っていきます。
● 当面、紙決裁とした部分の取り扱いについて
三重県公文書管理規程、同運用通知及び公文書選別事務処理要領の整理ならびに現行総合文書管理システムの改修が整い次第、随時電子決裁への移行を推進していきます。
● 文書システムの改修予定について
文書システムは2年後に更新に伴っての再構築を予定していますが、それまでの間においても、業務効率化あるいは危機管理上必要となる項目などについて、改修のための予算調整を行っていきます。

岡山県岡山市の「e!市役所実証実験」

映像対話型電子申請・交付システムを使用した窓口サービスの実現にあたって、技術的検証や社会的評価を行うために、岡山県岡山市をフィールドとして一般の家庭からモニタを募って行う実証実験「e!市役所実証実験」が実施されました。この実証実験を行うために、システムを構築してその機能の実証を行うとともに技術的評価が行われました。その具体的な目的は、システムを実際の現場で運用することによる社会的な有効性の評価あるいは課題の抽出です。

・実証実験フィールドについて

この実証実験はFTTH(Fiber To The Homeの略=光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込むアクセス系光通信の網構成方式)の利用を前提としています。そのため実証フィールドとしては、100Mbps/1GbpsのFTTHが整備された岡山市地域情報水道実験エリアである岡山市の御南地区ならびに西大寺地区が選定されました。また、サービスを提供する窓口やサーバー、ネットワーク機器を設置するために岡山市の出先機関 24ヶ所を選定して、ファイバーにより相互接続されています。

・実証実験モニタについて

実証実験にあたり、自宅から実験に参加できる自宅モニタと公民館から実験に参加する一般モニタが募集されました。自宅モニタとしての要件は、岡山市地域情報水道実験モニタであり、すでにFTTHを導入している岡山市民です。また、一般モニタの要件は岡山市在住であることとされました。総モニタ数は情報水道モニタ、一般モニタの合計で231名(平成14年度実験開始時点)です。

・システムの概要について

実証実験エリア内のモニタ家庭を含めて、すべての施設に100Mbps/1GbpsのIPv6ネットワークが導入されました。IPv6について利用されたのは通信・放送機構のJGN IPv6サービスです。岡山市地域情報水道モニタの集約施設である御南地区、西大寺地区のエリアポイント、この実証実験のサーバーや基幹ルータなどを収容するデータセンター、岡山市地域情報水道のネットワーク機器やサーバー群の収容施設である岡山市地域情報水道NOC、岡山県のネットワーク機器やサーバー群の収容施設である岡山情報ハイウェイNOCを基幹ネットワークの拠点としてIPv6高速ルータが設置されました。そして、電子申請・交付や映像対話といった「e!市役所実証実験」サービスに必要となるサーバーがデータセンターと岡山市地域情報水道NOCに設置されました。

各モニタには個人認証のために使われる電子証明書を配付し、自宅モニタの家庭には映像対話や遠隔制御によって電子申請・交付及び相談ができるIPv6端末が設置されました。また、岡山市内の12ヶ所の公民館に、一般モニタが電子申請・交付、相談、生涯学習等を共同で利用するためのIPv6端末が配備されました。窓口には申請や相談の受付、端末操作の遠隔サポートなどが可能なIPv6端末が配備されたのです。

また生涯学習の配信及び受講を行うために、11ヶ所の岡山市出先機関に生涯学習受講用のIPv6端末が配備されました。平成14年度の実証実験の結果から、電子申請の課題であったA:デジタルデバイドの解消、B:オンライン化が困難な申請に対する対応、C:交付のオンライン化のうちBとCについては映像対話型電子申請・交付システムで実現可能である旨が実証できました。Aについてはこのシステムが情報弱者に対し安心感を与え、相談及び申請手続を重層的に行うことが可能であって、映像対話型総合案内システムや映像対話型電子申請・交付システムの実用化についての検討は十分意味があることが判明したのです。一方、市民の利便性を向上させる反面で、職員の負担が増加することもわかり、アンケート結果が示したのは、市民端末やユーザインタフェースの更なる改良の必要性でした。

鳥取県の電子申請・電子決裁・総合文書管理システムの構築

電子申請や電子決裁について多くのシステム開発事業者が様々な提案を行っています。一般的にはハードウェアやOSの種類、あるいはどれくらいのコストで構築するのかというシステム的な関心が中心です。鳥取県ではシステムを単なる業務の電子化に終わらせず、「お役所的」な業務の進め方を根本から見直して、職員の生産性、ひいては県民サービスの向上を指向した組織と変化するための改革であると位置付けています。

・従来型の決裁について

稟議は担当者によって起案され、次第に上へと階層を登ります。この間、多くの職員を経ますが、多大な時間を費やす割りに多くのミスが発生しているのが現実です。ミスを防止するために新たな審査部門・体制がさらに階層を厚くするという繰り返しが、現在の複雑な決裁体系を生み出していることを認識し、電子決裁システムの導入とあわせて、既存の業務体系を根本から見直していく必要があると鳥取県は考えました。鳥取県では電子決裁の導入に際して「一斉協議方式」のコンセプトを全面的に導入し、起案後は一斉協議を行います。一斉協議を受けた職員は、それぞれの職務に応じたチェックを行います。そして起案に対する審査や意見はコメント方式で入れられることになるのです。意思決定の階層は徹底して簡略化され、「協議」を明確に「審査」と位置付けて、意思決定とは区別します。これによって決裁は3段階に集約されることになりますが、同時に情報共有が一斉に行われるため、従来型の決裁に比較すると格段に迅速な流れとなるのです。

実現にあたってはまだまだ多くの課題を抱えていて、着実に解決していく必要があります。電子決裁の導入には、全庁的な認識の共有が不可欠です。鳥取県では副知事をリーダーとする「行政機能向上プロジェクトチーム」においても、電子決裁導入と業務プロセスの見直しを「最重要課題」と捉えて、課題の解消に向けた取り組みを推進しています。

〈参照元〉

三重県_電子決済の推進について
(http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000029993.pdf)

岡山県岡山市_5実験概要
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki//joho_tsusin/e_project/pdf/h15chihou_h_05.pdf)

鳥取県_鳥取県ホームページ
(https://www.pref.tottori.lg.jp/248170.htm)

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