全国の自治体トップ・職員・議員に贈る
自治体の"経営力"を上げる情報サイト
自治体通信Online
地熱発電事業について【自治体事例の教科書】

2020/07/20

地熱発電事業について【自治体事例の教科書】

火山国である日本にとって地熱発電は有力な再生可能エネルギーの1つです。我が国における地熱開発の取り組みを紹介します。

【目次】
■火山国である日本で注目したい地熱発電
■地熱発電の仕組み
■地熱発電のメリット
■地熱発電における課題
■地熱発電の開発について
■地熱開発に関する技術開発について

火山国である日本で注目したい地熱発電

地震大国として知られる日本は、火山の活動が活発です。火山の地下深部にあるマグマには膨大な地熱エネルギーが眠っており、これを活用することで地熱発電によるエネルギーを創り出すことが可能です。

日本は地下資源に乏しく、石油や石炭、天然ガスなどの燃料をほぼ海外からの輸入に頼っています。エネルギー自給率が16%あまりと他国に比べても極めて低い水準にある日本においては、エネルギーの持続的な安定供給のためにも、エネルギー自給率を高めていくことが必要です。世界の化石燃料資源も有限であるとともに、政治情勢や紛争、災害などにより、石油などの輸入に支障を来しかねないリスクが常に潜んでいます。

地熱発電は水力発電と並び、豊富な自然資源が活用できる、重要な再生可能エネルギーの1つで、利用価値の高いエネルギーに位置付けられています。

火山国である日本では戦後の早い段階から地熱利用が注目されてきました。

日本で最初に本格的に稼働した地熱発電所は、1966年に運転をスタートしており、現在では東北や九州を中心に展開されています。太陽光が当たる場所であれば、どこでも設置が可能な太陽光発電に比べ、地熱発電を行うには空中物理探査などの開発地点の掘り起こしが必要で、開発コストもかかります。しかし、安定して発電ができる純国産エネルギーとして、積極的な取り組みが進められています。

地熱発電の仕組み

地熱発電でエネルギーを産み出すには、約2,000mにおよぶ地下深部に150度を超える高温・高圧の蒸気・熱水が貯蓄される地熱貯留層が形成されていなくてはなりません。地熱貯留層が形成されるにはマグマの熱、容器となる帽岩、降水による水の3つの条件がそろう必要があります。

地熱貯留層が形成された場所を専門的な調査を通じて探し出し、地熱貯留層に生産井と呼ばれる井戸を掘削することが必要です。井戸を通じて蒸気と熱水を採取し、発電に使われる仕組みです。発電後の熱水は、還元井と呼ばれる井戸から、再び地熱貯留層に戻すことができ、長期間にわたって発電が可能となる循環資源の構築ができ、非常にエコなエネルギーといえます。

地熱発電のメリット

地熱発電は二酸化炭素の排出量がほぼゼロなので、地球温暖化防止に役立ちます。開発に向けた調査などは手間がかかるものの、 発電が始まると他の再生可能エネルギーに比べて発電のランニングコストが低いのがメリットです。気象条件に左右される太陽光発電や風力発電と異なり、昼夜問わず稼働でき、設備利用率が約80%と格段に高いのも有利な点です。

長期間にわたる供給が期待される、持続可能な再生可能エネルギーとして、化石資源が少ない日本では貴重なエネルギーで、現時点においても、日本は世界第3位の地熱資源を有しています。

地熱発電は地域への電気エネルギーの供給にとどまらず、熱利用もできます。発電に使った高温の蒸気や熱水を活用し、農家のハウス栽培や魚の養殖事業や地域暖房など多段階利用ができるのも大きなメリットです。

地熱発電における課題

地熱発電が可能な場所は、開発のハードルが高い国立公園に指定されている地域と重なるため、さまざまな調整が欠かせません。また、地熱発電の導入拡大を阻んでいる要因として、掘削成功率が低いこと、開発コストが高いこと、リードタイムが長いといった点が挙げられます。こうした課題に対して、資源エネルギー庁では、開発フェーズに応じた補助や出資、債務保証などによる支援を用意しています。

地熱発電の開発について

地熱発電が可能な場所を見つけるには、広域的な基礎的調査から次第にエリアを絞った高精度の調査を実施し、井戸を掘削して地熱貯留層を確認しなくてはなりません。

まず、第一段階の新規開発地点の掘り起こしとして空中物理探査を行います。これまでに北海道、東北、九州の計12地域で調査が実施されています。また、平成29年度には関東や中部を中心に3地域でも行われるとともに、平成30年度も3地域で実施されました。

次に、空中物理探査の結果、地熱ポテンシャルが見込まれる地点で、地下の温度分布を把握するためのヒートホール調査を追加で実施します。平成29年度から北海道、東北、九州のそれぞれで計3地点を皮切りにスタートさせ、平成30年度以降も継続的に行っています。新規有望地点で事業者が開発するうえでの事業リスクを国の調査を通じて低減することにより、新たな地熱開発を推進する取り組みです。

地熱開発に関する技術開発について

現在、新エネルギーとして定義できる地熱発電はバイナリー方式と呼ばれるものに限定されています。

バイナリー方式は、熱流体の温度が低く、十分な蒸気が得られない場合でも、地熱流体で沸点の低い媒体を加熱することで、媒体蒸気でタービンを回して発電することが可能です。今後の導入拡大を図っていくためには、さらなる技術開発も欠かせません。国を挙げて研究テーマを掲げ、以下のような開発や取り組みを行っています。

第一として、地下構造の探査精度の向上を目指すことが必要です。人工的な振動を発生させて反射波を測定することで、地下の断層を三次元で可視化できる技術の開発に取り組んでいます。掘削地点からの蒸気量が想定よりも少ない場合に、近郊でより蒸気量が大きい地熱貯留層を把握できる技術の開発も進められています。

第二に掘削費用の低減・期間の短縮化も必要です。高温かつ固い地盤を掘削でき、地熱開発に適した掘削機材の開発にも取り組んでいます。

第三に運転開始後の蒸気量の維持も必要です。地上から人工的に注水し、水の循環を適切に管理することで、蒸気量を維持する技術を開発することが求められます。高い水圧で地下に注水を行い、地下の透水性を向上させることで、蒸気量を改善し、発電量を改善する技術開発も重要です。

こうした技術開発は国を挙げて実施することにより、開発コストや事業リスクの低減を図り、地熱発電の導入拡大を技術面から後押しする取り組みを行っています。

自治体向けサービスカタログ一覧まとめました。
自治体通信メール版

「自治体通信オンライン」の最新記事や、イベント情報などをいち早くお届けします。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
新形コロナウイルス感染症対策
[PR]

自治体の取り組みを探す

課題から探す
地域から探す

自治体通信

自治体通信

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。

自治体通信への取材希望の方

自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。

取材のご依頼はこちら
地域別ケーススタディ
課題別ケーススタディ
【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
新形コロナウイルス感染症対策
pagetop