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平成29・30年改訂学習指導要領について(小学校)・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/06/30

平成29・30年改訂学習指導要領について(小学校)・実施事例【自治体事例の教科書】

近年、スマートフォンの普及やビックデータ、人工知能(AI)の普及により、子どもたちを取り巻く環境は急激に変化しつつあります。変化の激しい社会の中で、変化に耐え得る資質と教養を育むための、多角的な学習指導が必要とされています。そこで行政は、新たに学習指導要領を改定することとしました。今回は、この学習指導要領の概要と実施事例についてご紹介していきます。

【目次】
■学習指導要領とは
■事例①:習得を求めない柔軟な指導(神奈川県)
■事例②:教職員研修のサポート活動(北海道帯広市)
■事例③:教育効果を高める「時間」の設定(大阪府)
■事例④:教員の英語指導力・専門性向上(宮城県)
■事例⑤:英語教育の早期化(福岡県北九州市)
■まとめ

学習指導要領とは

「学習指導要領」は、文部科学省が定める教育課程の基準であり、学習指導要領に基づき義務教育学校の教育課程(カリキュラム)が編成されます。約10年ぶりに改定された新しい学習指導要領では、学びを通じて「何ができるようになるか」という観点から「学びに向かう力、人間性など」「知識・技能」「思考力・判断力・表現力など」の3つの柱で、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むことを目指しています。

小学校で令和2年度から実施される予定の学習指導要領では、子どもたちを取り巻く環境の変化に伴い「外国語教育」が新たに導入されます。小学校3・4年生では週1コマ程度の「外国語活動」、小学校5・6年生では週2コマ程度の「外国語(教科)」が新たにスタートすることで、これまでより3倍近くの学習時間が追加されます。

さらなるグローバル化に備え、どのような教育を進めていくか、そこまでの土台作り等、今回は、各都道府県がどのような取り組みを実施しているか調査しました。各都道府県の事例は以下の通りです。

事例①:習得を求めない柔軟な指導(神奈川県)

神奈川県では、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「話すこと」「書くこと」の5つの領域のうち、3・4年生で実施する外国語活動においては、音声面を中心とした「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」についての目標を設定しています。また、学年ごとの指導ではなく2学年を通じた目標とすることで、より柔軟な指導が可能とされています。

とくに、外国語を初めて学習することに配慮し、「聞くこと」では、ゆっくりはっきりと話された場合に、身近で簡単な事柄に関する基本的な表現の意味がわかるようにし、「話すこと(やり取り)」では児童が興味関心を持つことを題材とし、「話すこと(発表)」では難しい語句や表現を暗記させないような基本的表現を用いるなど、簡単な語句や基本的な表現を用いて、より体験的な言語活動を行うものと定めています。外国語の表現に慣れさせ、親近感を持たせることで、5・6年生で学ぶ「外国語」へのスムーズな接続が期待できます。

事例②:教職員研修のサポート活動(北海道帯広市)

令和2年度からの外国語活動・外国語科の全面実施に向けた取り組みとして、各学校での教職員の相談活動やALT(外国語指導助手)派遣を含むサポートを進めています。また、小学校における「英語の音声や表現に慣れ親しみ、コミュニケーション能力の素地を養うこと」を目標にしたサマーイングリッシュ、ウィンターイングリッシュの開催など、生徒の英語との触れ合いを目的とした活動も報告されています。

事例③:教育効果を高める「時間」の設定(大阪府)

3・4年生に「外国語活動」、5・6年生に「外国語」が導入されることに伴い、3~6年生の授業時数が35単位時間増加する中で重要となるカリキュラム・マネジメント。大阪府では、教育効果を高めるため「時間」を有効に活用した指導計画のあり方や、学校の実情に応じた時間割編成について、府内4小学校で研究を行ってきました。

まず、文部科学省から示された授業時間増に対応した時間割を編成するにあたり、大阪府は「児童の負担にならない」という点を重視し、週の授業時間数を増加させる時間割を採択。2単位時間(45分+15分+15分+15分)をセットとして、第1時(45分)で扱った内容に関わる単語やフレーズを短時間授業(各15分)の中で慣れ親しむように計画し、さらに目標も2単位時間を通して達成を目指すよう設定しました。

単元目標から逆算して単元計画を立てたことで、短時間の授業のねらいが明確になり、また週4日英語に触れられるため、定着が進んだことが成果として報告されています。さらに、大阪府公立小学校英語学習6ヶ年プログラム「DREAM」=英語の4技能(聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと)を育成するプログラムの活用により、学習の相乗効果も期待されます。

事例④:教員の英語指導力・専門性向上(宮城県)

国が養成した地域の英語教育推進リーダーを通じて、各小学校で社内研修を担当する中核教員に対し、学習指導要領の改定に向けた実践的な指導方法を伝達するなど、実践的な社内研修を実施しています。また、専門指導を可能とするプログラムの開発および講習実施を大学等に委託しました。当該プログラムを通じ、小学校教員の中学校英語免許状取得を促進するなど、教員の専門性と英語指導力を向上させる取り組みを推進しています。

事例⑤:英語教育の早期化(福岡県北九州市)

北九州市の英検準1級以上等を取得している教員数の割合は44.0%(全国平均32.0%)。平成29年度までの国指針50%を満たすため、同市では下記の取り組みを早期から段階的に行っています。

・低・中学年でのALT活用授業の実施
・教員の指導力向上を図るため、英語教育中核教員養成のための研修の実施
・英語教育リーディングスクール事業の実施
・管理職の英語教育講習会の実施
・全小学校教員対象の外国語活動指導力向上研修の実施
・先行実施期間の年間カリキュラム作成
・先行実施期間使用テキストに関する研修会の実施
・外国語指導助手(日本人)の配置の検討
・全面実施に向けた評価・評定に関する研修会の実施

まとめ

このように、約10年ぶりに改定された新しい学習指導要領における「外国語教育」に向けた取り組みは、各自治体によりさまざまな報告があります。子どもたちがこれからの時代に向けて、自発的かつ柔軟に適応するため、学校教育だけでなく各自治体の弛まぬ継続的なサポートが必要です。

〈参照元〉

内閣府大臣官房政府広報室_政府広報オンライン
(https://www.gov-online.go.jp/index.html)

文部科学省_小学校学習指導要領(平成29年告示)
(https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf)

神奈川県_教育課程編成の指針(小学校編)
(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3p/documents/shougakuall0315.pdf)

北海道帯広市_帯広市ホームページ
(https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/gaxtukoukyouikubu/gakkoukyouikusidousitu/
d10shidouyouryou.html
)

大阪府_教育効果を高める時間の設定
(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/36029/00000000/29_30_karimane.pdf)

宮城県_新しい学習指導要領の考え方(文部科学省)
(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/726592.pdf)

北九州市_新学習指導要領への対応について
(https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000785921.pdf)

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