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平成29・30年改訂 学習指導要領について(高等学校)【自治体事例の教科書】

2020/06/29

平成29・30年改訂 学習指導要領について(高等学校)【自治体事例の教科書】

文部科学省では、平成30年3月30日に高等学校学習指導要領の改訂を行いました。新高等学校学習指導要領は令和4年度から年次進行で実施されますが、一部については平成31年度から移行措置として先行して実施されています。新高等学校学習指導要領の平成29・30年改訂のポイントを確認しておきましょう。

【目次】
■高等学校学習指導要領の改訂の基本方針
■教育内容における主な改善事項について

高等学校学習指導要領の改訂の基本方針

グローバル化やIT技術の進歩が著しく変化が激しい時代に生き抜く力をつけるため、高大接続改革をはじめ、高等学校教育を含む初等中等教育改革や大学教育改革、高校から大学へとつなぐ大学入学者選抜改革の一体的改革が目指される中で行われた、重要な変革のターニングポイントにおけるタイミングでの改訂になります。

高校生が未来社会を切り拓くための資質・能力をより確実に育成できるよう、子どもたちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携ができる社会に開かれた教育課程を実現するための改訂です。選挙権が18歳に引き下げられたことで、高校生の段階でも投票ができるようになります。

政治や社会について関心を持ち、国や地域で抱える課題を理解し、解決するためにはどう考え、どのような行動をとるべきかを考えることが必要になっています。民主主義制度の仕組みや各政党の理解や比較を行える知識や力が必要となり、従来のように教科書の中で簡単に触れるだけでは足りなくなってきました。

そのため、高等学校においては主権者教育のいっそうの充実を図り、未来の創り手として、社会で求められる資質や能力をすべての生徒に育んでいくことが求められます。教科書を読み進めるだけの一方通行の授業ではなく、生徒がより主体的に学び、双方向の意見交換や体験などを通じた対話的で深い学びが実現できるよう授業改善を行っていくことが必要です。

主体的かつ対話的に学ばせるためには、各教科や活動の取り組みごとに何ができるようになるかを明確化し、生徒の意欲を引き出さなくてはなりません。主体的・対話的で深い学びの実現のためには、情報を的確に理解して効果的に表現すること、社会的事象について資料に基づいて考察すること、日常の事象や社会の事象を数理的にとらえられるようになること、自然の事物や現象を観察や実験を通じて科学的に探究するといった授業へと改善することが求められます。

教育内容における主な改善事項について

平成29・30年改訂における重要となる改善事項は大きく6つあり、その概要は以下の通りです。

第一に言語能力の確実な育成を図るための指導が必要です。国語の授業を中心に語彙の確実な習得をはじめ、主張と論拠の関係や推論の仕方、情報を的確に理解して効果的に表現する力を育成することで、グローバルな時代に自分の意見をしっかり主張でき、世界と対峙できる力を養成します。そのためには、各教科や特別活動などを通じて自らの考えを表現して議論することや、観察や調査を行い、結果を整理して報告書にまとめるといった取り組みを授業に取り入れていかなくてはなりません。

第二は理数教育の充実を図ることです。AIなどの先進技術をはじめ、IT技術の進化が進む中で、理数を学ぶことの意義や有用性を実感して興味を持てるよう、理科を中心に観察や実験を行うことにより、科学的な探究心を深める学習活動を充実させていかなくてはなりません。数学においては必要なデータを収集・分析するとともに、その傾向を踏まえて課題を解決できる統計教育をより重視していくことが大切です。また、将来、学術研究を通じた新たな価値を創造できる人材の育成のため、新たに探究的科目として「理数探究基礎」と「理数探究」が新設されます。

第三に伝統や文化に関する教育を充実させることも大切です。グローバルな時代で活躍するためには、まずは自国を知り、日本の魅力を世界に発信できる力を持つことが必要になります。日本の言語文化の理解を深めるために、国語においては「言語文化」、「文学国語」、「古典探究」をいっそう充実していかなくてはなりません。地理歴史においては、政治や経済、社会の変化との関係に着目した日本の文化の特色を学び、公民では日本の先人の取り組みや知恵を学び、保健体育では武道の授業の充実を図るとともに、家庭科では和食や和服、和室など日本の伝統的な生活文化を継承していくことの大切さを指導することが大切です。

第四は道徳教育の充実です。総則においては、校長のリーダーシップのもと、道徳教育推進教師を中心にすべての教師が協力し合い、道徳教育を展開しなければならないと新たな規定が設けられました。公民における「公共」と「倫理」や特別活動の時間が、人間としての在り方や生き方についての中核的な指導の場面であることも明記されています。

第五に外国語教育の充実も必要です。統合的な言語活動を通して聞く、読む、話す、書く力をバランスよく育成するための科目として「英語コミュニケーション」と、発表したり、やり取りを行ったりする発信力の強化に特化した「論理・表現」科目が新たに設けられます。

第六に職業教育の充実を図らなくてはなりません。就業体験などを通じて望ましい勤労観や職業観の育成を図るとともに、職業人に求められる倫理観について指導していくことが求められます。産業界で求められる人材を育成するべく、工業科における「船舶工学」、商業科における「観光ビジネス」を新設するとともに、専門家庭における「総合調理実習」や専門情報における「情報セキュリティ」と「メディアとサービス」が新たに設けられます。

平成29・30年改訂における、そのほかの重要事項は以下の通りです。選挙権が18歳からとなったことに伴い、主権者教育はより重要となっています。公民において政治参加と公正な世論の形成、政党政治や選挙について、主権者としての政治参加の在り方について理解を深めるとともに、ホームルームや生徒会活動などの特別活動において、主体的に取り組んでいくよう環境を整え、サポートしていくことが大切です。

公民においては財政と租税の役割、少子高齢社会における社会保障の充実や安定化、職業選択や起業、雇用と労働問題、仕事と生活の調和や労働保護立法について学ぶとともに、金融を通した経済活動の活性化や国連における持続可能な開発のための取り組みに至るまで、幅広く社会との関わり方や今後の職業人生や働き方について理解を深めることが必要です。

近年、大学生における消費者トラブルが増えており、高校生でもネットを通じた詐欺被害に遭うケースや通信料の使い過ぎなどが問題となっています。消費者教育が重要となっており、公民や家庭科で多様な契約の種類や消費者の権利と責任、消費者保護の仕組みなどの理解を深めることが重要です。

少子高齢化が進み、一部では高校生による親や祖父母の介護が社会問題化する中、認知症への理解をはじめとする高齢者の尊厳や介護について理解を深め、生活支援に関する技能の習得などが求められます。また、特別活動などを通じて障害者の理解や心のバリアフリーのための交流を図っていくことも必要です。

近年は国内外で大規模災害が相次いでおり、防災や安全教育も充実を図っていかなくてはなりません。地理歴史や公民で日本の領土等国土に関する指導を充実させるとともに、世界の自然災害や防災対策を知り、防災と安全・安心な社会の実現のためにどうすべきかや、家庭科において安全・防災や環境に配慮した住生活の工夫について議論や理解を深めることが大切です。

高度化するIT社会を生き抜くために、情報科の科目を再編し、すべての生徒が履修する「情報Ⅰ」が新設されました。プログラミング、ネットワーク、情報セキュリティやデータ活用の基礎のカリキュラムが必修化されます。また、情報科におけるデータサイエンスに関する内容を大幅に増やしたほか、各教科においてコンピュータ等を活用した学習活動をいっそう推進していくことが求められます。

〈参照元〉

文部科学省_高等学校学習指導要領の改訂のポイント
(https://www.mext.go.jp/content/1421692_2.pdf)

文部科学省_高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説総則編
(https://www.mext.go.jp/content/1407073_01_1_2.pdf)

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