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平成29・30年改訂 学習指導要領について(中学校)【自治体事例の教科書】

2020/06/29

平成29・30年改訂 学習指導要領について(中学校)【自治体事例の教科書】

文部科学省では平成29年3月31日に中学校学習指導要領の改訂を行いました。新中学校学習指導要領等は令和3年度から全面的に実施されますが、一部については平成30年度から移行措置として先行して実施されています。平成29・30年改訂の新中学校学習指導要領の概要と、今後の取り組みで重視されるべき事項を見ていきましょう。

【目次】
■改訂に至った背景と目的
■これからの時代に必要な資質・能力を養うために
■カリキュラム・マネジメントの推進について

改訂に至った背景と目的

平成29・30年に中学校学習指導要領に盛り込まれた改訂内容はどのような考えのもとで、行われたのかを見ていきましょう。

日本における少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、拡大を続けるグローバル化、進化をし続けるIT技術の革新など、今の時代の子どもたちは目まぐるしい変化の時代を生き抜いていかなくてはなりません。国の安定成長のうえでも、少子化が進む中、一人ひとりの子どもたちが持続可能な社会の担い手として、多様性を原動力としながら、質的な豊かさを持って活躍し、新たな価値を創造していくことが期待されています。

雇用の場面においては人材不足の問題がある一方で、AIの飛躍的な進化が雇用の在り方や学校教育にも変革をもたらすと予想されています。AIが人間に代わり、雇用が奪われるのではないかと不安視する声もありますが、AIに学習の機会を与えたり、正しさや美しさなどを判断できたりするのは人間でなければできないと再認識されているところです。

こうした環境において子どもたちが将来にわたってしなやかに生き抜いていくためには、学校教育の現場の指導体制も変化していくことが求められます。子どもたちがさまざまな変化に対応する力をつけ、他者と協働して課題を解決したり、あふれ出る情報を的確に見極めたりしていける力を養うことが重要です。これからの時代に求められる資質・能力を子どもたちに育むうえでは、学校教育が学校だけでなく、家庭や地域社会が幅広く連携し合いながら社会に開かれた教育課程を実現することが目指されます。

そこで、中学校学習指導要領の平成29・30年改訂では次の6点について改善を行うとともに、各学校において教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出すことを目的にしたカリキュラム・マネジメントの実践が求められます。社会に開かれた教育課程を実現し、これからの時代に求められる資質・能力を養ううえで改善がなされる点は次の6点です。

①「何ができるようになるか」を明確にし、育成を目指す資質・能力を深く理解したうえでの指導が求められます。
②「何を学ぶか」を明確にし、各教科を学ぶ意義と教科間や小中高との学校段階間のつながりを意識した学習カリキュラムの実践が必要です。
③「どのように学ぶか」を明確化し、各教科の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善や充実を図っていかなくてはなりません。
④「子ども一人ひとりの発達をどのように支援するか」をより密に考えていく必要があります。
⑤「何が身についたか」という成果を意識し、学習評価を充実させて、必要なフィードバックや改善、支援を行っていくことも大切です。
⑥「実施するために何が必要か」を考え、学習指導要領の理念を実現するための必要な方策を各学校や教師がとっていかなくてはなりません。

これからの時代に必要な資質・能力を養うために

平成29・30年に行われた中学校学習指導要領の改訂では、変化の激しい時代を生き抜くために必要な知・徳・体にわたる生きる力を育むために何のために学ぶのかを意識し、各教科を学ぶ意義を教員と子どもとの間で共有し、授業の創意工夫や教材の改善に向けて主体的に動いていくことが大切です。

そのため、改訂においてはすべての教科における目標と内容で次の3本柱をもとに再整理しました。その3つとは「知識および技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」です。

子どもたちが学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて理解できるようにし、これからの時代を生き抜く資質や能力を身につけていくためには、これまでの学校教育で蓄積されたノウハウを活かしながら、学習の質をいっそう高める授業改善の取り組みを活性化させていくことが大切です。

そのためにも「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた、アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善を促進していかなくてはなりません。主体的というのは、子どもたちが自ら興味を抱き、学び、考え、知識や経験として取り込んでいくことです。また、対話的というのは、教師による一方通行の授業ではなく、教師や他の生徒との議論や体験などを通じて双方向での学びができる環境を指します。

カリキュラム・マネジメントの推進について

各学校においては学習の基盤となる資質・能力および、これからの時代を生き抜くための資質・能力を育成するために、教科の横断的な学習を充実させるとともに、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を行っていかなくてはなりません。そのためには学校全体として生徒や学校、地域の実態を適切に把握するとともに、教育内容や時間の配分、必要な人的・物的体制の確保を図っていくことが必要です。教育課程の改善などを通して、教育活動の質を組織的かつ計画的にいっそう向上させ、学習の効果の最大化を図るためのカリキュラム・マネジメントが求められます。

平成29・30年に中学校学習指導要領における教育内容の主な改善事項としては、言語能力の確実な育成、理数教育の充実、伝統や文化に関する教育の充実、体験活動の充実、外国語教育の充実などが求められます。

たとえば、理数教育の充実においては、中学校の理科において生物の体のつくりと働き、生命の連続性などについて理解させることが必要です。知識としての理解にとどまらず、観察や実験など科学的に探究する活動を積極的に行い、生物の多様性に気付き、規則性を見いだしたり表現したりする力を養っていかなくてはなりません。そのうえで、科学的に探究しようとする態度や生命を尊重する大切さ、自然環境の保全に寄与する態度を養っていくことが大切です。

選挙権が18歳に引き下げられたことから主権者教育も、いっそう重要度が増しています。民主政治の推進と公正な世論の形成や国民の政治参加について社会科の授業を通じて理解を深めるとともに、特別活動の時間を通じて主体的な学級活動や生徒会活動を実践させることで、民主政治や政治参加の疑似体験をしていく取り組みも積極的に行っていくことが求められます。

また、社会科の授業では、今の若者では学びが少なく理解がなされていない社会保障の意義について、少子高齢社会における関係とともに指導することも大切です。仕事と生活の調和と労働保護立法や情報化による産業等の構造的な変化に伴う雇用環境、自ら起業すること、国連における持続可能な開発のための取り組みなど、今の時代とこれから生き抜いていく世の中について知るための指導も求められます。

自然災害の脅威が増大し、大規模災害が国内外で頻発している中では、防災・安全教育、自然災害に関する理解を理科の授業を通じて深く学ぶことも大切です。

また、フィッシング詐欺をはじめ、ネットにおける金銭被害などが増大しており、中学生が巻き込まれるケースも見られる中、消費者教育も充実していかなくてはなりません。技術・家庭科の時間を通じて計画的な金銭管理や消費者被害への対処法について指導していくことが求められます。

〈参照元〉

文部科学省_中学校学習指導要領(平成29年告示)解説
(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/
afieldfile/2019/03/18/1387018_001.pdf
)

文部科学省_幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイント
(https://www.mext.go.jp/content/1421692_1.pdf)

文部科学省_文部科学省ホームページ
(https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201901/detail/1421903.htm)

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