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学校現場のICT環境整備について(電子黒板)・実施事例【自治体事例の教科書】

学校現場のICT環境整備について(電子黒板)・実施事例【自治体事例の教科書】

新学習指導要領で、情報活用能力が言語能力、問題発見・解決能力などとともに「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されました。今後、教育において積極的にICT機器を活用することが想定されています。学校現場での情報提示のためのICT機器は、出力系(プロジェクタ、プラズマディスプレイ、電子黒板等)、入力系(教科書準拠デジタルコンテンツ、実物投影機、インターネット、地上デジタルテレビ放送、CD−ROM及びDVD等による教育コンテンツ等)の2種類があります。その中でも、ここでは電子黒板について学校現場の環境整備について具体的な事例を見ていきます。電子黒板とは、パソコンの画面を映すための大型ディスプレイです。画面に直接触れて字や絵を描き加えることもでき、情報機器と連動した複雑な操作や表示が可能で、大きな教育効果が期待されます。

【目次】
■事例1 福岡県飯塚市【全校に電子黒板を導入へ】
■事例2 茨城県土浦市【ICT活用の幅を広げる】
■事例3 東京都港区【ICTのさらなる充実を目指す】

事例1 福岡県飯塚市【全校に電子黒板を導入へ】

福岡県飯塚市では、社会の変化を見据え、ICTの活用による効果的な学習を実施するために電子黒板の整備を進めています。2020年度から新学習指導要領がはじまりますが、新要領に対応したICTを活用する学習活動に備えるため、実証研究を行いました。これは平成27年度から28年度の2年間、小中学校4校へ実証研究校への先行導入を行い、電子黒板を小学5年生から中学3年生の普通教室、全特別支援学級数分として計35台整備するものです。

実証研究は、学力の向上を目的とした情報機器等の効果的な授業での活用および家庭学習での活用について検証することを目的として行いました。実証研究の結果、学習に効果的で教職員・生徒両方から好意的な反応があったため、平成29年度から平成31年度にかけては、飯塚市内の全小中学校に順次導入することになりました。これにより飯塚市内の29の小中学校すべてに電子黒板が配置されることになります。

飯塚市は教育目標としてICTをツールとして利用する力の育成を挙げています。これには、インターネット等を用いた課題解決に必要な情報の収集、タブレット等を用いた発表資料等の作成、電子黒板を用いた情報の共有化という方策で実現を目指すとしています。また、グローバルな視点と思考力、判断力、表現力の育成という教育目標も掲げています。これには、多様な価値観を交流するためのSkype、電子黒板等を活用した遠隔授業、「話す・聞く」を中心とした英語力の育成で実現を目指します。

今後は、電子黒板を1クラスに1台確保して、デジタル化された資料等を活用した効果的な授業、指導を行い、児童・生徒の発表活動にも使いたいと考えています。2022年度までの計画としては、計500台を全普通教室、特別支援学級、特別教室に設備したいとしています。

事例2 茨城県土浦市【ICT活用の幅を広げる】

茨城県土浦市においては、第1期土浦市教育情報化計画(平成26年度~平成30年度)においてICT機器の整備・運用の両面から推進してきました。県内市町村に先駆け、平成25年度より電子黒板・実物投影機・指導者用デジタル教科書を各学級に1セットずつ整備し、これらを活用して授業を行ってきました。また、平成25年度以降、特定の複数校を研究推進校として研究実践を行い、授業におけるICT活用の研究を行っています。平成26年度には生徒の発話分析によって教科指導におけるICT機器の効果測定を行い、その結果を各学校で共有することにより、より効果的なICT機器の活用の指針としました。

第2期土浦市教育情報化計画は2019年度から2023年度までの5年間で、生徒の情報活用能力や教職員の指導力向上をさらに推し進めるものです。2020年代に向けたふさわしい学校教育の実現を目標として、学校現場の負担軽減、より効率的なICT機器整備を実施します。この計画の基本方針として、ICT機器をすべての生徒が使い、情報を工夫して活用することを挙げています。「ICT機器を活用し、情報をまとめ、発表できる」と答える生徒の割合を80%とすることが達成目標です。

普通教室への電子黒板整備率はすでに100%のため、活用の幅を広げ、情報活用能力の育成を目指していきます。情報活用能力とは、情報および情報手段を主体的に選択し、活用していくための能力で、現代の情報社会において必須の能力です。

教員は「わかる」授業の推進のため、各教科においてICT機器を効果的に活用する場面を明確にして、指導方法の研究、普及を行います。学習指導案等に、ICT活用に関する事項を記述して、活用する場面を明白にします。達成目標値としては、授業中にICTを活用して指導する能力について「できる」と回答する教員の割合を90%にします。また、教員のICT活用指導力向上の研修を充実させるため、土浦市版標準スキルマップを作成し、スキルマップに応じた計画的な研修会を実施します。

事例3 東京都港区【ICTのさらなる充実を目指す】

東京都港区教育委員会は、今後の社会状況や教育を取り巻く環境の変化を見据えた学校教育の実践に向けて、情報化分野の行動計画「港区学校情報化アクションプラン」を策定しました。2018年度から2020年度にかけての3年間を計画期間とするものです。これは、学校のICT環境を整備するとともに、ICTを効果的に活用することで学校教育の質の向上を図ることを目的としています。

これまでも、港区学校情報化アクションプラン(2014年度~2017年度)に基づき、小学校全普通教室への電子黒板の配備を計画的に実施してきました。また、教員向け研修の実施やICT支援員配置等の取り組みを進めてきました。2014年度~2017年度の前アクションプランにより、小学校の全普通教室にプロジェクター型の電子黒板が配備されました。また、中学校の理科室には液晶画面一体型電子黒板を各校1台配備しましたが、中学校の普通教室への配備は未完となりました。

2017年1月に区の全小中学校を対象に行われたアンケートによると、各学校の教員のICT機器利用頻度は50%を下回っており、ICT機器利用の定着に課題が見られます。また、教員から、機器数の不足から準備に時間がかかるといった意見や、より充実した機能の機器配備を望む声が上がっていました。このことを踏まえ、新アクションプラン(2018年度~2020年度)では電子黒板の追加配備等によるレベルアップを計画しました。ICTを活用した授業の充実に向けて、生徒数の増加の状況も踏まえ、ICT機器の計画的な配備、更新を行います。

電子黒板を教室間で移動させる手間などをなくし、ICT機器をより身近に効率的に利用できる環境を実現するため、普通教室すべてに電子黒板を配備します。2018年度には全中学校の普通教室に配備します。また、初期に導入した電子黒板について、導入後相当年数を経過しているため、機器を更新します。今後も、機器更新については、原則として5年を目途として、機器の老朽化の状況や財政負担などを勘案し更新します。さらに、特別教室で使用することを目的として、新たに小中学校各フロアに1台を目安として可動式の電子黒板を配備します。前アクションプランで、機器が配備されても教員が授業に利用する頻度が低いという課題があったため、教員のICTの積極的な活用を促すために、ICTを活用した公開授業を実施します。学校公開週間やアカデミーの研究授業等において実施することで、区民や校種が異なる教員にICTを活用した授業に関心を高める機会にしたいとしています。

<参照元>

首相官邸_技術の進展に応じた教育の革新に関する参考資料
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/jikkoukaigi_wg/kakusin_wg1/sankou4.pdf)

文部科学省_ICT活用指導力向上研修実施モデル解説書
(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/
afieldfile/2018/09/07/1408990_1.pdf
)

文部科学省_「教育の情報化に関する手引」検討案
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249662.htm)

福岡県飯塚市_飯塚市が目指す教育
(https://www.city.iizuka.lg.jp/ed-kyoikushido/kyoiku/kyoiku/gakko/ikkan/documents/mezasu8.pdf)

茨城県土浦市_第2期土浦市教育情報化計画
(https://www.city.tsuchiura.lg.jp/data/doc/1583892925_doc_48_0.pdf)

東京都港区_港区学校情報化アクションプラン
(https://www.city.minato.tokyo.jp/kyouikushomu/kodomo/gakko/documents/actionplan30-32.pdf)

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