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デジタル手続法案について【自治体事例の教科書】

2020/5/26

デジタル手続法案について【自治体事例の教科書】

様々な資料や書類のデジタル化が進むにつれて、政府でもそれに対応するための法整備などをしなければならない場面に迫られました。今回は政府が令和元年5月に交付したデジタル手続法案について解説していきます。


【目次】
■デジタル手続法とは
■デジタル化に関する基本原則
■デジタル化推進のための個別施策

デジタル手続法とは

デジタル手続法は、令和元年5月31日公布の「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」を正式名称とします。基本原則は情報通信技術を活用した行政の推進であり、行政手続をオンライン化するために成立しました。この法律の成立に伴い、以前からある住民基本台帳法等の一部改正とマイナンバーカード・公的個人認証の利用関係も改正されました。

デジタル手続法が成立するまでの経緯には、平成12年に成立した「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)への取り組みがあります。政府は積極的に電子政府(デジタル・ガバメント)への移行を推進してきましたが、近年デジタル化の基盤となる制度の整備が進み、平成30年にはデジタル・ガバメント実行計画が閣僚会議で決定されました。この計画では利用者中心の行政サービスの実現が目的とされ、単なる情報システムの構築ではなく業務改革や制度そのものの見直しも盛り込まれ、行政のあらゆるサービスをデジタルで完結させることが目指されました。

デジタル手続法はこうした流れの中で、デジタル・ガバメントに向けた基盤整備と推進に向けた法整備を背景に、あくまでも個々の手続きやサービスのデジタル完結、民間サービスを含めた複数の手続きをどこからでも1ヶ所で実現する仕組みづくりとして成立したものです。もちろん利用者としては、場所を選ばずオンラインで各種手続が可能となり、同じ情報を何度も繰り返し提出しなくても済むことは大きな利便性の向上といえます。

実現するためには本人確認や手数料納付などもオンラインで実施する必要がありますが、近年発達した電子署名や電子納付の情報通信技術を活用し、システム整備も含めて方向性が示されています。また、一度提出した情報を二度提出することは不要とする取り組みにおいては、行政機関同士がオンラインで繋がり、情報を連携することで実現を目指します。

従来は窓口ごとに必要としていた添付書類をできる限り撤廃し、デジタル情報を参照する形で用を成すことは、行政の業務効率向上にもつながる施策です。
ただし原則オンライン化とはするものの、自治体においてはまだ努力義務とされており、適用除外も設けられています。

デジタル化に関する基本原則

デジタル化に関する基本原則は、前述のとおり利用者の利便性を上げ、行政の業務効率を向上させることです。そのための項目として「デジタルファースト」「ワンスオンリー」「コネクテッド・ワンストップ」の3項目が挙げられています。それぞれの内容は以下のとおりです。

・デジタルファースト

デジタル手続法はデジタルファースト法とも呼ばれることがありますが、それは基本原則の一番目にこのデジタルファーストを掲げていることが理由です。
原則の趣旨は、行政手続を徹頭徹尾、一貫してデジタルで完結させることにあり、ポイントは「完結させる」という部分にあるといえます。これまでにもオンライン申請への移行などは部分的に実施されてきましたが、申請自体がオンライン化されても添付書類だけは別送を必要とするケースや手数料の納付は別途手続きに出向かなければならないといったケースが多く、最初から最後まですべてがデジタル処理を実現できるレベルにはありませんでした。

こうした利用者の利便性を欠くデメリットを解消するために、すべての手続きを一貫してデジタル完結させることがデジタル手続法の大原則であり、基本原則の一番目に挙げられている項目です。先にも触れたとおり、デジタル手続法の成立前には平成12年に成立したIT基本法や平成14年に成立した「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(行政手続オンライン化法)などがありました。インフラ整備などは当時から進められていましたが、行政手続そのものが完全なデジタル化の実現に到達していなかったことを受け、デジタル手続法は本来の形での行政手続オンライン化を実現することを柱の一つとしています。

・ワンスオンリー

行政手続においては、窓口が変わるたびにその都度同じ情報を添付書類として提出しなければならない状況となっています。ワンスオンリーはこうした現状を改善し、基本的には一度提出した情報は可能な限り二度提出せずに済むようにするというものです。

ワンスオンリーは基本原則の二つ目に挙げられており、利用者の利便性を大きく向上させるとともに、行政での書類保管手間をできる限り撤廃する方針となっています。この実現には複数の行政機関の連携が必須となるため、機関同士がオンラインで密接に連携できる情報システムの整備計画の実現が必須となります。

・コネクテッド・ワンストップ

ワンスオンリーの実現にも関係してきますが、手続きをワンストップ化するためには行政機関と民間事業者の連携が欠かせません。関連する手続きが1ヶ所、1回で済ませられるようにすることで、このワンストップが実現します。

コネクテッド・ワンストップに関しては、民間サービスも含めた総合的な推進が基本原則であり、国や地方公共団体だけでなく、民間事業者も含めあらゆる活動において情報通信技術のメリットを活用できる社会の実現を目指しています。例えば転居時に住民票の転出・転入手続を行うことで、住所変更から電気・水道・ガスといったライフラインの契約も移行されるような利便性の高い環境を構築することが目的となります。

デジタル化推進のための個別施策

デジタル手続法の成立により、関連法として「住民基本台帳法」「公的個人認証法」「マイナンバー法」も改正されました。

・本人確認情報の保存及び提供の範囲の拡大(住民基本台帳法)と公的個人認証(電子証明書)・個人番号カードの利用者の拡大(公的個人認証法、マイナンバー法)

これまでは海外駐在など住所が海外にあった場合、マイナンバーカードは発行されませんでした。今後はこうした国外転出者にもマイナンバーカードが発行され、公的個人認証(電子証明書)・個人番号カードとしてオンライン手続や本人確認に利用できるようになります。

・本人確認情報の保存及び提供の範囲の拡大(住民基本台帳法)

住民票等の除票を除票簿として保存・安全確保措置等を行い、個人の識別・認証を将来にわたって実現することで、本人確認や添付書類の省略を前提とします。

・公的個人認証(電子証明書)・個人番号カードの利用者・利用方法の拡大(公的個人認証法、マイナンバー法)

暗証番号の入力を要しない方式として、利用者証明用電子証明書を利用できるよう図ります。通知カードの発行を廃止し、個人番号カードへの移行を拡大します。

・個人番号利用事務及び情報典型対象の拡大(マイナンバー法)

罹災証明書の交付事務等の個人番号利用事務へ追加を行うことで、例えば災害などの際、罹災した証明事務等にマイナンバーを使えるようになります。また、社会保障分野の事務処理のため情報連携の対象の事務や情報を追加することで、介護などの福祉事務処理に情報連携が行えるようになります。つまり、各役所内でマイナンバーを使える範囲が拡大し、カード1枚で当人に関する必要な情報を参照できるようになります。原則、現行のマイナンバーカードはそのまま利用される方針ですが、移行措置としてマイナンバーカードと同様に利用可能であった通知カードが廃止される点には注意が必要です。

〈参照元〉

首相官邸_デジタル手続法とは
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/digital.html)

内閣官房_デジタル手続法案の概要
(https://www.cas.go.jp/jp/houan/190315/siryou1.pdf)

内閣官房_デジタル手続法について
(http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/
material/files/group/2/siryou2%20dejitarutetsudukihounituite%20naikakukannbo.pdf
)

参議院常任委員会調査室・特別調査室_社会全体のデジタル化に向けて― 「デジタル手続法」の成立 ―
(https://www.sangiin.go.jp/japanese/
annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20190910003.pdf
)

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