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電子決裁移行加速化方針について【自治体事例の教科書】

2020/05/25

電子決裁移行加速化方針について【自治体事例の教科書】

行政機関においてはあらゆる業務が決裁に基づいて実施されています。幾重もの決裁が必要になるケースが多く、それぞれの決裁者が日々多忙な業務を抱える中、決裁までに時間がかかり、業務の停滞や決裁に基づく迅速な実施に影響を与えることも少なくありません。これまで手作業でアナログに進められてきた決裁業務やプロセスを電子化することで、よりスピーディーで効率的な行政業務の遂行を目指していくことが求められています。

【目次】
■電子決裁システムとは
■電子決裁移行加速化方針のポイント
■電子決裁移行加速化方針の困難となる要因

電子決裁システムとは

時間がかかる決裁のプロセスを電子化、自動化することで行政運営の合理化、効率化を目指すのが電子決済システムの導入目的となります。各行政機関が共通して行う業務に係る情報システムを一元的に管理・運営することで、ICTを活用した行政業務を実現します。決裁を求める起案者が持ち回る必要がなくなるとともに、決裁を行う立場の者としては、業務に支障を来さないようなタイミングで決裁ができるようになり、互いの業務の効率性を高め、組織全体の生産性アップと決裁のスピードアップが図れます。そうすることで、問題解決が早く進み、国民生活にもプラスに働くことが期待されます。

また、電子的なシステムで処理することにより、修正履歴も明らかにでき、管理がしやすくなります。決裁プロセスの公正化と透明性を保ち、決裁終了後の文書の取り扱いを円滑かつ厳格に保つためにも、電子決裁システムへの移行の加速化が求められます。

具体的には府省共通情報システムを導入し、次の2点について一元的な管理・運営を目指します。

まず、第一に文書管理システムの導入です。このシステムは、電子決裁機能と行政文書ファイル管理簿調製機能が構築される仕組みです。

第二として、法令検索等システムが導入されます。このシステムでは、法令(憲法、法律、政令、府省庁令等)をはじめ、閣議情報のデータベースや法案等作成業務を支援することを目指します。

具体的なシステム内容と目的は、以下の通りです。

電子決裁機能システムでは、決裁の自動回覧をはじめ、決裁履歴等関連情報の管理機能を提供します。この電子決済システムを通じて、従来の決裁にかかわる業務の迅速化と効率化を図ることが目的です。電子決裁による業務効率化を全政府的に推進するため、電子決裁のシステムを政府全体で行うことが望まれます。

そのため、総務省行政管理局が整備を行い、システムを各府省に提供することで、平成21年3月に運用がスタートしました。現在、国会、裁判所、会計検査院も含め、28機関36.6万人が利用しています。電子決済システムの整備では、業務の標準化・共通化を進めることが求められ、機能・ワークフロー・帳票類等の標準化・共通化を図らなければなりません。現在、令和4年1月の運用開始を目指し、電子決裁移行加速化方針を踏まえて、新しいシステムの整備に向けて検討、対応が行われている段階です。

電子決裁移行加速化方針のポイント

決裁業務では、申請の受付、決裁するかの判断と意思決定、許可または否認といった一連の業務プロセスが行われます。電子決済の移行を加速させるためには、従来の決裁業務のプロセス全体の見直しも図りながら、電子化をセットで進めることがポイントになります。膨大な時間を要していた承認経路と他部門への回覧、持ち回り決裁のプロセスが適切かどうかを検討しないといけません。ただ、現在のアナログ的な決裁業務を電子化させただけでは、より迅速な電子化ができません。業務プロセス全体の見直しと電子化をセットで進めることで、より迅速で正確な業務処理が実現し、行政文書の確実な保存と管理につながります。

政府は、平成30年1月16日付の「デジタル・ガバメント実行計画」に基づき、決裁の申請から審査・決裁・通知までを一貫して電子で行う前提で、「手続オンライン化」と「添付書類の撤廃」に向けて検討を進めています。こうした方針を踏まえ、各行政機関が業務プロセス全体の電子化を図っていくには、電子決裁について検討し、推進しなくてはなりません。総務省では、各府省に提供する文書管理システムの処理能力の向上や使い勝手の向上を計画的に取り組みます。その一方で、各行政機関における電子決裁への移行の進捗状況を継続的にチェックし、業務改革を推進する立場として各行政機関の取り組みのサポートを行っていきます。

電子決裁移行加速化方針の困難となる要因

電子決裁移行を加速化するうえでは、立ちはだかる困難な要因も少なくありません。総務省が各行政機関における決裁業務の実態調査を実施したところ、困難な要因がないものは既に電子決裁への移行が行われていました。電子決済が行われていないものには、何らかの業務上の困難が存在していました。
たとえば、国民から紙で申請される案件や膨大な紙の添付資料がある案件が挙げられます。紙で上がってくる申請書類を、電子決裁のためだけに原本や大量の添付書類を電子化するならば、そのための作業時間がかかり、無駄な時間と労力を費やすばかりか、決裁を求める国民や事業者へのレスポンスが遅くなってしまうのは問題です。それゆえに、紙で申請される案件については、従来通り、アナログな決裁を行っているという現状があります。困難な要因に対して、どのような対策を講じれば、電子決裁移行加速化が目指せるのでしょうか。

まず、第一の方針として、各行政機関が電子決裁することで、かえって業務が非効率になることや複雑する事案、災害時などの緊急案件を除き、業務運営上で様々な工夫をすることで電子決裁ができるものは、速やかに電子決裁に移行します。第二として、現時点で困難な要因が伴っている案件についても、工夫や対策をすることで電子決裁の移行加速化を目指します。

たとえば、添付書類に膨大な紙の書類が添付されるケースで考えてみましょう。国民からの申請等の行政手続に基づくものについては、手続のオンライン化の推進と添付書類の撤廃の見直しを行います。また、電子化によるオンライン申請ができるようになれば、電子決済をスムーズに行えます。

次に業務システムが文書管理システムに接続できず、独自の決裁機能も持たない業務のケースです。総務省が提供する文書管理システムを使用するうえでは、政府共通ネットワークに接続しなくてはなりません。ですが、一部の機関や業務においては、セキュリティ確保の点から、共通ネットワークに接続せず、独自の電子決裁機能も持っていないケースがあります。この場合は、独自の電子決裁システムを構築して、電子決裁を導入するか、セキュリティ対策などを講じたうえで共通の文書管理システムへの接続を目指すことが必要です。

また、困難な要因の一つとして、事務作業をルーティーンとしない現場職員(自衛官や海上保安官、刑務官など)に配備されていないケースや、現場において安定的なネットワーク環境がないケースが挙げられます。このケースでは、各担当機関が職員に端末を配布したうえで、ネットワークに接続して電子決裁を導入することが業務の効率化に値するかを検討しなくてはなりません。業務効率化になると判断した場合には、各職員が現場で対応できるよう、電子決裁移行を進めます。

さらに困難な要因として、会計関係業務が挙げられます。会計関係業務では、紙の契約書や請求書などを元に業務を行ってきました。会計検査院では、一定の証拠書類については紙媒体での提出を求めてきた実情がありました。今後は、財務省が官庁会計システム(ADAMSⅡ)を運用することで、会計業務決裁基盤・証拠書類管理システムを構築する方針です。各行政機関は新たに導入されるこの会計業務決裁基盤・証拠書類管理システムを用いて、会計関係業務における電子決裁を推進します。同時に、支出負担行為や支出決定等に関する決議等の業務や民間事業者等との契約書・請求書など、従来会計検査院に紙媒体で提出してきた書類について、会計検査院の協力を得ながら電子的に提出し、保管や管理ができる仕組みを構築することを目指します。

〈参照元〉

総務省_総務省所管府省共通情報システムの一元的な管理・運営(補足説明資料)
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000627821.pdf)

首相官邸_電子決裁移行加速化方針(案)
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai2/siryou3_2.pdf)

内閣府_3.電子決裁の推進について
(https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2018/20180928/shiryou2-2-3.pdf)

首相官邸_デジタル・ガバメント実行計画
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20191220/siryou.pdf)

首相官邸_電子決裁移行加速化方針(案)
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai2/siryou3_2.pdf)

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