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自治体の電力自由化について【自治体事例の教科書】

2020/07/31

自治体の電力自由化について【自治体事例の教科書】

2016年4月にスタートした電力自由化は、自治体にどのようなインパクトを与えたのでしょうか。ここでは、電力自由化について政府の取り組みと自治体の関わりについて解説します。

【目次】
■電力自由化と電力システム改革
■電力自由化による変化
■電力自由化と自治体への影響

電力自由化と電力システム改革

電力自由化は、電力販売に小売電気業者が自由に参入、消費者も自由に電力会社を選べるシステムです。電力自由化は段階的に行われ、2016年4月1日以降は一般家庭等も対象になりました。

・経済産業省・資源エネルギー庁の電力システム改革
電力事業は「発電」「送配電」「小売」と3つの部門に分かれています。経済産業省が目指す電力システム改革は、小売部門の全面的な自由化です。電力自由化は、2000年3月から始まり、当時自由化の対象になったのは、「特別高圧」に区分される、大型工場やオフィスなどです。電力自由化はその後「高圧」に区分されている中小規模のビルや工場に拡大(2004年4月・2005年5月)、新しい制度により、独占的事業者以外の電力会社と自由に契約が可能です。

全面的な電力自由化を目指し、経済産業省は「電力システムに関する改革方針」を2013年に策定、プロセスを三段階に分けて、改革を進める方針を打ち出しました。改革の第一段階「広域系統運用の拡大」は2015年に実施され、第二段階の「小売および発電の全面自由化」(2016年4月1日より実施)により、「低圧」に区分されていた、一般家庭や商店も自由な電気の購入が可能になりました。電力システム改革第三段階「法的分離の方式による送配電部門における中立性の一層の確保」が実施される2020年4月まで、経過措置として既存の規制料金システムは継続されます。

・電力自由化によって誕生した新しいサービス
全面的な電力自由化により、豊富な料金プランやサービスが誕生しました。全体的な傾向として、従来よりも安くなったことが挙げられます。電力自由化により、新たに参入した電気小売業者が提供する電気のことを「新電力」と呼びますが、新電力の平均単価(低圧電灯)は、既存の電力会社より4%ほど低いです。

基本料金をなくし、完全従量制を導入したり、節電するごとに電気料金に割引が適用されたりと、多彩な料金プランなどが誕生しています。

電力自由化による変化

電力自由化により、具体的にどのような変化があったのかを見ていきましょう。

・契約を切り替える消費者が増えた
全面的な電力自由化を受け、電力契約を他のものに変更する動き(スイッチング)が見られました。経済産業省・資源エネルギー庁によりますと、2017年6月時点で、スイッチングした「低圧」区分は約665万件で、スイッチング率は約10.6%の伸びを見せました。このスイッチングには、契約先の電力会社を変えずに、料金プランだけ変更したものも含まれますが、自由化により、参入した電気小売業者に契約を切り替えたケースは約377万件、スイッチング率は約6.0%となっています。

・電気小売業者の増加
2016年の電力自由化後、電力の販売を希望する電気小売業者は増え続け、2017年9月11日までに約130者の新規参入がありました。たくさんの電力会社が市場に参入することで、余剰電力の売買など、複数の売買形態が生まれ、卸電気取引所で取引される電力が、1億kWhを超えることもありました。

電力自由化と自治体への影響

全面的な電力自由化により、新たなビジネスモデルが誕生し、中には自治体が参加したものもあります。自治体が電力事業に出資するのもので、2017年3月時点で19者の小売電気事業者が、自治体から出資を受けました。

地域ベースでビジネスを展開する事業者にとって自治体の出資は消費者との信頼関係づくりに貢献するだけでなく、公共施設事業などに電力を供給する機会が増えたりと、ビジネスの面でベネフィットをもたらしています。

・自治体PPS
PPSは、「Power Producer and Supplier」の略語で、「自治体PPS」は、自治体新電という意味があります。自治体PPSは、自治体主導の地域電気事業モデルとして注目されています。自治体PPSの典型モデルが、群馬県中之条町の「中之条パワー」です。中之条パワーは、中之条町と民間企業が共同出資して設立されました。地元のメガソーラーや農業用水で発電した電力を買い取り、公共施設等へ売電しています。「地産地消」を実践することで地域の活性化を目指す中之条パワーは、沢渡温泉第1太陽光発電所など、5ヵ所に発電所を持ち、2014年から電力供給をスタートさせました。はじめは町内の公共施設が対象でしたが、低圧区分への電力供給も行っています。

・地域エネルギー事業の発展
電力自由化による自治体の取り組みは、電力事業への出資だけに限りません。再生可能エネルギーの開発と、地域活性化を目指す地域エネルギー事業の推進も活発になりました。地域エネルギー事業は、水力や風力、太陽光、バイオマスなど地域の資源を利用して発電し、電力を地元の公共施設等に供給します。地域エネルギー事業を推進することで、雇用を増やしたり、売電によって収益を得たりと、地域活性化につながることから、積極に取り組む自治体が増加しています。

【参考文献】

経済産業省・資源エネルギー庁「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/denryokugaskaikaku/
denryokujiyuka.html
)

中之条パワーホームページ
(https://www.nakanojo-power.jp/index.html)

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