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【事例解説】デマンド交通について・実施事例【自治体事例の教科書】

【事例解説】デマンド交通について・実施事例【自治体事例の教科書】

デマンド(要求、要請、需要)の意味の通り、デマンド交通とは利用者が予め予約することで乗車利用を行う地域の公共交通です。地域によっては「デマンドバス」「乗合タクシー」と呼ばれることもあります。高齢化・過疎化が進む地域にとって、路線バス程度の運賃で利用できるデマンド交通は、交通手段に不便を来す住民の大切な足だと言えます。各自治体では具体的にどのように実施されているか事例を見ていきましょう。

【目次】
■岩手県陸前高田市
■栃木県大田原市
■岐阜県瑞浪市
■新潟県三条市
■埼玉県志木市

岩手県陸前高田市

陸前高田市の中でも気仙町、小友町・広田町の住民を対象に、通院や買い物、社会参加等の日常生活を支援する目的で予約型乗合タクシーの運行を実施しています。

それぞれ行き2便(9:00便・10:00便)・帰り2便(11:00便・13:00便)のダイヤで運行。平成31年3月までは気仙町で行き帰り1便ずつ、小友町・広田町で行き2便・帰り1便でしたが、4月から増便されました。予約のあった利用者の自宅に順番に迎えに行き、複数人で乗り合わせた上で目的地の停留所まで送ります。運行日は平日のみです。

乗降可能な場所は自宅または停留所で、停留所には市役所や陸前高田駅の他、病院や個人の診療所・歯科医院・整骨院、商業施設などが設定されています。予約者の人数や乗降場所等によって変わりますが、概ね1便につき1時間以内で送迎が完了します。料金は大人(中学生以上)が300円、小学生・介護人は150円、未就学児・障がい者は無料です。

利用には事前登録が必要です。登録票を予約センターに送付することで利用者カードが郵送されます。予約時は利用日の一週間前から前日までの間に電話連絡する必要がありますが、当日の予約にも対応(乗車時間帯の変更と乗降場所の変更のみ)しています。

栃木県大田原市

栃木県大田原市では、「らくらく与一号」という名のデマンド交通を実施しています。以前は黒羽地域のみの運行でしたが、地域が拡大し現在は「野崎・佐久山地域」と「湯津上・黒羽地域」の2エリアで運行しています。これまで市営バスで通勤通学していた方向けに黒羽・佐良士線と佐久山野崎駅線がデマンド交通路線(デマンド交通の車両で路線バスの走り方を行う)に切り替わりました。

「デマンド交通専用バス停」として、対象地域在住の利用者の自宅最寄りに利用者専用の乗降所を設定。「デマンド交通専用バス停~指定の行き先間」「指定の行き先~指定の行き先間」の区間で運行しています。また、指定の行き先には、公共施設や病院・医療機関の他、商業施設、主要観光地、寺院・神社、宿泊施設、飲食店、金融機関、学校関係などを設定し、学生の通学から高齢者の買い物まで幅広く利用できるようになっています。

運行日は年末年始を除く毎日で、運行時間は7:30から17:30まで1時間おきに出発しています。デマンド交通の利用は、事前登録が必要なデマンド交通区域内の方が主な対象ですが、区域外の住民や市外からの来訪者も利用が可能です。

料金はデマンド交通区域内の方の場合、大人300円、高校生・大学生200円、小学生・中学生150円、障がい者150円です。令和2年4月からは、65歳以上の大田原市民の方は顔写真付きのマイナンバーカードを提示すると、区域内の方の場合料金が150円(区域外の方の場合200円)に運賃の減免が適用されます。また、大田原市では運転免許証を自主返納した65歳以上の市民に、デマンド交通でも利用可能な5年間無料乗車できる「大田原市高齢者運転免許証自主返納者無料乗車証」を交付しています。

岐阜県瑞浪市

岐阜県瑞浪市では、平成28年10月からデマンド交通「いこCar(いこかぁ~)」を実施しています。コミュニティバスが通っていない昼の時間帯でも、住民が市の中心部へ買い物・通院等ができるよう運行を開始しました。

運行する地域は瑞浪市内の日吉町、大湫町、明世町、釜戸町の中の3ルートです。事前予約を受けた上で予め設定された乗降場所に車両が赴き、巡回・相乗りした状態で利用者を目的地の乗降場所まで送ります。設定されている市中心部の乗降場所は、瑞浪駅前、市役所、病院、スーパーマーケット、地域交流センター等、日常生活に必要な場所が主です。運行日は、土日祝日と年末年始を除く月曜から金曜日。運行時間帯は3つのルートによって異なりますが、それぞれ往路・復路共に3便ずつ運行しています。料金は一人500円で、中学生以下は無料。障害者手帳等が交付されている場合は一人250円に割引されます。

「いこCar」の利用には事前登録が必要ですが、瑞浪市を訪れる観光客も利用が可能です。乗降場所に細久手宿大黒屋前や大湫宿といった観光スポットを設定し、市役所商工課へ電話することで予約ができます。

新潟県三条市

新潟県三条市が実施するデマンド交通「ひめさゆり」は、時刻表も決まったルートもない点が大きな特徴です。乗降の時刻を利用者が自由に決めることができ、かつ目的の停留所まで直接移動することも可能です。

車両にはタクシー車両を利用しています。運行範囲は三条市内の全域。乗降は各地に設置されているひめさゆりの停留所のみとなっており、普通のタクシーと異なり途中で降りたり一時的に車両を待機させたりすることはできません。運行日は1月1~3日を除く毎日で、午前8時から午後6時まで運行しています。利用時はタクシー会社へ連絡して予約を取ります。予約は利用の1時間前まで可能で、事前の利用者登録が不要な点も特徴の一つです。

料金は一律ではなく、「一人乗車」と「複数乗車」で料金形態が変わります。一人乗車の場合はタクシーと同様に距離によって料金が変動。最少額は500円(2km未満)、最高額は3,000円(30km以上)です。複数乗車(乗り合い)の場合はエリア間の移動に応じて一人あたり400円もしくは800円となります。(例:同一エリア内の移動は400円、北エリアから南エリアへの移動は800円等)予約時に複数人でなくても、1回の運行で利用者が二人以上となれば複数乗車の料金になります。いずれの場合も小学生以下は半額です。

また三条市では、市内在住の満65歳以上、または運転免許証を返納した方を対象に「おでかけパス」を1,000円で販売しています。「ひめさゆり」を複数人で利用する際におでかけパスを提示すると、料金が400円から300円もしくは800円から500円に割引されます。さらに飲食店や商店などの協賛店でおでかけパスを提示することで、割引やドリンクサービス等の特典も受けられます。

埼玉県志木市

平成27年から行われていた実証実験では予想を超える大幅な利用があり、その結果を踏まえて平成28年4月から志木市デマンド交通を本格実施しました。車両には既存のタクシーを活用しています。志木市のデマンド交通を利用できるのは、住民登録をしている65歳以上の高齢者・障がい者等・要介護等認定者・妊婦・未就学児のみです。利用には事前の利用登録による登録証の発行と、予約が必要です。

運行範囲は志木市内のみ(例外として、志木駅南口・新座志木中央総合病院・恵愛病院)で、「自宅から共通乗降場」「共通乗降場から共通乗降場」「共通乗降場から自宅」という3形態で運行しています。共通乗降場は公共施設や医療施設、商業施設など市内の主な施設で、個人医院、図書館、幼稚園・保育園、飲食店、コンビニなど400以上の乗降場が細かく設定されています。途中下車や立ち寄り、知人等との乗り合いはできません。

タクシー利用により、料金もタクシー料金による3段階制を採用。1.23kmまでは500円、その後261mまで毎に100円加算されていきます。迎車料金は走行距離に関わらず1回300円で、利用するタクシー事業者によっては予約料420円がタクシー料金に含まれます。

〈参照元〉

岩手県陸前高田市_陸前高田市ホームページ
(http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/kurashi/demand-koutuu/demand-koutuu.html)

栃木県大田原市_大田原市ホームページ
(https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2018022100040/)

岐阜県瑞浪市_瑞浪市ホームページ
(https://www.city.mizunami.lg.jp/kurashi/koutsu/1004598/1001554.html)

新潟県三条市_三条市ホームページ
(https://www.city.sanjo.niigata.jp/kurashi_tetsuzuki/kotsu/3/6069.html)

埼玉県志木市_志木市ホームページ
(http://www.city.shiki.lg.jp/sp/index.cfm/37,0,375,1322,html)

 

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