自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. データを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅について【自治体事例の教科書】

データを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅について【自治体事例の教科書】

データを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅について【自治体事例の教科書】

少子高齢化による職員の担い手不足や、住民のライフスタイルや行政ニーズの多様化に対応していくため、データを活⽤した⾏政サービスの効率化が求められます。そこで、総務省がデータを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅をとりまとめた「地⽅公共団体におけるデータ利活⽤ガイドブック」の概要を見ていきます。

【目次】
■データを活⽤した⾏政サービス改⾰の必要性
■データを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅
■開発に向けて

データを活⽤した⾏政サービス改⾰の必要性

これまでの⾏政サービスでは、住⺠や企業から申請や問題提起を受けるのを待って、⾏政が対応する申請主義や事後対応が基本でした。ですが、少子高齢化やニーズの多様化、ICT 技術の進展などに伴い、これからの時代には過去のデータなどから将来の問題発⽣を予⾒したうえで、問題が起きる前に対応する予測・予防型のサービスの提供が求められます。また、従来のような定型的で一律のサービスの提供だけでなく、個⼈情報などを安全かつ有効に活⽤したうえで、個⼈にカスタマイズして情報提供ができるプッシュ型のサービスを推進していくことも有効です。使い方次第でリアルタイムデータを活⽤した都市マネジメントや災害対策、データに基づく精度の⾼い政策⽴案・評価もできるようになります。

もっとも、新たな⾏政サービスの開発にあたっては、さまざまなデータの収集と整理が必要であり、どのように活用するかを検討しなくてはなりません。データ収集段階から、データの活⽤がしやすいようにしていくことが必要です。また、個⼈情報が含まれる場合には情報保護の徹底が図れるように、対策を講じていかなくてはなりません。これらの要請と課題を踏まえ、どのように各地方公共団体でデータを活⽤した⾏政サービスを開発していけばいいのか、その進め方の道しるべとして、総務省の情報流通⾏政局がとりまとめたのが「地⽅公共団体におけるデータ利活⽤ガイドブックVer. 2.0 」です。

データを活⽤した⾏政サービス開発の進め⽅

データを有効活⽤した新たな⾏政サービス開発の検討にあたっては、5つのステップを踏んでいくとスムーズです。ステップ1として⽬的を定めることが必要です。まずは、データを活⽤して何をしたいのか、⽬的を明確にします。

データから何かを発想するというデータ中⼼のアプローチではなく、最初にやりたいことを考えてからデータの活用法を考えるサービス中⼼のアプローチを踏むことが大切です。

ステップ2として、サービス内容を考えます。ステップ1で明確にした⽬的を達成するためには、どのような行政サービスを提供すればいいのか、具体的なサービス内容を検討していきましょう。サービスを検討する際には、期待する効果について⽬標値(KPI)を設定することも大切です。⽬標値(KPI)を設定することで、サービス開始後の効果測定がしやすくなり、PDCAサイクルによる、見直しと改善がしやすくなります。

ステップ3として実現⽅法を検討しましょう。その1点目として、どのようなデータが必要かを明確にします。とくに地⽅公共団体が保有する個⼈情報を含むデータは、個⼈情報保護条例に基づき適正に取り扱わなくてはなりません。そもそも使用していいかの可否をはじめ、⼿順や管理⽅法等について事前に⼗分な検討と確認が必要です。

2点目として、データを使うための⼿続を確立します。使用したいデータを明確にしたらデータを使うための⼿続について、しっかりと確認していくことが大切です。活⽤したいデータを明確にし、データを活用するための前提条件をまず確認します。

次にデータ取得時の根拠法令を確認しましょう。活⽤したいデータを取得した際の根拠法令を参照することが必要です。利⽤⽬的に制限がないか、制限がある場合には今回想定している活⽤⽅法が抵触しないかなど、活用にあたって法令に抵触しないか、しっかりと確認しなければなりません。

中でも活⽤したいデータが個⼈情報である場合には、とくに注意が必要です。地⽅公共団体が取り扱う個⼈情報の定義は、各地⽅公共団体で個⼈情報保護条例に規定された内容となりますので、条例に照らし合わせて個⼈情報に該当するかどうかをチェックする必要があります。

活⽤したいデータが個⼈情報を含む場合には、利用目的を確認しなくてはなりません。個⼈情報取扱事務に記載されている利⽤⽬的を確認し、⽬的の範囲内と言えるかを判断することが求められます。各地⽅公共団体が業務上保有している個⼈情報の利⽤⽬的は、個⼈情報保護条例に基づき、⾸⻑に届け出た後、個⼈情報取扱事務⽬録等の名称で⼀般縦覧されるのが一般的です。そのため、活⽤したいデータの利⽤⽬的を確認するために、当該データの個⼈情報取扱事務名を把握しなくてはなりません。

個⼈情報を活⽤するためには個⼈情報保護条例に関する⼿続とは別に、個⼈情報保有部署への申請や情報システム所管部署との調整など、別途、庁内⼿続を取らなくてはならないと定めている地方公共団体も少なくありません。そのため、個⼈情報保有部署や情報システム所管部署、個⼈情報保護所管部署などに確認、連携を取って必要な手続きを滞りなく踏むようにしましょう。

3点目としてデータの⼊⼿・共有⽅法を確認します。円滑なデータの活⽤と情報漏えいリスクの防止などを図るため、情報システムの運⽤を含め、データの⼊⼿方法や共有の⼿順を整理しておくことも大切です。情報セキュリティの確保も、徹底しておく必要があります。

4点目として、データを使った後に⾏わなければならないことを整理しておきます。個⼈情報保護条例や庁内ルールを踏まえ、データを利⽤した後の⼿続きを確認します。データの廃棄や消去などの方法を、確認しておくことが必要です。データ利⽤後にデータは消去するのか、消去履歴の取得も必要かなど、条例や庁内ルールを確認したうえで、データを使った後に必要な手続きも整備しておきます。

ステップ3の実現⽅法の検討ができたら、ステップ4としてサービスの開発に取り組みます。ステップ1〜3 の検討をもとにサービスを開発・導⼊をしていく作業です。いきなり導入に向けた開発を行うのではなく、プロトタイプ(試作品)を開発して効果や課題を十分に検証したうえで、本サービスの開発・導⼊を⾏う方法もあります。より慎重かつ効果的に導入をしたいなら、試作品の実証を行ってから、本サービスに移行するのが賢明です。

ステップ5として効果や課題を確認します。ステップ4で開発・導⼊したサービスが軌道に乗った段階で、ステップ 1で設定した⽬的と、ステップ2で設定した⽬標値(KPI)に対して、⼗分な効果が得られたかどうかを検証しなくてはなりません。開発・導⼊過程で⽣じた課題をピックアップし、それに対する対応策を整理して、今後の検討に活⽤していくことが大切です。

開発に向けて

限られた職員や財源で必要な⾏政サービスを維持しつつ、多様化した地域社会に対応していくためには、⼤幅な業務効率化による⽣産性向上が不可欠です。限られた⼈員・財源の中で住⺠の⽣活の質の維持向上を果たしていくため、データに基づいて現状を分析したり、データそのものを住⺠サービスに活⽤したりすることが求められています。

【参考文献】

総務省情報流通⾏政局  地⽅公共団体におけるデータ利活⽤ガイドブックVer. 2.0
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000620312.pdf)

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー