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データを活用を進める際の直面する主な課題と対応方法について【自治体事例の教科書】

2020/08/03

データを活用を進める際の直面する主な課題と対応方法について【自治体事例の教科書】

自治体がデータ活用を進める際の課題と対応方法の事例が、総務省がまとめた「地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブックVer. 2.0」で公開されています。どのような課題が多く、どういった対応をすればいいのかについて、同ガイドブックに掲載されている事例のなかから、4つのケーススタディを見ていきます。

【目次】
■「地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブック」とは
■「市民の生の声」との向き合い方
■データ分析基盤の整備と条例改正
■小規模自治体のデータ活用
■連携・委託のありかた

「地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブック」とは

このガイドブックは、政府の成長戦略である「未来投資戦略 2018」(2018年6月15日閣議決定)を受け、「『都道府県官?データ活用推進計画策定の手引』及び『市町村官民ータ活用推進計画策定の手引』」に明記された「データ利活用ガイドブック」として、総務省情報流通局地域通信振興課地方情報化推進室が、「地域におけるビッグデータ利活用の推進に関する実証」(2017年度実施)を通じて得られた成果をもとに、地方公共団体におけるデータ活用に当たっての手順を取りまとめたものです。

2018年度に実施した「自治体データ庁内活用相談会」及び「データ利活用型公務員手法の検証」を踏まえ、地方公共団体における具体的なデータ利活用の課題及びその対応策について整理するとともに、地方公共団体職員がデータ利活用手法を習得するための研修(データアカデミー型研修)の実施方法等についても取りまとめており、地方公共団体がデータ活用に取り組む際の、その取組を後押しする手引書という位置づけです。

また、2018年度に計3回行った「自治体データ庁内活用相談会」に参加した10の地方公共団体からの相談内容とこれに対する有識者からのアドバイスをもとに、地方公共団体がデータ活用を進める際に直面する主な課題と対応方法の例についてもまとめられています。次に、同相談会に寄せられた相談内容と、対応方法についての専門家からのアドバイス内容を紹介します。

「市民の生の声」との向き合い方

まず、1つ目の課題はアンケートをもっと有効に活⽤する方法はないかとの相談事例です。ある地方公共団体より、アンケートの⾃由回答の有効活⽤についての「毎年実施している市⺠意識調査において、⾃由意⾒欄の回答結果が⼗分に活⽤できていないとの課題を抱えており、アンケートの⾃由回答結果の分析⽅法、活⽤⽅法をはじめ、窓⼝や訪問での各種相談記録を有効活⽤する⽅法はないか」という相談でした。

この相談に対して、専門家から「市⺠の⽣の声を⾏政に活かす考え⽅は評価されるが、現在の技術では⾃然⽂の解析は難しい」「アンケートの⾃由回答を有効活用するには、アンケート票の設計段階から検討し直す必要がある」「他の定量的な質問と関連づけて分析したり、回答を分類・整理したりしたうえで、その後の対応と併せて公開することで、住民との情報共有や共通認識を持ち、住民から寄せられた声への対応をしていくのが望ましい」とのアドバイスがありました。

データ分析基盤の整備と条例改正

2つ目の相談事例で挙げられた課題は、住⺠情報などを⻑期間保存して分析・活⽤する「J-Storage」構想を実現するためのデータの収集・加⼯⽅法や運⽤ルール、条例改正の必要性についての相談事例です。それは「庁内データの保存と分析結果の共有を進める場合に、個⼈情報集約のリスクを軽減する方法や、セキュリティ対策、分析結果共有の運⽤ルールはどうあるべきか。また、個⼈情報保護条例を改正して、データ活⽤ルールを明⽂化したい」というものでした。

専門家からは、「新たに庁内データ活⽤の仕組みを作る場合に、必ずしも条例の改正をしなくても問題ない。⾃治体の状況に照らして条例改正を検討したい場合には、プライバシー保護にも留意した適切な案にする必要があるので、データの加⼯については個⼈情報であることを前提に、できるだけ漏えい時のリスクを低減する加⼯が求められ、過去のデータのアーカイブもしておくべき」とのアドバイスがなされました。

小規模自治体のデータ活用

3つ目の相談事例は、⼈⼝約7,000⼈あまりの⼩規模地⽅公共団体におけるデータ活⽤についてです。「自治体の規模的に予算や職員が限られる中で、パブリッククラウドを活⽤した庁内データの共有や利⽤ルールをいかにすべきか」「⼩規模な地⽅公共団体では、庁内データ共有にあたって、安価で使い勝⼿に優れたパブリッククラウドサービスの利⽤ニーズが⾼く、地⽅公共団体がパブリッククラウドを利⽤するにあたっての利⽤ルールや留意点はどういうものか」との相談です。

これに対して専門家からは、「最初のステップとして、庁内におけるデータ保存のルールの浸透など、職員のITリテラシーの向上が不可欠」「地⽅公共団体におけるパブリッククラウドの活⽤にあたっては、データの質や危険性を⾒極める必要があり、サービスのセキュリティや継続性、リスクを把握し、万が⼀情報漏えいが起きた際の対策もあらかじめ立てておく必要がある」とのアドバイスがありました。

連携・委託のありかた

4つ目の相談事例は、データ分析を⾏うための組織・体制、⼈材育成、外部委託、⼤学との連携についてです。相談内容は「データ分析の試⾏や庁内の組織・体制づくりを進めている中で、どの部分を内部で⾏い、どの部分を⼤学との連携や外部委託で⾏うべきかの判断基準が知りたい」というものでした。

専門家からは「データ分析業務は成果物の仕様がマチマチであるなど不明確なケースが多く、外部委託が難しい場合が少なからずあり、できれば⾏政職員、とくに担当する課の職員⾃らがデータ分析を⾏うことが望ましい。ただし、専⾨知識や能⼒が必要となるため、庁内での⼈材育成はすぐには難しく、庁内に専⾨部署を設けて対応したり、⼤学等と協⼒して⾏ったりするのも1つの方法だ」とのアドバイスがありました。

また、⼈材育成について「担当者や庁内の特定の部署でできることと、外部に依頼することを分けるのがポイント」とのアドバイスがあったほか、職員の意識改⾰については「まずはやる気のある職員を集め、有志を募り、短いサイクルでディスカッションして施策を⽴案し、責任者に提案する取り組みにトライさせ、⾏政職員全体に対するデータ活⽤のレクチャーや PR を⾏うことで、職員全体の意識改革や取り組みへのモチベーションを高める方法が考えられる」との具体的な方法の提案があり、「外部委託にあたっては、成果物を規定する請負ではなく、時間に応じて費⽤を⽀払う準委任の⽅法も1つの選択肢」「内部、外部委託、⼤学との共同研究といった多様な選択肢の中から、地⽅公共団体の実情に応じてバランスよく組み合わせて⾏うことが望ましい」といった実践的なアドバイスも専門家からありました。

【参考文献】

総務省 地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブックVer. 2.0
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000620312.pdf)

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