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地域IoT実装のための計画策定・推進体制構築支援事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

地域IoT実装のための計画策定・推進体制構築支援事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

地域課題を解決するために地域IoTの導入を検討しているものの、知識や経験が乏しく取り組みが進んでいない自治体を対象にした事業で、導入のための計画策定や推進体制構築を国が支援します。また、都道府県は「官民データ活用推進基本法」に基づき、「官民データ活用推進計画」の策定が義務づけられています。今回は、支援事業の対象に選定された自治体の取り組みと、北海道や宮城県などの活用推進計画の概要を紹介します。

【目次】
■熊本県宇城市
■島根県安来市
■北海道
■宮城県
■鹿児島県鹿屋市

熊本県宇城市

熊本県宇城市は2018年度の事業の対象となり「宇城市地域IoT実装計画」を2019年4月に策定しました。宇城市は2016年の熊本地震で被災し、IoTも活用した早期復興を目指していましたが、情報通信基盤整備や体制構築が進んでいなかったため、支援事業を活用して計画策定を進めました。

宇城市が特に力を入れるのが、熊本地震からの創造的復興と有害鳥獣による農作物被害対策です。防災対策では、豪雨や台風による被害が想定される場合や大規模地震が発生した場合に、国や気象会社、市職員らからの情報を対策本部に一元的に集約するとともに、避難所の被災者らに気象や救援物資などの情報を提供できるシステムを構築。害獣対策では、イノシシの出没・捕獲状況をセンサーで検知し、情報を収集・管理するシステムを構築します。このほか、教育や行政、観光、福祉などの分野についても2021年までに具体的な検討に入り、実現可能なものから順次、システムを構築していきます。

このうち、福祉分野では母子健康手帳を紛失した場合に備え、保管サービスとしての「母子健康情報共有システム(仮称)」や、健康な65歳以上の高齢者(アクティブシニア)に働く場を提供する「アクティブシニア雇用支援システム(仮称)」の構築に取り組みます。また、教育分野では、教育のICT化を推進するため、児童生徒が使う学習用コンピュータ(タブレット)や教師が使う指導用コンピュータ、無線LAN、デジタル教科書、電子黒板などについて国の整備基準を上回る規模で整備するとしています。

このほか、行政の業務の効率化や働き方改革では、公共施設の予約・貸し出しの効率化・キャッシュレス化を進めるため「公共施設予約・決済システム(仮称)」を構築し、RPA(ロボットによる自動化)やAIの導入によって職員の時間外労働の削減や効率化を図ります。ワーク・ライフ・バランスの促進に向けてテレワークの環境の整備も行います。

RPAについては、2017年度にふるさと納税と時間外労働の申請の業務について実証実験を実施しました。その結果、ふるさと納税業務に関する職員の負担が大幅に軽減され、時間外労働が不要となりました。また、時間外労働の申請を、各自でシステムに入力しその内容を自動集計するシステムに変えたところ、それまで集計作業をしていた総務課員の負担が軽減される成果が得られたそうです。市はRPAをその他の業務にも拡大していくことを検討しています。

島根県安来市

島根県安来市は「第2次安来市情報化計画」を策定しました。同市では2009年に第1次計画を策定し10年間取り組んできました。2次計画では1次計画の成果と社会的変化を踏まえ、引き続き地域の情報化に取り組むとともに、新たに住民と行政のコミュニケーション基盤の整備と官民データ活用を進めていきます。

同市は島根原子力発電所から30キロ圏内にあり、地震や豪雨などの自然災害のほか、原子力災害にも備えた行政と住民とのコミュニケーション基盤が必要です。このため、2次計画では従来の同報系防災行政無線に代わるシステムとして、「防災コミュニケーション基盤」を整備するとしています。新システムでは、スマートフォンやタブレット端末、専用戸別受信機を使い、防災メールや専用アプリを活用して行政と住民で双方向の情報のやりとりを可能にします。

また、官民データ活用の取り組みとしては、行政データのオープン化を進め、住民や事業者がまちづくりや利便性の向上にデータを活用しやすくします。このため市は2023年までの公開ファイル件数600件、オープンデータを活用した住民向けサービスの提供件数2件、などの目標を掲げています。

このほか、行政手続きのオンライン化などインターネットを活用した行政サービスの向上、学校や地域でのICT教育や普及にも1次計画から引き続いて取り組んでいきます。

北海道

北海道はICTを活用して地域の課題を解決するため、「北海道ICT利活用推進計画」を策定しました。特に北海道は広域分散型社会を形成し、人口減少も全国平均を上回るスピードで進んでいることから、こうした地域特有の課題の解決にICTを積極的に活用していく必要があるとしています。計画の推進期間は2018年から2021年までの4年間です。

北海道は全国的にみても、情報通信基盤の整備が遅れており、過疎地でのブロードバンド環境の整備や携帯電話の不感地域の解消が急務です。住民だけでなく国内外から訪れる観光客のためにも、情報通信基盤の整備を進めるとともに、観光施設や交通拠点、学校などの避難所にWi-Fi環境を整備していくとしています。

地域IoTについては、遠隔医療システムや遠隔授業、テレワーク環境の導入促進を図り、都市部から離れた地域や過疎地での医療体制や労働環境を整えるほか、住民やNPOの活動などに関する情報を様々なツールで発信し、地域コミュニティの構築を進めていく予定です。

宮城県

宮城県は2017年に「みやぎICT・データ利活用推進プラン」を策定しました。県では同プランを東日本大震災からの復興計画を下支えするICT分野での行動計画とも位置づけています。対象期間は2017年度から2020年度までの4年間です。

震災の経験をもとに、宮城県ではすでに「宮城県総合防災情報システム(MIDORI)」を運用し、災害時に防災情報を確実に伝達するとともに、被害状況の収集、初動体制の確立ができる体制を整えています。今後はさらに、きめ細やかな情報を入手し的確な判断ができるよう適切に運用していくとしています。

また、日常生活においては、保健・医療・福祉・教育の分野でICT・データを利活用する取り組みを進め、快適で便利な生活を送れるシステムを構築します。こうした施策に必要な情報通信基盤については、NTT東日本などと連携し、無料公衆無線LANの整備を図るほか、移動通信鉄塔施設の整備を市町村の要望に応じて進めてきます。

鹿児島県鹿屋市

鹿児島県鹿屋市では「鹿屋市情報化計画」を2012年に策定し2017年度までの6年間取り組んできました。現在の情報化計画は2019年に見直しを行った新たなもので、2019年度から2024年度までの6年間の計画になっています。

鹿屋市では、既に住民と行政の双方向での情報伝達ができるスマートフォン・タブレット向けアプリ「かのやライフ」を配信し、市が公衆無線Wi-Fiスポットの整備を行うなど、一定の基盤整備は進んでいます。

こうしたこれまでの取り組みの成果を受けて、市は行政から提供する情報の充実や教育現場でのICTの活用、スマートシティの推進などに取り組んでいくことにしています。

〈参照元〉

熊本県宇城市_宇城市地域IoT実装計画を策定しました
(https://www.city.uki.kumamoto.jp/q/aview/222/14643.html)

島根県安来市_第2次安来市情報化計画を策定しました
(https://www.city.yasugi.shimane.jp/shisei/keikaku/toshi/johokakeikaku.html)

北海道_北海道ICT利活用促進計画の概要
(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/jsk/keikakugaiyou.pdf)

宮城県_みやぎICT・データ利活用推進プラン
(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/734355.pdf)

鹿児島県鹿屋市_鹿屋市情報化計画
(https://www.city.kanoya.lg.jp/chijyouhou/shise/shisaku/johoka.html)

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