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行政におけるキャッシュレス決済・実施事例【自治体事例の教科書】

2020/07/07

行政におけるキャッシュレス決済・実施事例【自治体事例の教科書】

政府は、令和元年10月からの消費税率引き上げ後に懸念される消費の落ち込みへの対策として、消費喚起を行うとともに、キャッシュレス化推進に取り組んでいます。その一環として、各自治体では中小・小規模事業者を対象とするキャッシュレス・消費者還元事業が実施されることとなりました。今回は、このキャッシュレス決済について、実施事例に基づいて解説します。

【目次】
■キャッシュレス・消費者還元事業とは
■事例①【中小企業向けの講座によるキャッシュレス促進】(北海道小樽市)
■事例②【公共施設でのキャッシュレス決済導入に向けての実証実験】(福岡県福岡市)
■事例③【キャッシュレス都市(シティ)KANAGAWA宣言】(神奈川県横浜市)

キャッシュレス・消費者還元事業とは

キャッシュレス・消費者還元事業は、中小・小規模事業者がクレジットカードなど現金によらないキャッシュレス決済を行った場合に、消費者に対し最大で5%のポイントを還元する制度です。同事業を利用するためには事前申請が必要です。

経済産業省による調べでは、令和元年8月29日時点で約51万件の加盟店登録申請がなされています。経済産業省では、依然としてキャッシュレスになじみのない中小店舗の方を対象に、講師を派遣して基本的な使い方の説明やアプリ導入の支援などを行う「キャッシュレス使い方講座」を実施しています。

事例①【中小企業向けの講座によるキャッシュレス促進】(北海道小樽市)

北海道小樽市では、消費喚起の一環として中小事業者向けのキャッシュレス講座を行い、キャッシュレス決済を促進しています。同市では、キャッシュレス・消費者還元事業になじみのない中小企業に対して、同事業への加盟店登録を促すため、以下のメリットを報じています。

①消費者はポイント還元を受けられる
②決済手数料が3.25%以下
③決済端末導入の負担が不要

令和元年10月1日から令和2年6月30日までの期間中、国が消費者に対しては5%、中小・小規模事業者に該当するフランチャイズチェーン等には2%のポイント還元を行うことを広報しています。さらに同期間は、手数料が3.25%以下となる点に加え、国が1/3を補助することで、実質的な手数料が2.17%に押さえられるメリットを示しました。また導入時の負担についても、新規に導入する場合には、端末導入費用の補助によって費用負担が不要であることを示しています。

これらのメリットを講座によって広めることで、中小事業者のキャッシュレス決済導入への関心を強めました。同市が行ったキャッシュレス促進講座では、質疑応答形式で中小事業者からの疑問を受け付けており、加盟店登録を済ませていない事業者への理解を深める取り組みを行っています。

事例②【公共施設でのキャッシュレス決済導入に向けての実証実験】(福岡県福岡市)

福岡県福岡市では、「LINE」のアプリ上で展開する“スマホのおサイフサービス”「LINE Pay」を公共施設に導入するための実証実験を行いました。この背景には、同市が国内におけるクルーズ船の寄港回数がもっとも多い博多港を有する点が挙げられます。同港においてキャッシュレス決済を導入することで、スマートフォンさえあれば入場チケットを購入できるようになり、利用者の利便性の向上につながる他、施設側の決済関連業務の効率化を図る狙いがあります。平成30年6月29日から平成31年3月31日にかけて実証実験が行われた主な公共施設は、以下のとおりです。

①博物館
②動植物園
③アジア美術館
④駐輪場
⑤福岡タワー
⑥博多町家ふるさと館
⑦はかた伝統工芸館

以上の施設では、指定期間中に入場料等をLINE Payの「コード支払い」で支払うことで、LINE Payへキャッシュバックやプレゼントを受け取れるイベントをあわせて実施しました。その結果、実証実験後の公共施設従業員アンケート結果によると、「継続したい」と答えた人の割合が83%に達しています。同市が行った実証実験によって得られた成果は、以下のとおりです。

①利便性向上
②利用者の増加
③消費購買行動の活性化
④業務効率化
⑤インバウンド需要の拡大
⑥都市の魅力や生活の質の向上

キャッシュレス決済の導入によって、インバウンド客への支払い対応がスムーズになり、施設側および顧客の双方にとって業務効率化と利便性向上のメリットが得られる結果となりました。また、キャンペーン実施による利用者の増加や、キャッシュレスおよびイベントによるリピーター効果も得られました。その他にも、これまで利用していなかった層の開拓効果や、近隣の狭域エリアにおける回遊性を確認でき、店舗や商店街における消費購買活動の活性化にもつながっています。

同市では今後の課題として、近年増加傾向にあるインバウンド需要に向けて、「AliPay」「WeChatPay」への対応も検討しています。また、都市の魅力向上および市民のキャッシュレス意識向上に対しては、メディア取材効果が期待できます。

事例③【キャッシュレス都市(シティ)KANAGAWA宣言】(神奈川県横浜市)

神奈川県横浜市では、市民の利便性向上および事業者の人手不足解消への対策として、“キャッシュレス”を推進するため、平成30年11月13日に「キャッシュレス都市(シティ)KANAGAWA宣言」を発表しています。同市は、水道料金などの公金にキャッシュレスを導入し、電子マネーを利用して納付できるサービスを開始しました。これを受けて同市では、平成31年3月に水道料金等の支払い方法の1つとして「LINE Pay(請求書支払い)」を選択することが可能となりました。同市の「LINE Pay」による実際の支払いで必要なものは以下のとおりです。

①自治体から届く納入通知書
②LINE Payの利用登録を行ったスマートフォン
③LINE Payのチャージ残高(支払い金額分)

「LINE Pay(請求書支払い)」で決済を行う流れは以下のとおりです。

①お財布マークの「ウォレット」タブ内「請求書支払い」をタップする
②立ち上がったコードリーダーで手元にある請求書のバーコードを読み込む
③内容を確認し、支払いを完了する

また、その他の取り組みとして、キャッシュレス決済導入支援に向けた以下の取り組みを行っています。

①小規模事業者設備投資助成金
②商店街インバウンド対策支援事業
③公共施設におけるキャッシュレス決済の導入

同市は、小規模事業者設備投資助成金に、キャッシュレス決済に対応した端末の導入も対象とすることを定めました。この施策によって、中小企業基本法第2条第1項が定める小規模事業者(常時使用する従業員の数が20人(商業またはサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人)以下の事業者、フランチャイズチェーンを含む)であること、などのすべての要件を満たしている事業者に対して、業務改善や生産性向上のために導入する新たな設備等の費用の1/2(最大10万円)が助成されます。

また、商店街インバウンド対策支援事業では、訪日外国人の消費需要を取り込むために実施する事業のうち、決済の利便性向上のためにキャッシュレス化に取り組む市内商店街団体、各区商店街連合会の経費の一部を補助しています。対象となる費用は、以下のとおりです。

①キャッシュレス決済に関する勉強会の開催
②キャッシュレス決済に関する広報媒体の作成
③国際的に対応可能なクレジットカードや電子マネーの決済端末導入

同市では、これらの費用の2/3(最大50万円)を助成し、決済の利便性向上のため、キャッシュレス化への取り組みを推進しています。その他にも、公共施設にキャッシュレス決済を導入し、電子マネーによる支払いを実現しました。同市の施策によって、キャッシュレス決済が導入された主な施設は以下のとおりです。

①動物園
②スポーツセンター
③横浜美術館

これらの施設では、入園料や自動販売機、レストラン、売店等の一部で電子マネーを利用した決済が行えます。一部では、すべてをキャッシュレス決済で支払える施設もあります。

同市における今後の課題として、区役所および行政サービスコーナーで取得可能な戸籍・税の証明発行手数料の支払いについても対応を検討しています。同支払いについては、令和2年1月29日から、現金に加えて電子マネーの使用も可能となる見込みです。

〈参照元〉

北海道小樽市_小樽市ホームページ
(https://www.city.otaru.lg.jp/jigyo/shouhizei/cashless_shohishakangen/)

神奈川県横浜市_市会ジャーナル第194号政策調査レポート
(https://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/gikaikyoku/journal.files/R1-5.pdf)

福岡県福岡市_福岡市ホームページ
(https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/joho/shisei/qrcode_settlement.html)

国土交通省_新たな決済手法の導入に向けた実証事業報告書
(http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/bunyabetsu/kankou/
kadaikaiketsu/30kessai_houkoku.pdf
)

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