自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. 防災時のIoT活用に関わる自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

防災時のIoT活用に関わる自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

防災時のIoT活用に関わる自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

IoT(Internet of Things)技術の発達により、防災対策にも活用されています。本記事では、防災対策へどのようにIoT技術を活用しているのか、事例紹介とともに今後の課題についてもお伝えしていきます。

 
【目次】
■IoT技術を活用した防災対策
■今後のLアラートの普及・発展のための課題
■事例、糸島市、多久市

IoT技術を活用した防災対策

防災対策にもIoT時代が到来しています。これまではICT(information and communication technology)によって人とインターネット、人と人がつながっていました。

通信技術を使って情報をデジタル化、共有化して社会に反映させていました。IoT技術は「人」が関係せずに「モノ」が自動的にインターネットとつながります。

政府はIoTやビッグデータ、AI(人工知能)の活用を推進していて、成長戦略やIT戦略、地方創生を打ち出しています。

平成28年12月に公布・施行された「官民データ活用推進基本法」では都道府県や市町村による官民データ活用推進計画の策定が求められております。

地域においてもIoT時代への対応が必要になってきています。防災対策でもLアラートの運用開始やG空間防災システムの普及・発展が地域IoT実装推進ロードマップで示されました。

G空間防災システムは広域災害(地震や津波など)や緊急性を要する大規模な災害に対してG空間情報(地理空間情報)とICTを連携させる防災システムです。

G空間防災システムと地域連携を図ることで災害の予測力や予防力、対応力が強化できます。それにより被害の縮小や復旧・復興までの経済的・時間的なロスを最小限にすることを実現します。

具体的には「リアルタイム津波浸水・被害予測システム」「地下街防災システム」「地方防災システム」などです。

Lアラートについては次のテーマをご覧ください。

今後のLアラートの普及・発展のための課題

Lアラートとは、自治体などが災害情報をはじめとする公共情報をテレビ放送局を中心に多様なメディアに一斉送信する共通基盤です。Lアラートを利用することで地域住民は災害情報を効果的に素早く取得できます。

Lアラート情報の伝達はテレビ放送局のL字テロップ、データ放送、WEBサイト、防災情報アプリで活用されています。

Lアラートは2018年6月末時点で、福岡県を除く全ての都道府県で運用されております。

情報発信が可能な団体は全国の自治体や交通機関、ライフライン事業者などで、団体数は1,845団体です。

また、情報伝達が可能な団体は地上波テレビやラジオ、新聞などの758団体となっています。

2018年7月に発生した西日本豪雨では広島県や兵庫県、山口県、京都府といった地域で避難所情報や避難勧告・指示情報が頻繁に発信されました。

Lアラートの運用は全国各地で行われていますが、さらなる普及や発展には課題があります。考えられる課題は以下です。

(1)発信する情報の多様化
・災害発生後の被災者支援に関わる情報のLアラートへの発信(自治体からの災害関連情報の発信)
・電力・水道などの情報発信、河川情報の発信、交通情報などの発信(ライフライン情報などの発信)

(2)情報利用の多様化・高度化
・スマートフォンアプリ、カーナビ、デジタルサイネージなどでの利用促進
・メディアだけではなく、企業や公的機関などにも利用拡大
・災害関連情報の視覚的把握(Lアラート情報の地図化)

(3)持続的運用など
・防災システムの機能向上、入力訓練や誤入力補正の連携体制の整備(事前体制の強化)
・Lアラートの運営費用を利用者が負担していく考え方に転換

以上のように3つの観点から7つの課題があります。

課題の一つを取り上げると、Lアラート情報の地図化は有効です。観光客などの来訪者がその地域に詳しくなくても、避難勧告発令地区を簡単に理解することが可能です。

政府は観光立国を目指していますので、Lアラート情報の地図化は訪日外国人旅行者などに有益でしょう。

事例、糸島市、多久市

ここからは、IoT技術を活用した防災対策の実例を紹介します。

事例(1)福岡県糸島市「平常時においても利用可能なIoT × G空間地域防災システム」

熊本県人吉市で実施した総務省委託事業において実証・構築した「G空間地方防災システム」を実装しました。大学や民間企業などとの産学官協働により地域特性を考慮して平常時にも利活用可能な拡張を図っています。

平常時から自治体や地域住民との情報共有が可能になり、様々なAPIとの連携で災害対応時の業務効率化も進みました。

G空間情報技術などを活用することで、災害対策本部の意思決定支援や判断の高度化・迅速化にも効果があらわれています。

事例(2)佐賀県多久市「IoTとG空間情報を融合した多久市G空間地域防災システム」

糸島市同様、熊本県人吉市において実施した総務省委託事業で実証・構築した「G空間地域防災システム」を同市内で普及と展開します。九州大学と株式会社パスコとの産学官協働で地域特性を考慮したさらなる拡張を図っています。

また、G空間地域防災システムの構築やIoTとAPI連携による導入を進め、机上訓練や継続運用に向けた支援体制の検討・立ち上げを行なっています。

<参照元>
平成31年1月17日総務省情報流通行政局_ICT/IoTによる地域課題の解決に向けた総務省の取組
~Lアラートの推進等防災分野における取組を中心に~_(https://www.soumu.go.jp/main_content/000603343.pdf)
総務省_ICT地域活性化ポータル事業テーマ別 事例100選(糸島市、多久市)_(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/index.html#anc03)

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー