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AIを活用した取り組みについて・実施事例(基礎自治体)【自治体事例の教科書】

2020/07/07

AIを活用した取り組みについて・実施事例(基礎自治体)【自治体事例の教科書】

少子高齢化による人材不足と働き方改革の推進、より多様化かつ複雑化する住民へのニーズへの対応が求められる中、業務効率を高めて、よりよい行政サービスを提供するためにも基礎自治体におけるICT化は欠かせません。AIを活用して業務の自動化や効率化を推進し、住民への利便性向上や地域サービスの向上に役立てている基礎自治体をご紹介します。

【目次】
■福島県会津若松市:AIによる自動応答サービス
■神奈川県綾瀬市:自治体翻訳システムを通じた窓口業務の効率化
■福井県永平寺町:AIによる観光案内を通じた業務効率化
■北海道室蘭市:AIによる道路管理の省力化
■北海道岩見沢市:農業ビッグデータのAI解析による農作業の高精度化

福島県会津若松市:AIによる自動応答サービス

福島県会津若松市では、市民から寄せられるよくある問い合わせや各種証明書発行の申請方法について、AIが対話形式で自動応答する仕組みを構築しました。雪が降るシーズンには、除雪車の移動軌跡や現在の位置情報を表示させることができ、住民生活の利便性に貢献しています。

地域が抱えていた課題は以下の通りです。

ライフスタイルやワークスタイルの多様化により、「土日や夜間に行政への問い合わせができたらいいのに」という住民のニーズが高まっていました。ホームページが複雑で、行政手続の方法も多彩なため、何から調べればよいかわからず、適切なページにたどり着けないケースも少なくありません。

そこで、AIを利用し、次のような取り組みを行いました。土日祝日の休日診療医療機関案内、ゴミの出し方や収集日の案内、冬季の除雪車の位置情報を可視化する除雪車ナビを搭載しました。また、問い合わせが多い住民票や戸籍証明書、印鑑証明書等について案内する各種証明書の案内、各種手続に関する担当部署を案内する担当窓口の案内を、AIが対話形式で自動応答できます。

市民などに向けたアンケート収集機能も搭載しました。AI活用の成果として、24時間365日、自動応答で行政に関する問い合わせ回答が得られるようになり、市民アンケートの結果、80%以上から評価を受けました。簡易な問い合わせにはAIが対応できるようになったことで、対面による対応が重要な業務に職員が注力することが可能となります。また、従来把握できていなかった問い合わせ内容や件数、問い合わせ者の年代といったデータの蓄積と分析ができるようになったことで、将来の行政サービスの充実に反映できるメリットが生まれました。

神奈川県綾瀬市:自治体翻訳システムを通じた窓口業務の効率化

神奈川県綾瀬市は外国人の住民が約3,400人と、総人口に占める外国人比率が約4%にのぼり、県内で2番目に高い外国人居住地域です。そこで、外国人住民が使う言語に多い英語やベトナム語ができない職員であっても、日本語が得意でない外国人住民でも、自分が理解できる言語で行政情報が取得できるようにAIを活用することとしました。具体的な取り組みは以下の通りです。

日本初となる窓口現場での音声翻訳システムの実証実験を行うこととなりました。本庁総合案内をはじめ、庁内6か所に7台のタブレットを配置し、綾瀬市においてニーズが高い英語とベトナム語の2言語について自動翻訳システムを導入します。実証実験においてデータ収集を行い、行政手続において、どんな文脈でどんな単語が使われるのかをAIに学習させる取り組みです。

取り組みの成果として、日本語での意思疎通が困難な外国人住民に対して、各種案内や事務手続が円滑に提供できるようになりました。実証実験を通じて得たAIシステムの学習機能により、今後はさらに正確な案内ができることを目指します。

福井県永平寺町:AIによる観光案内を通じた業務効率化

福井県永平寺町は観光施設にもなっている大本山永平寺のおひざもとであり、年間を通して約100万人もの観光客が訪れます。ですが、そもそも観光案内所が整備されておらず、外国人観光客が増える中、英語・中国語・韓国語等で多言語対応ができる人材確保も難しいのが現実です。

そこで、観光案内所を設置するとともに、観光案内多言語AIコンシェルジュ導入により、外国人観光客へのスムーズなガイドを実現し、外国人の満足度向上を目指すこととしました。

具体的な取り組みは次の通りです。

大本山永平寺の入り口となる新参道が整備されるタイミングで、参道入り口付近へ観光案内所を設置し、観光案内多言語AIコンシェルジュを導入しました。
日本語・英語・中国語・韓国語等の多言語対応ができ、永平寺町をはじめ、隣接市の観光スポットや飲食店、物産品店のおすすめをAIが自動応答でガイダンスします。

多言語対応のタッチパネル式サイネージで、各種言語で観光客が質問をすると、独自のキャラクターが登場し、音声・画像・文字で答える仕組みです。日本語対応もできるため、外国人はもとより、日本人観光客の案内にも役立ちます。取り組みの成果は次の通りです。

行政機関や観光案内に関する人手不足の課題に対応できるとともに、職員を常時雇用する場合に比べてランニングコストが抑えられました。タッチパネル画面をタッチするだけで、自分が理解できる言語で情報を得られるシステムは観光客にも好評です。分析機能も搭載されていることから、来客者数や性別、管内行動解析などを通じて外部機器との連携を図ったり、今後のシステム機能強化につなげて、さらに自然で正確な案内ができたりするようになると期待されています。

北海道室蘭市:AIによる道路管理の省力化

北海道室蘭市が管理する道路延長は約440kmと膨大です。道路の老朽化が急激に進んでいる中で、限られた職員で市内全域の路面健全度を網羅的に把握していくのは困難を極めます。限られた予算で、いかに効率的・効果的な維持管理を行うかが課題となっており、補修工事・修繕を行う路線の優先順位を付けることが求められます。しかし、職員による目視点検は調査結果にバラつきがあることも多く、精度の確保に課題が残されていました。

そこで、費用も安価で導入しやすい車載カメラとAIを用い、路面画像からひび割れを自動検出させ、道路のひび割れ率の検出とランク付けを行うこととしました。AIを活用することで客観的に路面の健全度を把握できるようになり、道路管理の効率化・省力化が実現されます。

具体的な取り組みは次の通りです。

室蘭工業大学との共同研究を行い、AIによる路面ひび割れ率自動検出システムを開発しました。次に約440kmの路面撮影を行って、ひび割れ率を検出し、ランク別に色分け・マッピングして可視化を図りました。

取り組みの成果は以下の通りです。

バラつきなく、正確な調査を行う方法として路面性状測定車の利用もひとつの選択肢ではありますが、莫大な費用がかかるため、予算的に実現ができません。車載カメラとAIなら、低コストで市内全域の路面健全度の把握が可能となります。補修工事・修繕を行う路線のスクリーニングを、AIによる客観的データをもとに実施でき、職員の目視点検によるバラつきリスクを解消し、コストパフォーマンスのよい結果が出せました。また、マッピングにより路面健全度を視覚的に捉えられるようになり、職員全員で共通認識を持って、計画的な道路管理につながっています。

北海道岩見沢市:農業ビッグデータのAI解析による農作業の高精度化

高齢化の進展や農業離れにより、農家戸数や農業就業人口の減少が進み、岩見沢市の基幹産業が厳しい現実を迎えています。岩見沢農業の持続性確保のために、気象や土壌データなどをAIで解析し、農作業の最適化に資する各種情報提供を行うこととしました。

具体的には、市内13か所に設置した気象観測装置で取得する各種気象データや栽培履歴データをもとに、農作業スケジュールの最適化に向けた解析と予測情報を配信しています。平成30年からは、配信対象作物の拡大や管理作業の最適化に役立つスケジュール管理機能の追加など、スマート農業に向けて開発を進めています。

〈参照元〉

総務省_地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf)

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