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「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」

【自治体通信Online 寄稿記事】自著書評(所沢市 財務部長・林 誠)

「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」

日本型人材育成は「習うより慣れろ」式のOJTが多いとされます。とりわけゼネラリストの育成が必要なため“畑違いの分野”への異動が頻繁に発生する自治体組織では特にそうした傾向が強いと言われます。しかし、OJTでその部署の仕事の進め方を覚えることはできても、意外と見落とされがちなのが“自治体職員という仕事”の基本―。それを80項目に分類し、ツボを押さえて体系化したのが所沢市(埼玉)財政部長を務める林 誠さんの近刊「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」です。同書のポイントや活用法などを著者の林さんに解説してもらいます。
【目次】
■ 本書のきっかけ
■ 最初の配属先でその先の人生が決まるのは理不尽
■ 「読み書きそろばん」+α
■ 役所で働く人すべてに通じること

本書のきっかけ

はじめまして。所沢市役所に勤務している林と申します。

役所では、企画部門や財政部門、商業振興部門などに携わり、その間、いろいろな新しい取り組みに挑戦させてもらいました。導入期の行政評価、事務改善の発表会、商店街でのさまざまなイベントの立ち上げ、婚活事業などなど。

個人的な活動としても、お笑いのコンテストに出場したり、ロックバンドを組んだり(周りからはコミックバンドと思われていますが)、本を出させていただいたりと、かなり自由に過ごさせていただいてきました。

そうこうしているうちに齢を重ね、いつの間にやら50代の半ばに差し掛かっています。もう大が付きそうなベテランです。若い人から見たら、父親以上の年齢かもしれません。

そんな年齢になり、ふと、これまでいろいろな方にお世話になってきたのだから、何か恩返しすることはできないか、と考えました。そしてそれは、これまでの役所人生で教わってきたもの、培ってきたものを、次の世代につなげることなのではないかと思い至りました。

それがこの本「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」(下写真)を書くこととなったきっかけのひとつです(囲み記事参照)

~「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」の概要~
総務・企画部門から事業部門まで、どこに異動しても使える基礎・基本スキル80!
なぜ、同期の2人に数年後、大きな差がつくのか? ―その答えは「基礎」にあった! どこの部署でも共通して必要なスキル、いわば公務員の基礎体力に必要な要素を「読み書きそろばん」になぞらえてピックアップ。「読む」「書く」「数字・財政」「話す」「IT」「キャリア」の大きく6つに分類し、身につけているかどうかで決定的な違いを生む「公務員の必修科目」を全網羅!(版元の学陽書房のサイトより)

最初の配属先でその先の人生が決まるのは理不尽

どんな会社でもそうした傾向はあると思いますが、役所では特に最初の配属先がその後の働き方を大きく左右するように思います。

明るく元気で前向きで、向上心たっぷりな先輩たちに囲まれたら、自然と楽しく働けるようになるでしょう。困難に当たっても、ひるまず立ち向かっていけそうです。

反対に、二言目には「どうせ」と言ってしまうような先輩と席を並べていたら、その先も斜に構えっぱなしになりそうです。難しい問題を避け、自分の殻に閉じこもってしまうことになるかもしれません。

気持ちの持ちようだけでなく、仕事の進め方や業務上のノウハウなどの伝え方も、職場によっては不十分なところがあるように感じます。電話の出方や名刺の渡し方といった基本はもちろん、文書の作り方や予算の編成の進め方といった仕事の根幹にかかわることが、きちんと受け継がれていない所属もあるのではないでしょうか。

配属先によって日々差がついてしまうのは不公平ですし、それによってその先の役所人生まで影響されてしまうのは、理不尽であるようにさえ思います。

この本では、すぐにでも役に立ち、どんな分野の所属でも使える仕事の基礎といったものを伝えることを目指しました。そしてそうした力を、担当してくださった出版社の方との間で「ポータブル・スキル」と呼んでいました。一度身につければ、どこにでも持っていけるという意味です。残念な配属先に当たってしまった人も、この本を読むことによって必要なスキルのいくばくかを獲得できることを目指しました。

2020年の春に採用された皆さんの中には、コロナの影響で、最初の集合研修なしに、いきなり所属先に放り込まれた方もおられると思います。職場でも、あまり丁寧に仕事の進め方を教わることができなかったかもしれません。そうした皆さんにも届けられたらと思います。

「読み書きそろばん」+α

一般に「読み書きそろばん」とは、江戸時代から昭和の前半くらいまでの時代に行われていた基礎的な教育内容のことをいいます。時代は変わりましたが、この3つの要素が大切なのは、今も変わらないと思います。

もちろん、今の職場にそろばんそのものが必要かと言うと、そんなことはありません。パソコンが普及しているので、電卓さえあまり使わないでしょう。しかし、計数感覚といったものはやはり必須であり、一定の計算能力やコスト感覚も求められます。

「読む」力も重要です。役所では、法令や補助金の取扱要綱など、大量の文書を読むことが求められ、そこから必要な要素をしっかり読み解かなければなりません。さらに、新聞や雑誌を読んで世の中を知ること、本を読んで自分の世界を広げることなど、読むことには奥深いものがあります。

「書く」力で求められるものも広がっています。簡潔でわかりやすい文書を書き、正しく起案を上げるのはもちろんのこと、伝わるチラシやポスターを作ることの重要性も高まっています。

さらにこの本では、「話す」力やキャリア形成についても章を割いています。仕事を円滑に進めるために、また地域の方に納得して動いていただくために、対話する力が求められています。また、役所人生を長期的に展望し、自ら主体的にキャリア形成を図っていかないと、日々の業務に流されてしまうので注意が必要です。

また、コラムとしてそれぞれの部門(企画部門やら産業部門やら福祉部門やら)で身につけたい力について書いたのですが、ありがたいことに好評のようです。

タイトルから、堅苦しい勉強本をイメージされるかもしれませんが、ちょっと違います。自分自身の失敗経験や成功体験をもとに、どんなことを心がけて、どんな行動をしたら成果に結びつきやすいか、なるべく具体的に書いたつもりです。

そして、こんなことに気を配れる職員が増えてほしいなあ、という思いも込めました。この本に書いてあることを実践したら、役所の先輩、上司、同僚、そして何よりも住民のみなさんから「おヌシ、やるなぁ」「わかってるなぁ」と思っていただけるのではないでしょうか。

役所で働く人すべてに通じること

この本に書かれていることは、目新しいことや、あっと驚くようなことではありません。自治体通信ONLINEをお読みのみなさんからすれば、先刻承知、という内容かもしれません。

ですが、知っていること、わかっていることと、実際にできていることは別物です。私自身、ここに書いたことをちゃんと実践できているかと問われたら、「うぐっ」と詰まってしまいます。

もともとは、役所に入って間もない、若い人のために書き始めたのですが、進めていくうちに、役所で働く人すべてに通じることであるような気がしてきました。若い人には、役所人生を一層意義のあるものにするための参考書として、中堅・ベテランの方には、改めて仕事の進め方を振り返るとともに、後進を指導するときの補助資料として、活用していただけると幸いです。

 
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林 誠(はやし・まこと)さんのプロフィール

所沢市(埼玉)財務部長

1965年滋賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。日本電気株式会社に就職。その後、所沢市役所に入庁。一時埼玉県庁に出向し、現在に至る。市では、財政部門、商業振興部門、政策企画部門等に所属。役所にも経営的な発想や企業会計的な考え方も必要と中小企業診断士資格を、東京オリンピック・パラリンピックに向けて通訳案内士資格を取得。また、所沢市職員有志の勉強会「所沢市経済どうゆう会」の活動を行う。著書に「お役所の潰れない会計学」(自由国民社)、「財政課のシゴト」(ぎょうせい)、「イチからわかる!“議会答弁書”作成のコツ」(ぎょうせい)、「9割の公務員が知らない お金の貯め方・増やし方」(学陽書房)がある。近著は「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」(学陽書房)。

<ブログ>
「役所内診断士兼案内士のヨモヤ」
https://matoko.blog.ss-blog.jp/

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