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自著書評

飛び出す! 公務員~時代を切り拓く98人の実践~

【自治体通信Online 寄稿記事】
自著書評(元・地域活性化センター振興部地域づくり情報課長/島根県庁 職員・岩田 裕治)

自治体組織の“外”で活躍する公務員が増えています。そうした、従来の枠組みにとらわずに活動する自治体職員がそれぞれの体験談等を綴った『飛び出す! 公務員~時代を切り拓く98人の実践~』(学芸出版社)がこのほど刊行されました。一般社団法人 地域活性化センターで同書の出版に携わった島根県庁職員の岩田 裕治さん(刊行時は地方活性化センター 地域づくり情報課長)が出版の経緯や同書の読みどころ等をお伝えします。

出版の思い

平成から令和という時代の流れの中で、民間企業を含めて副業や兼業のメリットを積極的に認める時代となり、転職もかなり自由になりました。

公務員も、地方公務員・国家公務員を問わず、地域活動や社会貢献活動だけでなく、公務で培ったスキルを活かしてさまざまに飛び出しています。民間企業だけでなく他の自治体への転職も多くなり、早期退職して自分で事業を始める人もいます。

本書『飛び出す! 公務員~時代を切り拓く98人の実践~』(学芸出版社)は、一般財団法人地域活性化センター・椎川忍理事長の「全国各地で活躍している『飛び出す! 公務員』の体験談を披露したい」との思いから企画され、編著者がそれぞれに呼びかけ、椎川理事長の思いに賛同した98人の『飛び出す! 公務員』が執筆くださいました。自らの体験を元にその楽しさ、得られたものを率直に書いて頂いた実践集です。

ちなみに、後ほどにまたご説明しますが、本書の出版に際して私は出版社さんとのやり取り等を行う事務局を担いました。

『飛び出す! 公務員~時代を切り拓く98人の実践~』の概要

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本書の表紙カバー

《目次》
1.「飛び出す」ススメ
2.飛び出し方にスタイルはない
3.本業にゆるくつながる
4.まちづくり、地域づくりに飛び出す
5.住民の懐に飛び込む
6.組織の風土を変える
7.さらに大きく飛び出す
飛び出す公務員を語る―オンライン座談会

《編著者》(肩書・所属は発刊当時)
椎川 忍(地域活性化センター理事長)/牧 慎太郎(自治大学校客員教授)/澤田 史朗(内閣官房)/野﨑 伸一(厚生労働省)/井上 貴至(山形県山形市副市長)/前神 有里(地域活性化センター人材育成プロデューサー)/後藤 好邦(山形市役所)/吉弘 拓生(地域活性化センター)
発行協力・監修:地域活性化センター

組織・働き方改革の参考になる事例も紹介

本書では、
・兵庫県尼崎市職員の江上昇さん、桂山智哉さんの行政課題を漫才等でわかりやすく伝える活動(詳細は本書「得意を活かして地域と関わる」で紹介)

・愛媛県松前町元職員の高橋陽子さんの公務員を退職しフリーランスになるまでの葛藤やフリーランスとしての活動への思い(同「まちのファンと幸せな家族を増やして生きる」で紹介)

・福島県いわき市職員の猪狩僚さんの元気で素敵な高齢者や介護、老いなどに関する情報を発信する「いごく」(いわきの方言、意味は本書でご確認ください)の活動(同「庁外に広がるチームといっしょに」で紹介)

・愛知県から厚生労働省に出向されている安藤亨さんからは豊田市での住民のための仕事をするための組織づくりや職員同士の連携・調整ができる環境づくりの取組(同「自分のまちならどうかを考える」で紹介)

・福井県坂井市職員の斉藤正晃さんの縦割りを超えた庁内横断の包括的な支援体制の構築(「カルチャーショックを受けた事務分掌」で紹介)

・愛知県豊根村職員の青山幸一さんの地域に出て小さな声を聴くことの大切さ(県から一番小さな自治体に飛び出す)

・元北海道職員の石井あゆ子さんの政治の世界への飛び出し(同「求ム! 政治に飛び出す公務員」で紹介)

など、多様な活動や考えが語られています。

これだけの様々な活動であるにも関わらず、皆さん自身の取組に近いもの、関心のあるものからお読みになっていただくことができるよう、出版社の編集者が似通っている、通ずるものがある内容を括り、章立てしてくださっています。

また、巻末には飛騨市の都竹淳也市長、滋賀県再任用職員の中西大輔さん、山梨県北杜市職員の齊藤ゆかさん、編著者である地域活性化センターの椎川理事長、人材育成プロデューサーの前神有里さん(地域活性化センター)、山形市の井上貴至副市長、地域活性化センター職員の飯野直美さんをメンバーに開催したオンライン座談会の様子も掲載しています。

ここでは、プロジェクトチーム方式で課の枠を超えて取り組んでいる事例や、入庁から3年は学校で学んできたことや前職に近い部署に配属することが話されており、個人の飛び出す活動だけでなく、組織・働き方改革にも参考となることが語られています。

サポートや応援も飛び出し方のひとつ

筆者は本書の発行において、執筆者との原稿調整や、出版社とのやり取りを行う事務局を担いました。私自身は入庁してから予算、経理といった内部管理的な仕事に就くことが多く事業課経験も少なかったため、この業務に携わることになった際は「飛び出していない自分がなぁ…」と重たい気持ちでした。

しかし、オンライン座談会の中で「外に出るだけでなく、外に出る人を中でサポートすることも飛び出し方のひとつ」とか「自分は現場に出られないけど応援しているよ」「応援している人とのチームが作れば理想的」といった話があり、実際に地域に出て何かをするというだけでなく、「サポートや応援でも『飛び出す! 公務員』なんだ! これなら自分もやってきた自負はある!」と「自分も執筆者の方と仲間なんだ」という気持ちが湧いたことを思い出します。

公務の世界では『複雑多様化する行政ニーズに対応するために各課、各部局が連携』ということが長く言われていますが、本書に掲載されている方々はそのような使命感で飛び出していないように思います。今、地域で、職場で起きている課題を何とかしたい、率直にその思いで活動されているのではないでしょうか。

同時に「飛び出す! ということは当事者になるということではないか」このようにも感じています。

最後に…

執筆いただいた98人、オンライン座談会の参加者も加えると102人、この『飛び出す! 公務員』たちの実践を読むと、みなさんが生き生きと笑顔で活動している姿が思い浮かぶともに、清々しい気持ちになります。

飛び出し方は様々です。今の業務から一歩踏み出したい、何か地域に貢献したいと考えられている方はもちろん、職員育成に携わっている方々も含め、多くの方に手に取っていただきたいと思います。

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岩田 裕治(いわた ゆうじ)さんのプロフィール

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1995年島根県入庁。主に、健康福祉分野、県立大学、教育委員会で勤務し、2021年~2022年、一般財団法人地域活性化センターへ派遣。
一般財団法人地域活性化センターは、活力あふれ個性豊かな地域社会を実現するため、ひとづくり、まちづくり等地域社会の活性化のための諸活動を支援し、地域振興の推進に寄与することを目的として、1985年10月に、全国の地方公共団体と多くの民間企業が会員となって設立。2013年4月に一般財団法人へ移行。

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