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SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン

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【自治体通信Online 寄稿記事】
自著書評(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教・高木 超)

慶應義塾大学大学院の高木超 特任助教(元大和市職員)が先進的な自治体のSDGs最新事例を紹介・分析した新著『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』(学芸出版社)を3月に出版します。高木特任助教は、各地の自治体でSDGsを推進するアドバイザーとして活躍中。「本書を通じて政策の“引き出し”を増やしてほしい」と話す高木特任助教に、豊富な事例で“自治体×SDGs”の大きな可能性を描いた同書の出版背景や活用法などを解説してもらいます。

本書出版の背景

自治体職員の中で「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という言葉を一度も耳にしたことがない人はいないのではないかと思うほど、自治体の各種計画や事業の説明資料でカラフルなSDGsのアイコンを目にするようになりました。

テレビや雑誌でもSDGsの特集が組まれ、小中学校の授業でもSDGsを題材とした学習機会が提供されるなど、住民の間でもその認知度は年々高まっています。

一方で、自治体にとっては突然現れた「持続可能な開発目標(SDGs)」という存在に対応することに追われている職員も多いのではないでしょうか。

例えば、「自治体が取り組んでいる業務自体がSDGsなので、新たに何かを行う必要はない」という声が聞こえます。本当にそうでしょうか。

また、「SDGsのロゴを名刺に印刷して周知を図ることや、各種計画にSDGsのカラフルなアイコンを紐付けて表示することが自治体におけるSDGsの活用方法だ」という声も聞こえます。その方法で、まちに何か変化を起こすことができるでしょうか。

確かに各種計画で既存政策・施策・事務事業をSDGsの観点から整理することは、活用に向けた重要な一歩です。しかし、それで満足してしまっては、まちには何も変化は起きませんし、せっかく時間を費やしたのに効果のない「無駄な仕事」になってしまいます。

その結果、自治体職員にSDGsの達成に向けた行動が「意味がないこと」であると捉えられてしまうことや、流行のひとつとして捉えられてしまうことは、自治体にとっても損失なのではないかと感じています。

本書に込められた想い

そこで、自治体職員の皆さまがSDGsを活用するための視点や手法を伝えるために、2020年3月に『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』(学芸出版社)、同年10月に『まちの未来を描く! 自治体のSDGs』(学陽書房)を上梓しました。とても嬉しいことに、これらの書籍は多くの皆さまにご覧いただきました。
(参照:「SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法」「まちの未来を描く! 自治体のSDGs」)

一方で、SDGsではマルチステークホルダーの参画、つまり多様な立場の人が関わることも求められています。

自治体の職員として「住民協働」に携わったことがある自分にとって、地域課題を自治体の中だけで閉じるのではなく、企業や団体と連携することで新たな解決の可能性が広がることをイメージしていただける書籍を出版し、皆さまにお届けしたいという想いがありました。

それから約2年の歳月をかけて、出版することが叶ったのが本書『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』(学芸出版社)です。この場をお借りして、本書のお薦めポイント等についてご紹介させていただきます。

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『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』(学芸出版社)の表紙カバー

SDGsの実現に向けた行動を公民連携で行う利点

まず、本書『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』ではSDGsが自治体や地域社会にもたらす利点を解説しています。そのひとつが、「庁外の基準でまちの現状を見つめ直せること」です。

世界の課題を集約したSDGsを用いて、その観点から地域課題を分析することで、自分たちの地域で発生しているにもかかわらず十分に課題として認識できていなかった事柄や、今後自分たちの地域でも重要性を増す課題を確認することができます。

そして、その解決に向けて、庁内での検討に終始せず、庁外の主体との連携も検討することで、思いもよらない解決策を見つけ出し、実行することができるはずです。

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SDGsの視点を用いることで、これまで捉えきれていない課題を顕在化させる

本書では、こうした公民連携を推進するSDGsの特徴をご紹介することに加え、キーパーソンへのインタビューも掲載しています。

2018年から政府は「地方創生SDGs達成に向け、優れたSDGsの取組を提案する地方自治体」を「SDGs未来都市」に選定しています。本書では、その推進に重要な役割を果たす内閣府地方創生推進事務局の青木由行さん(地方創生事務局長)に、自治体がSDGsを進めていくために必要なことや、公民連携の重要性についてお話を伺い、記事としてご紹介しています。

豊富な事例とキーワード解説で進め方を具体的にイメージできる

また、本書の大きなお薦めポイントは、豊富な事例を掲載しているところです。

SDGsを推進する全国の自治体の中から、筆者が公民連携を有効に活用していると感じる10の取り組みを紹介しているほか、公民連携を加速する7つのキーワードを自治体での事例とともに説明しています。

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住民のSDGs達成に向けた行動を集めて庁舎に掲示する亀岡市(京都)。同市の多様な連携協定を活用した脱プラスチック推進の取り組みは本書でも紹介

持続可能なまちづくりに向けた公民連携にも、業務委託や指定管理者制度、包括連携協定など様々なアプローチがあります。

本書では、委託契約によって「グリーンボンド」を活用した事業を進める金沢市(石川)と株式会社地方グリーンプロジェクト支援研究所の取り組み、指定管理者制度に基づく上勝町(徳島)と株式会社BIG EYE COMPANYによる取り組みといったように、それぞれの事例がどのような公民連携の手法で実施されているかも言及しています。

こうした多様な連携手法を整理しながら事例を理解することで、実際に公民連携の方策を検討する際に、読者の皆さまが政策の「引き出し」を増やすことができることを願っています。

《本書で紹介している10の取り組み》

①循環型水利用システムによる都市公衆衛生の向上
神奈川県鎌倉市×WOTA

②大都市の多様な担い手を支援する認証制度の設計
神奈川県横浜市×ヨコハマSDGsデザインセンター×市内企業

③環境債(グリーンボンド)を活用した地域主導の公共事業スキーム
石川県金沢市×株式会社地方グリーンプロジェクト支援研究所

④産官学金連携で図る里山里海の保全と経済の両立
石川県珠洲市・能登SDGsラボ×市内企業・事業構想大学院大学

⑤エネルギーの地産地消で創る都市・山村の未来像
愛知県豊田市×三河の山里コミュニティパワー

⑥地元企業の経営課題克服とイノベーション促進
滋賀県×経済界×金融機関

⑦多様な連携協定を活用した脱プラスチックの推進
京都府亀岡市×霧の芸術祭実行委員会/一般社団法人Social Innovation Japan

⑧オンライン化で実現する足を運ばなくていい役所
大阪府富田林市×株式会社グラファー

⑨地域ぐるみで挑むゼロ・ウェイストのまちづくり
徳島県上勝町×株式会社BIG EYE COMPANY

⑩目指すは資源循環型のサーキュラーヴィレッジ
鹿児島県大崎町×合作株式会社

限定ノベルティも配布

本書の出版にあたり、SDGsと身近な暮らしの接点をみつけるためのツールとして開発したカードツール「MIJI-SUS(みぢさす)」をノベルティとしてご用意しています。

これは、誰もが一度は目にしたことがあるような風景が切り取られた写真(表面)と、SDGsの関係についての解説(裏面)から成るカードを用いて、日常生活に存在しているけれども、なかなか意識しない「サステナビリティの種(SDGsの要素)」を見つけていただくためのツールです。

一目見て分かるものから、想像力を働かせてみることが必要なものまで、多様な種類を揃えていますので、学校で、家庭で、職場で、ぜひ友人や家族、同僚と一緒にカードを囲み、SDGsについて話し合っていただければ嬉しく思います。

《MIJI-SUSの使い方》

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Step1ー写真を見る(表面)

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身近な光景を撮影した写真を見て、SDGsに関係することを探してみよう。 何人かでグループを作って話し合ってみると、いろいろな意見がでるかも。
Step2ー説明を読む(裏面)

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裏面に書かれた説明を見て、どのような点がSDGsに関係しているか、確認してみよう。 その後、「さらに考えてみよう!」の欄を見ながら、ほかのゴールとのつながりについても考えてみよう。

「MIJI-SUS」は書籍の限定ノベルティとして配布しており、学芸出版社ウェブサイトから新刊を購入いただくことで入手できます。ぜひ入手して、身近なSDGsを見つけてみてください!
限定ノベルティ付書籍購入はこちら▶︎
https://book.gakugei-pub.co.jp/sdgs-miji-sus-card-tool/ 

《お知らせ》
自治体においてSDGsを推進するアドバイザーとして各地で活躍されている高木超さん(慶応義塾大学特任助教)と、公民連携やスマートシティ・DXの領域で弁護士として活動する傍ら、企業におけるダイバーシティ経営の促進にも取り組まれている越直美さん(前大津市長)が対談するオンライイベント「ふたりの実践者の視点で見る“SDGsと公民連携によるまちづくり”」(主催・学芸出版社)が2022年3月4日(金)に開催されます。
※詳細はコチラ https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-event-sdgs-20220304/

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自治体通信への取材依頼はこちら

高木 超(たかぎ こすも)さんのプロフィール

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慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教
1986年東京都生まれ。NPO等を経て、2012年から神奈川県大和市役所の職員として住民協働等を担当。その間、明治大学公共政策大学院を修了。17年9月に退職し、渡米。クレアモント評価センター・ニューヨークの研究生として「自治体における SDGs のローカライズ」に関する研究を行う。帰国後の19年4月から現職。
国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)研究員、内閣府地域活性化伝道師、ジャパンSDGsアクション推進協議会事務局国際渉外担当ディレクター、SDSN Japan Network Manager、鎌倉市SDGs推進アドバイザー、亀岡市参与(SDGsアドバイザー)、川崎市SDGs推進アドバイザー、能登SDGsラボ連携研究員、ヨコハマSDGsデザインセンター・アドバイザーを兼務。そのほか、ミレニアル世代・Z世代でSDGsを推進する団体「SDGs-SWY」を創設し、2021年3月まで共同代表。
著書に『SDGs ×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』(学芸出版社)、『まちの未来を描く! 自治体のSDGs』(学陽書房)、『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』(学芸出版社)など。日本評価学会認定評価士。

<連絡先>
下記のウェブサイトの「お問い合わせ」からお願いします。
https://www.cosmo-takagi.com/