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住民の心をつかむ自治体チラシ 仰天!ビフォーアフター

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【自治体通信Online 寄稿記事】自著書評(足立区シティプロモーション課)

 “まち”を変える行政チラシの作り方を足立区(東京都)シティプロモーション課が刊行しました。足立区のイメージアップの原動力となった“秘伝のノウハウ”をまとめた『仰天!ビフォーアフター 住民の心をつかむ自治体チラシ』(学陽書房)のポイントについて同区シティプロモーション課に解説してもらいます(筆者は同課の舟橋左斗子さん)。

こんな使い方ができる本

全国の自治体のみなさん、こんにちは。東京、足立区のシティプロモーション課です。

 突然ですが、チラシをつくる担当になったことはありますか?

 実は、足立区でこの10年取り組んできたチラシ改革(情報発信改革)を、1冊の本『住民の心をつかむ自治体チラシ 仰天!ビフォーアフター』(学陽書房刊)にまとめました!(下画像参照)

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そして発売から好評をいただき、1ヵ月余で増刷の運びとなりました。ここでご紹介させていただく機会をいただいたことに、感謝します。

 この本。手前味噌ではありますが、とてもわかりやすいです(^^)。そして「見て楽しい」と言っていただくことが多いです。フルカラーで、約50もの実例が、掲載されているからかなと思います。

 チラシ作りでやりがちな間違いや、どうすれば改善できるかが、読むというより見てわかる、「一目瞭然」なのがポイントなのです。

このチラシでどのくらい集客できたのか、反響があったのか、という数字なども記載しています。たとえば…(下画像参照)。

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ビフォー・アフターの効果も記載

 様々な業務の実例を掲載しているため、自治体の職員の方には、アイデアをそのまま使っていただくことも可能かと思います。

 特に、デザイナーや印刷会社が構成したものだけでなく、ワードやパワーポイントを使った職員手作りの広報物も多いので、「自分にもできる」と感じてもらえると思います。

 外部のデザイナーや印刷会社にお願いする場合も、写真や文章などの素材を渡して、「あとはお任せ!」でよいのかというと決してそういうわけではありません。その場合の考え方についても書かせていただきました。

 もうひとつ、この本の使えるポイントとしてよく評価いただくのは、前例踏襲となりがちな自治体では、若い職員が面白いアイデアを出しても、上司が許さないということが「あるある」だと思います。

 そんなとき、この本を上司に見せて、「足立区でここまでやってます!」と、上司を説得するツールとしても使っていただけるということです(下画像参照)。 

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前例にとらわれず刷新したチラシの事例(成人式のチラシ。左は刷新以前のもの、右はアフター)

“チラシ”のすごい効果とは!?

そのほかの特徴として、やる気のある方は、章ごとのワークページで力試しもできます(下画像参照)

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とはいえ、みなさん、ふと疑問を持たれたかもしれません。

①なんでまた、足立区はチラシをそんなにがんばっちゃってるの?

②シティプロモーション課なのに、チラシ? 関係あるの?

③チラシを変えて、何が変わるの?

④そもそも変えるのってそう簡単じゃないよね? 自治体職員はこういうこと慣れてないし。

 そのあたりのいきさつも、今日は少しお話しさせていただければと思いますが、とりあえず、ざっくりと疑問にお答えしてみると…

 疑問 その1

なんでまた、足立区はチラシをそんなにがんばっちゃってるの?

【答え】チラシがわかりやすくなると役所と住民の距離がぐっと近づくからです。

疑問 その2

シティプロモーション課なのに、チラシ? 関係あるの?

【答え】足立区のシティプロモーション課は、「足立区を誇りに思う」住民を増やすことを目標としてきました。その数値、10年間で、約30%→50%超へと増加。

疑問 その3

チラシを変えて、何が変わるの?

【答え】まちが変わります。

疑問 その4

そもそも変えるのってそう簡単じゃないよね? 自治体職員はこういうこと慣れてないし。

【答え】必要なところはプロの力も借りつつ、職員のスキルアップ研修を重ねています。

 では、ご説明していきますね。

足立区が23区で初めてシティプロモーション課をつくった理由

 足立区のシティプロモーション課は2010年(H22年)に創設されました。

 実は、東京23区で初めてつくられたシティプロモーション課です。それまでも全国には、シティプロモーションに取り組む自治体はたくさんありましたが、その目的は移住促進や観光誘致などが多かったのではと思います。

 では、都心にあり、特筆すべき観光地もなく、人口は今も増加傾向にある、東京・足立区のシティプロモーション課は何が目的なのか、と不思議に思われるかもしれません。私たちの目的は、はっきりしていました。「イメージアップ」です

 約10年前、2010年(H22年)の足立区の世論調査では、「足立区に愛着を持っている」と答える区民は約7割。しかし、「足立区に誇りを持っている」と答える人は約3割。そのギャップを埋めること。ずばり、それを目標としたのです。

 そして2021年(R3年)現在、「足立区に誇りを持っている」と答える人の割合は5割を超えました(下グラフ参照)

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目標が着々と達成されている背景には、ほかにもたくさんの要因があります。また、私たちもいろいろなことに取り組んできましたが、その中で特に手ごたえを感じているのがこの、チラシ改革(情報発信改革)なのです。

チラシ(情報)がちゃんと届くようになると“まち”が変わる?

自治体では、かなりの数のチラシが作られていますよね。

 この文章を書かせていただいている私、舟橋は、10年前に外部登用で足立区シティプロモーション課で働き始めましたが、区役所でこれほどたくさんのチラシが職員の手でつくられていることにまず驚きました(知らなかった)し、それが区民の皆さんに届いていない(住民の私にも届いていなかった)ことに、さらなる驚きがありました。

 私は広告代理店勤務の経験もありましたので、まずはチラシ改革(情報発信改革)に取り組むことになりました。

 その当時のビフォーアフターも本書にはいくつか掲載されているのでぜひ見ていただきたいと思いますが、下画像の左ページのような、文字を並べたチラシが大半でした。

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一生懸命事業を企画し、チラシを作り、実施しても、イベントに人が来ていただけなかったり、事業が伝わらなければ、やっていることがある意味、すべて無駄になってしまっていると、言っても過言ではありません。

 今の足立区役所では、職員ががんばって取り組んだことが、チラシなどの広報物を通して、住民の皆さんに届く体制になったと思います。行政と住民の皆さんの「距離が近い」区役所になったのだと思います。

 その結果、たとえば、住民の皆さんと一緒に取り組んできた治安改善のための事業では、刑法犯認知件数はピーク時の16843件(2001年)から3693件(2020年)と激減、体感治安(治安がいいと思う住民の割合)も大きく改善(良いと思う11.0%/2001年→61.6%/2020年)しました。

 つまり、区役所が取り組む様々な事業が、住民の皆さんに届き、まちを変えるエンジンになってきているのです。

そして「専任デザイナー」もいる自治体に

極論ですが、チラシ改革(情報発信改革)は、まちを変えるということ。風が吹けば桶屋が儲かるほどの遠い話ではありません。

 現在シティプロモーション課では、さまざまな課から、年間約450件のチラシやポスターなど広報物の相談を受け、各課の職員と一緒に頭をひねり、どうやれば住民の皆さんにこの情報が届くのか、住民の皆さんのこころを動かすことができるのかを考えています。

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他部署からのチラシ相談に応じるシティプロモーション課の職員たち(右)。同課ではこのような広報相談を年間450件程度、受けている

10年の歳月をかけ、地味に地道にチラシ改革(情報発信改革)に取り組む中で、紆余曲折を経て現在、足立区のシティプロモーション課にはグラフィックデザイナーが2名、在籍しています。

 そこにいたるには長い経緯がありましたが、とにかく、専任のデザイナーが必要であるという認識に、足立区役所として到達したということです。

 もちろん、デザイナーがいなくても、職員がすべきことはたくさんありますが、こういうことに慣れない自治体職員が、プロの力を借りることでできることもたくさんあると思います。

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コロナ禍で対応が急がれる中、デザイナーと一緒にさまざまな情報発信を行った

 足立区のチラシ改革(情報発信改革)、ぜひ本書を手にとって見ていただけたらと思います。もう少し詳しい裏話も、「はじめに」「おわりに」に書かせていただきましたので、こちらもあわせてご覧いただけたら幸いです。以下が目次です。

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自治体通信への取材のご依頼はこちら

 

足立区シティプロモーション課のプロフィール

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足立区シティプロモーション課のみなさんと同課が出版した『住民の心をつかむ自治体チラシ 仰天! ビフォーアフター』(学陽書房)の表紙カバー

2010年創設。23区初のシティプロモーション課。外部登用を行い、行政の弱点である「広報」改革に挑む。職員向けに、チラシ、編集、カメラ撮影などの研修を定期的に開催するほか、年間450件以上のチラシ、ポスターなどの相談を受ける。