※下記は自治体通信 Vol.56(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
先般のコロナ禍を経て、多くの自治体でテレワークの導入が進んだ。しかしその一方で、テレワークの必要性を感じながらも、情報セキュリティの担保がハードルとなり導入に踏み切れずにいる自治体も少なくない。そうしたなか、各種ソフトウェアの提供を手がけるコーレルの佐々木氏は、「リモートアクセスの仕組みと仮想化技術を組み合わせれば、セキュアなテレワーク環境は簡単に構築できる」と指摘する。その具体的な方法を同氏に聞いた。
コーレル株式会社
セールスグループ セールスエンジニアリング部長
佐々木 和徳ささき かずのり
昭和38年、神奈川県生まれ。大学卒業後、ソフトウェア開発企業などを経て、平成13年にシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社に入社。令和5年4月にコーレル株式会社に入社し、おもに自治体や文教分野を対象とした提案業務に従事。
セキュアな通信の実現に向け、準備すべきことは多い
―テレワークの導入をめぐる自治体の動きをどう見ていますか。
コロナ禍においては、感染症対策の一環としてテレワークを導入する自治体が増えましたが、その後も「働き方改革」や「住民サービスの向上」の手段としてテレワーク推進の重要性を認識する自治体は多いです。職員の数が限られるなか、複雑化・多様化が進む行政ニーズに自治体が対応していくには、職員がいつ・どこでも業務を遂行できる体制の構築が必須と捉えられているのです。しかし実際は、テレワークの導入を断念したり、実験的に始めたテレワークを本格導入に移行できずにいたりするケースは少なくありません。
―それはなぜでしょう。
外部から庁内の業務用端末をセキュアにリモート操作するには多くの準備が必要となり、それがテレワーク環境を整備する際のハードルとなるからです。3層分離下でリモート操作を実現するには閉域網を利用するケースが多いですが、その場合はSIMカードやリモートアクセス専用のPCの調達が必要となるうえ、それらの貸与・返却に伴う業務が生じます。さらにテレワークを行う職員の数を増やす場合、仮想デスクトップ環境の増強や、暗号化通信を行うための装置の追加、認証の強化などに追加コストも発生します。そこで当社では、自治体がこれらのハードルを感じることなくテレワーク環境を構築できるよう『Parallels Remote Application Server(以下、Parallels RAS)』というソリューションを提案しています。
―特徴を教えてください。
Windows環境のリモート操作を可能にする仮想デスクトップ技術と、リモート操作に必要な暗号化技術(TLS1.3)、認証強化の技術を組み合わせたリモートアクセス環境を、オールインワン型で提供することです。一般的には、これらの機能を実装するには複数のコンポーネントを購入して構築する必要がありますが、『Parallels RAS』では、負荷分散装置など各コンポーネントを無償で提供します。これにより、追加オプションにかかるコストは不要となるため、自治体は希望する「同時接続数」さえ決めれば、迅速かつ手軽にテレワーク環境を構築できます。『Parallels RAS』にはほかにも、リモートアクセス元の端末を選ばないという重要な特徴もあります。
「同時接続数」を上限に、誰でもテレワークを行える
―詳しく聞かせてください。
どのような端末やOSであっても、専用の接続モジュールをインストールすることで利用できます。モジュールをインストールしなくても、HTML*の技術を用いてWebブラウザから接続する運用も可能です。『Parallels RAS』はポリシー制御により、庁内ネットワークと外部のファイル授受を禁止することなどが可能です。そのため、端末が万一、マルウェアなどに汚染されていても、不正プログラムの庁内への侵入や、外部へのデータ漏えいを防げます。ライセンスは「同時接続数」でカウントするため、利用者の最大数を考慮するだけでコストを抑えながら誰でも必要なときにテレワークを行える環境を構築できるのです。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
『Parallels RAS』は、「αモデル」や「βモデル」など地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに示されたセキュリティモデルの形態を問わず、仮想デスクトップや仮想ブラウザの利用と合わせて導入できます。すでに仮想化技術を用いた環境を構築している自治体でも、リモートアクセスに関する最小限のコンポーネントを『Parallels RAS』で容易に構成できます。自治体のニーズにあった提案が可能ですので、お気軽にご相談ください。
*HTML: Webページのコンテンツを記述し定義する言語。HyperText Markup Languageの略