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先進事例2023.05.17

電子契約導入は町民とのコミュニケーションを増やすため。片手間でも導入でき、スピーディな行政へ。

[提供] 弁護士ドットコム株式会社
電子契約導入は町民とのコミュニケーションを増やすため。片手間でも導入でき、スピーディな行政へ。
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弁護士ドットコム株式会社
弁護士ドットコム株式会社

長野県の南部、中央アルプスと南アルプスに挟まれた特徴的な河岸段丘で、市田柿などの果樹栽培が盛んな高森町。およそ1万3000人が暮らす同町の職員数は100名以下で、これは人口比から見て一般の自治体より少ない人数です。いわば「行政効率のいい自治体」を実現している理由の1つは、50代前半の比較的若い町長が音頭を取り、ICT環境の整備を積極的に行っていること。さらなる効率化、住民サービスの向上を図るため、2022年よりクラウドサインの導入も進めました。

高森町名産の市田柿と南アルプス

電子契約の導入によって、町民・事業者とのコミュニケーションを増やす

-電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。

伊藤様

まず、現職の壬生照玄町長が公約として、「ICT環境を整備して行政効率を向上させる」と掲げていたことが挙げられます。その公約に沿って、町として導入する電子決裁、電子契約などのシステム選定を進めてきました。主な狙いは「職員が机に向かっている時間を減らす」というものです。その分、町民のみなさまや事業者の方とコミュニケーションする時間を増やして、課題を伺い、それに対して政策を打っていく。そのためにはICTを高度化して職員のデスクワークをスピーディにこなせるようシステム化する必要があります。

近隣市町村の動向ももちろんチェックしていました。電子契約サービスをすでに導入している自治体も全国的にはいくつかあり、次年度の予算を検討している2021年12月からのタイミングでは電子契約に関わる法整備もかなり進んでいる状況(※)でしたので、当自治体としても電子契約サービスの導入を推進していくことになりました。

※参考: 電子契約のグレーゾーン解消回答解説 —国・地方自治体もクラウド型電子署名を利用開始

その時点で1年間に締結する契約がどれくらいあるか調べたところ、契約書として交わしている見積額30万円超の案件だけで700件ほどありました。職員が100名に満たない小さな組織なので契約業務を専属で担当する課はありませんから、職員1人1人が契約処理を行っている状況です。各々の押印や郵送の手間を考えると、電子化することによるメリットは大きいのではないかと思いました。

-クラウドサインを選んだ決め手はなんでしたか。

伊藤様

大きく分けて3つあります。1つ目はサポート体制が充実していることです。クラウドサインの導入、運用、効果測定まで手厚くサポートしていただける点が非常に魅力的でした。今お話ししたように専属の契約担当がいないので、本業の傍ら、ある意味片手間で導入を進めるしかありません。ですので、私たちにはどうしてもサポートが必要でしたし、実際にスムーズな導入・運用を実現するための例規やワークフローの見直しなど、1から10まで相談に乗っていただけました。

2つ目は操作のわかりやすさです。ひと目見て、直感的に使えそうだという印象を最初にもちました。複雑だと使い方がわからず、私たち導入担当者に問い合わせが殺到してしまう恐れがあり、それこそ片手間では導入できないことになってしまいます。クラウドサインは直感的に使えるので質問が来ることは少なそうでしたし、ちょっとした疑問があるときはクラウドサインのチャットサポートで質問できます。

最後の3つ目は適法性の見極めが不要であることです。専門家がいないため電子契約サービスの適法性を独自に確認するのはほぼ不可能でしたので、きちんとグレーゾーン解消制度を利用して国のお墨付きが得られているクラウドサインは、安心して導入に踏み切れる貴重なサービスでした。

総務課 DX推進係 伊藤健様

いきなりの実践導入にも不安なし。普及拡大は可能な限り丁寧な説明で

-クラウドサインの導入はどのように進めてこられたのでしょう。

菊池様

通常、こうした新しい取り組みを始めるときは実証実験からスタートすることが多いのですが、民間での導入事例を見ると、実証実験をするほどでもないなと。まずは公印を所管する総務課が、導入時における実務上の課題やリスクを洗い直し、その対応策を講じたうえで導入し、もし新たな課題があれば、実務を回しながら、必要があれば改善していく、という流れにしたほうが良いと考え、最初から実戦導入しました。

多くの民間事業者がすでに活用されているサービスですから、運用で大きな問題が生じることはないだろうと思いましたし、ある意味チャレンジと捉えて進めてきましたね。庁内で運用を開始したのは2021年5月末で、実質的には6月からとなりましたが、6月は年を通じて契約が少ないタイミングで、契約が増えてきたのは2021年の後半からでした。

-現在、クラウドサインを活用している書類はどういったものになりますか。

菊池様

契約が発生するのは主に事業課で、特に現時点では土木部が多くなっています。例えば建設工事、道路工事、測量など、建設コンサルタントや工事業者と結ぶ工事請負契約ですね。あとは道路交通量調査のようなものもあります。導入から2022年3月末までの期間で、電子契約で対応する旨の公告を行った契約が少なくとも約1,700件あったのですが、そのうち約1,200件を電子契約で締結できました。残りは契約相手側の事業者が紙での契約を敢えて希望したものです。

-導入や運用を進めていく中で苦労したことはありますか。

現状では、土木部における電子契約の利用がほとんどを占めていますが、弁護士ドットコムにサポートをいただきながら庁内の職員や取引先の事業者向けに説明会などの情報発信を行った結果、いくつかの部局からは操作方法等について自発的な問い合わせがありました。2:8の法則と言いますか、新しいものに率先して反応してくれる2割の人達を中心にしてまずは庁内に普及させ、ある程度まで広まれば、あとは横のつながりでどんどん広がっていくものと考えています。

事業者への利用促進については、もう少し地道にやっていく必要があると感じています。使い始めるにあたり、実体験をともなった説明を求める方が多い印象でしたが、2021年はコロナ禍ということもあり、対面で説明しながら利用体験していただくような機会が多く取れませんでした。紙での契約締結を希望している事業者に対しては、今後、個別に説明し、デモやレクチャーなども行っていく予定です。

テレワーク、非対面、低コストの実現で「メリットしかない」

-導入の効果として実感されているところはありますか。

菊池様

紙書類のやりとりがなくなり、非常に素早く契約締結できるようになりました。今までは事業者がわざわざ書類を持って来庁されたり、互いに郵送したりしていましたが、そういったやりとりをしている間に1週間はたってしまいます。それに対して立会人型電子契約では当日中に契約できてしまうこともあります。契約書への押印や製本の手間がなく、郵送費用も削減できています。普通にメールをやりとりするだけで契約が成立しますので、立会人型電子契約サービスであるクラウドサインはかなり効率的なツールだなと改めて実感しているところです。

また、工数削減で浮いた時間の分、他のプロジェクトをじっくり考えたり、県民サービスの向上に向けた取組にもつながっていると思います。コロナ禍でも対面の必要なく契約を締結ができたのは助かりましたし、押印が不要なのでテレワークでも処理できます。効率的でコストを低く抑えられることもあって、もうメリットしかないですよね。

浅川様

事業者にとっては、契約締結がスピードアップしたこともそうですが、印紙税が不要になったのも大きなところだと思っています。印紙税額は契約金額などに応じて変わるため、事業者側が貼るべき印紙を間違う可能性もあり、自治体としても確認作業が必要になっていました。契約を電子化したことで、その確認作業がなくなり業務負荷は軽減されています。

菊池様

電子契約をはじめ、デジタル化による業務効率化の影響はやはり大きいですね。今回は既存業務をデジタルに置き換えただけですので、DXとして新しい価値を生み出せたかというとまだわからないところもありますが、テレワークや非対面を容易に実現できるようにはなりました。クラウドサインのような立会人型電子契約はメリットしかないサービスですし、茨城県庁が知事の記者会見でかかげている「県庁業務のデジタル化に向けた挑戦」には確実に貢献しています。

※県庁業務のデジタル化に向けた挑戦

総務部 総務課 浅川瞭様

スピーディーな電子契約導入のポイントは、公印を管理する総務課が所管したこと

-運用してきたなかで新たな気付きみたいなものはありませんでしたか。

菊池様

いざ立会人型電子契約サービスを導入するとなると、各サービスごとにどのような機能があるのかを比較検討しなくてはと考えると思います。しかし、我々が実際に電子契約を導入し、運用してみてわかったことは、少なくとも地方自治体に関しては、電子署名法の要件を満たす以外には、そんなに難しく考える必要はないということです。

地方自治体と事業者との契約は、通常は「入札」を経て行われます。つまり、応札している時点で事業者は公告されている取引条件に合意している状態です。従って、入札で落札者が決まって以降に、契約内容の確認に関するやり取りは通常は必要としません。地方自治体にとっての立会人型電子契約サービスは、実質的には、落札時点で合意済みの内容を契約書という形にして締結することで、強固な証明書を発行するだけものなのです。

つまり、電子署名法の要件を満たす電子署名とタイムスタンプが付与されていて、「落札時に合意済みの契約書を事前に登録された事業者の署名人に送って契約を締結することができる」という機能さえ整っていれば、他に余計な機能は不要ということです。ファイルを保管する機能さえなくても良いくらいです。

敢えて必要な機能を付け加えるならば、一括して電子契約書をダウンロード・アップロードできる機能だと思います。役所は基本的に永久契約ができません。電子契約サービスを変更する可能性もあることを考えると、サービス変更の際に契約データをすべてダウンロードできるか、ダウンロードしたデータを変更後のサービスに取り込むことができるのか、という点は見ておいたほうがいいかもしれません。

-最後に、立会人型電子契約サービスの導入を考えている他の自治体に向けてメッセージがありましたら

菊池様

新たにデジタル部局のようなセクションを作ってデジタル化を進めようとしている自治体もあります。しかし、茨城県にはデジタル部局は存在していません。組織ありきでは進めておりません。デジタル部局を作ってしまうと、デジタル部局の職員が既存業務を担当している部署に横から入って業務内容や業務フローを1から学ぶことになります。そうするとスピード感は落ちますし、実際に業務を行っていないで、何が本当の課題か、どこにリスクがあるのかもわかりません。茨城県がここまでスピーディーに立会人型電子契約サービスを導入できたのは、デジタル部局主導ではなく、公印を管理している総務課が、導入時における実務上の課題やリスクに事前に目配りしながら導入したからです。ここが一番の成功要因だと思っています。担当課が主導するDXが一番問題が起きにくくスピーディーです。

我々のような行政の場合は、ごく一部の例外を除いて立会人型電子契約サービスはメリットしかありません。タイムスタンプと電子証明書が適法に使えることなど電子署名法の要件を満たす立会人型電子契約サービスであることと、契約相手となる事業者の署名人のメールアドレスを事前登録制にしておくこと、そのあたりに留意すれば無権代理のリスクもほとんどありませんし大丈夫だと考えています。自治体が契約を電子化することで事業者の業務のデジタル化を後押しすることにもなりますので、ぜひ多くの自治体が導入にチャレンジしてほしいですね。

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設立2005年7月4日
資本金4億3900万円
代表者名取締役会長 内田 陽介、代表取締役社長 元榮 太一郎
本社所在地

〒106-0032
東京都港区六本木四丁目1番4号 黒崎ビル

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