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地方自治体が抱える問題とは?解決のポイントと地方創生に向けた取り組み事例を解説【自治体事例の教科書】


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多くの地方自治体が抱える、人口減少や少子高齢化、地域衰退などの問題について、問題が生じる理由や影響を詳しく知りたい方も多いでしょう。
これらの問題は、生活・行政サービスの質の低下や治安の悪化、災害危険性増大などにつながります。

ただし、地方創生によって自治体が抱える問題を解消できれば、都市部からの人口流入が期待でき、生活利便性が良い住みやすいまちづくりを実現することも可能です。

そこで今回は、地方自治体が抱える3つの問題と地方創生のメリット、主な取り組み事例について解説します。

地方自治体が抱える問題とは

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地方自治体は、人口減少や少子高齢化、地域衰退などの問題を抱えています。

人口減少によって生活関連サービスの縮小や行政サービスの廃止・有料化が進み、少子高齢化で廃業が増えたことで、地域経済は大打撃を受けています。また、地域が衰退すれば、治安や居住環境の悪化、災害危険性の増大、生活利便性の低下につながり、人口減少に拍車をかけることにもなるでしょう。

このような地方自治体が抱える問題を解消するための取り組みが地方創生です。地方創生は、東京圏への過度な人口集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、地域経済の活性化を図ることが目的です。

地方創生によって、以下に紹介する人口減少や少子高齢化、地域衰退など問題の解消が期待されています。

1.人口減少

合計特殊出生率の低下による自然減も理由の1つですが、東京都市圏などへの人口流出による社会減によっても地方の人口減少は進んでいます。

総務省の「人口推計結果の要約(2019年)」によると、多くの地域で人口減少となっており、人口増加しているのは以下の7都県です。

  • 沖縄県
  • 埼玉県
  • 千葉県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 愛知県
  • 福岡県

また、その中で社会増加しているのは沖縄県を除く6都県となります。人口が減少していて、自然減・社会減の地域は33道県で前年より1地域増加しています。都道府県別の人口増減率は1位の東京都が0.71%なのに対し、最下位の秋田県は−1.48%です。

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画像引用元:総務省統計局「人口推計結果の要約(2019年)」

人口減少が進むと、地方の生活に次のような影響を与えます。

  • 小売や飲食、娯楽などの生活関連サービスの縮小
  • 税収減少により行政サービスの廃止や有料化
  • 鉄道や路線バスなど公共交通の撤退や縮小
  • 地域コミュニティの機能低下 など

このように多くの地方自治体では人口減少の問題を抱えています。

2.少子高齢化

人口減少に加え、少子高齢化の問題も抱えています。総務省の「人口推計結果の要約(2019年)」によると、44都道府県で75歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回っています。15歳未満人口の割合が上回っているのは愛知県、滋賀県、沖縄県の3県のみです。

高齢者の割合が最も高いのは秋田県で、65歳以上人口の割合は37.2%、75歳以上人口は20.0%、15歳〜64歳の生産年齢人口の割合が最も高いのは65.8%で東京都でした。

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画像引用元:総務省統計局「人口推計結果の要約(2019年)」

今後も高齢化の割合は増えると予測されています。財務省の「日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか」によると2020年から2065年で年齢別人口は、以下のように推移することが見込まれています。

  • 19歳以下人口:2,072万人(17%)→1,237万人(14%)
  • 20歳〜64歳人口:6,841万人(55%)→4,189万人(48%)
  • 65歳以上人口:3,619万人(29%)→3,381万人(38%)
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画像引用元:財務省「日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか」

65歳以上の人口はほぼ横ばいですが、19歳以下・20歳〜64歳人口は大幅減の予測となります。このように国内のほとんどの地域が少子高齢化の問題に直面しています。

3.地域衰退

人口減少や少子高齢化の影響で生産年齢人口が減っているため、地域経済が衰退しています。人手が足りず労働力不足になると、地方に進出していた企業や店舗は撤退を余儀なくされ、後継者不在を理由に休廃業する中小企業は増加します。

働く場所が少なくなると、若者がさらに都市圏に流出するなどの悪循環を生みます。地方の企業活動が一層停滞することで基幹産業が衰退し、地域経済はさらに縮小してしまいます。

地域経済が縮小すれば、生活・行政サービスや社会インフラの維持が困難になり、次のような影響があります。

  • 治安の悪化
  • 居住環境の悪化
  • 災害危険性の増大
  • 生活利便性の低下
  • 介護人材の流出

地域経済が衰退することで、さまざまな社会課題が深刻化してしまいます。

地方創生のメリット

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地方の活性化を目指す政策である地方創生には、ふるさと納税や人材支援、財政支援、特区の認定など、さまざまな取り組みがあります。地方創生によって地方の人口減少に歯止めがかかり、都市部からの人口流入が増えれば、地域経済の活性化につながります。

地方創生の主なメリットは、次のとおりです。

  • 生活・行政サービスの質が高くなる
  • 働く場所が増える
  • 生活利便性が良くなる
  • 介護人材が増える
  • 居住環境が良くなる など

地方創生によって人口減少、少子高齢化、地域衰退が解消されると、地方の人口が増えます。人口が増えれば税収が増加するため、行政サービスの質が高まり暮らしやすくなります。また、働き手が増えることで多くの企業が集まり、生活利便性は格段に良くなります。

後継者不足問題を解消でき、介護人材の流出をくい止めることにより、地方に暮らす全世代にとって、住みやすいまちづくりができることが地方創生のメリットです。

解決のポイント

地方自治体が抱える人口減少や少子高齢化、地域衰退の問題を解決するには、生活利便性が良く、雇用があり、子育てしやすい環境を整備する必要があります。

そのための大切なポイントは次のとおりです。

  • 地域資源を活用した仕事づくり
  • 空きビルや空き店舗など遊休不動産の活用
  • 地方への企業の本社・サテライトオフィスの誘致
  • 子育て支援の充実による少子化対策 など

若者の雇用機会の創出や子育て支援などが充実すれば、人口減少や少子高齢化に一定の効果が期待でき、地域衰退を防ぐことが可能です。各自治体がこのような地方創生の取り組みを行うことが、問題解決につながります。

自治体における地方創生の取り組み事例

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多くの自治体が地方創生の取り組みを行っています。空き地活用によるまちづくりや地域の原材料を使った特産品づくり、田んぼのキャンバス化、子育て支援施設の充実など、自治体によって取り組む内容はさまざまです。

ここでは、地方創生のロールモデルとして紹介される徳島県神山町、留学生の誘致によって国際的な町として賑わいを見せる大分県別府市、遊休不動産のリノベーションで雇用を創出する福岡県北九州市の効果が出ている3つの地方創生の取り組み事例について、詳しく解説します。

1.徳島県神山町

地方創生の聖地とも呼ばれる徳島県神山町は、地方創生のロールモデルとしてメディアでも数多く取り上げられる自治体です。数多くの企業のサテライトオフィス誘致によって地方創生に成功しています。

県が全国屈指の高速ブロードバンド環境を早くから実現し、オフィス開設や運営費用の補助などの支援を充実させたことで、神山町にはICTベンチャー系企業など10社以上のサテライトオフィスが開設されています。古民家の改修費用や通信費などの手厚い支援でオフィス進出のハードルを下げたことが誘致成功のポイントです。

また、「神山アーティスト・イン・レジデンス」など長年にわたり芸術家やクリエイターの移住に取り組んできた地元NPO法人グリーンバレー理事長の熱意によって、自治体をうまく巻き込んだことも誘致を推進させました。

サテライトオフィスの誘致によって、神山町は安定した雇用の創出と移住者増加を実現させています。

2.大分県別府市

温泉地として有名な大分県別府市は、立命館アジア太平洋大学(APU)を開学し、留学生を受け入れることで地方創生を実現しています。開学されたのは2000年で、大分県と別府市は、土地無償譲渡や建物等の建設費補助で支援をしました。

立命館アジア太平洋大学の学生の約半数は50ヶ国以上からの留学生で構成されており、以下の取り組みによって大学と行政の連携でまちづくりを行っています。

  • 年間約1,000名の学生が県内の地域交流に参加
  • 年間約3万人の市民が大学キャンパスに来学
  • 学生が諸外国に向けて県のPR映像を制作して県のホームページに掲載

また、立命館アジア太平洋大学は2014年には政府の10カ年支援事業である「スーパーグローバル大学」に選定されています。

立命館アジア太平洋大学が留学生誘致のきっかけとなり、大分県内の他の大学においても留学生が増加しています。留学生の増加は、人口や雇用、観光客増加につながり、大分県別府市は国際的な町として賑わいを見せるようになりました。

3.福岡県北九州市

福岡県北九州市では、安定した雇用の創出と人口増加、コミュニティ再生などを目的としてリノベーションによるまちづくりを行っています。リノベーションまちづくりは、空きビルや空き店舗などの遊休不動産をリノベーションで再生し、雇用の創出やエリア価値の向上を図る取り組みです。

リノベーション実践者が講師となり、実際の遊休不動産をテーマに受講者がリノベーションプランを作成して事業化を目指すリノベーションスクールでまちづくり人材の育成を行っています。

補助金はリノベーションスクール開催に活用し、リノベーション事業は民間資金で実施、北九州市は事業のPR支援などを行っています。

リノベーションまちづくりは2011年度より開始され、中心市街地における1日あたりの歩行者数は5年で約3,000人の増加です。また、19の物件が再生され、400人以上の雇用が創出されました。(2016年4月時点)

北九州市のリノベーションによる都市再生プロジェクトは、平成25年度土地活用モデル大賞「審査委員長賞」を受賞しています。

まとめ

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多くの地方自治体は人口減少や少子高齢化、地域衰退によって、生活・行政サービスの質の低下などさまざまな影響を受けています。

そして、これらの問題を解消すべく始まった取り組みが地方創生です。各自治体でいろいろな取り組みを行っており、雇用創出や人口増加、コミュニティ再生などを実現している地域もあります。

ぜひ、居住地域や故郷の自治体がどのような地方創生の取り組みをしているのか確認してみてください。