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前例のない冷暖房を大型施設に導入し国内トップレベルのスポーツ大会を誘致

熊本県宇土市 の取り組み

前例のない冷暖房を大型施設に導入し国内トップレベルのスポーツ大会を誘致

前例のない冷暖房を大型施設に導入し国内トップレベルのスポーツ大会を誘致

宇土市長 元松 茂樹
[提供] 株式会社イースタン

2013年、宇土市が運営する体育館の大規模改修が行われた。なかでも注目されたのは、輻ふく射しゃ式の冷暖房設備の導入。公共施設では従来、対流式設備が常識だったからだ。輻射式設備の導入に踏み切った理由、前例主義を乗り越えた方法、導入後の成果などについて、同市の元松市長に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

熊本県宇土市データ

人口: 37,953人(平成26年8 月末現在) 世帯数: 14,583世帯(平成26年8月末現在) 予算規模: 149億2,746万円(平成25年度最終) 面積: 74.20km2km² 概要: 熊本県の中西部、宇土半島の北部に位置。中世から有力者が支配権をめぐって争った交通の要衝。戦国時代に小西行長の居城として発展した。江戸期には細川藩の領地として有明海での養殖業がはじまり、人口が増加。近年はオレンジ・デコポン・アンデスメロンなどの果樹栽培が盛んで、養殖ノリやアサリも特産品。

導入・運用コストとも 想定以上の削減に成功

―2013年に宇土市民体育館を改修したそうですね。それ以前にはどのような課題がありましたか。

 いちばんの課題は、十分な冷暖房設備がなかったことです。
 1990年頃までは、バレーボールの日本リーグをはじめ、国内トップレベルの試合が開催されていました。しかし、猛暑続きの近年は冷暖房完備の他施設に奪われてしまったのです。
 また、宇土市は小中学校のスポーツが盛んで、卓球や相撲など全国レベルの大会で優秀な成績をおさめてきました。しかし、夏場に市民体育館が使えず、練習や試合に支障をきたしていました。
 これらの課題を解決するため、冷暖房設備を充実させる2013年夏の大規模改修を決定したのです。

―改修にあたって、冷暖房設備を選定した基準を教えてください。

 1つめの基準は、経費の削減です。今回、改修予算5億円のうち冷暖房設備に予定していたのは3億円。ところが、輻射式冷暖房であれば、1億7000万円ですみ、1億3000万の節約になります。運用コストも対流式の冷暖房に比べ約6割の削減が可能で、どの方式よりも安いと見込まれました。
 そして2つめとして、風が起きないことと、静粛性を重視しました。なぜなら、卓球やバドミントンなど、風の影響を受けやすい室内競技を楽しんでもらいたいからです。
 3つめは、できるだけ県内企業に設備を発注することです。探した結果、熊本市のエコファクトリーの輻射式冷暖房「エコウィン」にたどりつきました。
 ただし、「輻射式冷暖房は、始動から適温に達するまで時間を要する短所がある」といわれていたため、導入に消極的な意見もあったのです。

プロバスケットの公式戦の開催会場に指定される

―反対者に対し、どのように説得しましたか。

 私自身の政治理念を前面に出しました。
 市議や職員に普段から「市民のためになることならなんでもやろう」と伝えてきました。今回の冷暖房についても、「利用者にメリットがある設備であれば、課題は私たちで解決して、ぜひ導入を実現しよう」と訴えたんです。
 当初は懐疑的だった職員なども、最後は輻射式のメリットを認め、賛成してくれました。

―輻射式冷暖房導入の効果はどうですか。

 体育館の使用料金を一時間当たり2000円という低額に設定できました。従来の対流式エアコンなら5000円、他の同規模の施設でも1万円以上に設定している例もあり、その大半を電気料金が占めます。
 結果として、月間の平均利用者数は改修前の3400人から5300人に急増。施設の稼働率が一気に高まったのです。耐震補強、照明のLED化も評価され、宇土市民体育館が見直されています。来年度にはプロバスケットの公式戦が開催される見通しですが、これは輻射式冷暖房の導入によるところが大きいと思います。
 輻射式冷暖房の短所であるリードタイムの長さについても、実際に運用してみると問題にはなりませんでした。エコウィンは媒体の熱容量が約4分の1と少ないため、始動から約15分で適温に達するからです。

―今後の冷暖房設備導入の方針について聞かせてください。

 今後、市内10ヵ所の小中学校の冷暖房設備も、輻射式冷暖房へ順次切り替えていきたいと考えています。その他の公共施設についても、市民が求めている耐震性の強化、省エネルギーにつながる照明のLED化とともに導入を進め、市民の安全性、利便性の向上を図っていきます。

元松 茂樹(もとまつ しげき)プロフィール

1965年、熊本県生まれ。1987年に熊本商科大学(現:熊本学園大学)商学部を卒業後、民間企業に就職。1991年に宇土市に入庁。教育委員会や総務課などで19年間勤務した後、市長選挙に出馬。2010年に初当選。2014年、再選。


熊本県宇土市 の取り組み

前例のない冷暖房を大型施設に導入し国内トップレベルのスポーツ大会を誘致

ランニングコストが1/14になる冷暖房設備で、活用される公共施設づくりを支援

株式会社イースタン 代表取締役社長 中桐 則昭 / 支援自治体:熊本県宇土市
[提供] 株式会社イースタン

冷暖房コストが高いため、地域住民の活用度があがらない公共施設が増えている。最近、そのコストを劇的に引き下げる輻射式冷暖房設備「エコウィン」が登場。すでに宇土市が市民体育館に導入し、後に続く自治体が増えている。その販売代理店であるイースタン代表の中桐氏に、製品の特徴や今後の展望などについて聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

大空間空調のさまざまな課題を解決

―最近、公共施設の冷暖房コストの高さに苦労する自治体が増えているそうですね。

 ええ。たとえば、体育館を利用してもらえないケースがあります。最近は健康増進のためにスポーツをするお年寄りが多い。でも、冷暖房設備のない公共の体育館もある。設備を導入するコストも導入後に使うコストも高いからです。お年寄りは暑い夏、熱中症になれば命にかかわります。だから利用しようとしないんです。
 一方で、冷暖房設備があっても、スイッチを入れないケースもあります。エネルギーコストが高く、行政の負担が大きいからです。暑さ寒さの厳しい地域であるにもかかわらず、生徒たちに冷暖房なしで勉強させている小中学校も現にあるのです。

―どうしたらコストを下げられますか。

 欧州で広く使われている輻射式の冷暖房設備を活用する方法があります。
 通常使われている対流式の設備に比べ、電気料金は数分の1。大型施設、特に大空間で導入例が多い石油を使うタイプの対流式空調設備と比べると14分の1にまで下がります。
 ですから、病院の入院病棟のような冷暖房をつけっぱなしにする必要がある施設では、快適性の向上と、コスト削減効果はさらに大きくなります。室内の空気全体を冷やしたり暖めたりするのが対流式。これに対し、輻射式は壁や床・天井の内部に設置したパイプ内の水を冷却または加熱するだけですむ。
 さらに、対流式は、冷気は建物の下部、暖気は上部にたまってしまう。しかし、輻射式は輻射熱移動の原理を応用しており、ヒトに直接、輻射熱を作用させるため、効率が格段によく、省エネ効果が高いのです。

―「エコウィン」の特長を教えてください。

 結露対策に万全を期したことです。欧州では天井裏にパイプを設置するのが一般的。しかし、湿度の高い日本で同じことをすると冷房時にパイプ表面が結露してしまう。結露対策機能を設ける必要があり、工事費が余計にかかるなどの理由で、なかなか普及しなかった。
 エコウィンの場合は、室内の壁ぎわに立てて設置します。そのため、冷房時の結露で生じた水を排出するのが簡単で、除湿も同時に行えるので衛生的。しかも工事費が安い。
 また、施設を新築する場合、建築全体の工事費が安くなるメリットもあります。現在いちばん普及しているタイプのエアコンは天井裏にダクト用のスペースが必要。これに対し、エコウィンでは不要で、天井裏スペースの高さを50cm前後縮められる。それにより建物の高さを50cm×階数ぶん低くなり、大幅なコスト削減が実現できるのです。
 さらに、従来の輻射式の設備よりも熱効率をアップさせているのも特長です。温冷水の熱エネルギーの70%以上が輻射熱に変換されるとともに、対流式より除湿効果が高い。たとえば、夏場の冷房時であれば、体感温度が2℃程度下がり省エネ効果と快適性が向上します。

まずはショールームで自然な快適さを実感してほしい

―どのような施設で導入されていますか。

 体育館や美術館をはじめとする公共施設で導入事例があります。また、老人ホーム、幼稚園、病院も多いですね。対流式空調による院内感染や、手術室などではわずかな風が患者の命にかかわるからです。
 さらに、最近は一戸建て住宅でも導入するケースが出てきています。一般住宅では工事費負担が大きいのですが、風が起きず、静かであることが評価されているのです。

―今後の展望を聞かせてください。

 公共施設をはじめ、あらゆる建物に普及させていきます。
 今年、長野と東京にショールームを開設しました。できるだけ多くの人に輻射式冷暖房の良さを体感してもらい、夏は昔ながらの蔵のなかにいるような快適さ、冬は足元から日だまりのような暖かさを味わってほしい。エコウィンを普及させることで、人々の健康と、省エネ社会の実現に貢献したいですね。

中桐 則昭(なかぎり のりあき)プロフィール

1957年、広島県生まれ。1982年に京都大学経済学部を卒業。2010年、株式会社イースタン入社。常務取締役を経て、2012年に代表取締役社長に就任。新規事業として、輻射式冷暖房設備の販売をはじめ、省エネルギーや環境負荷の低減に貢献する事業を展開している。

株式会社イースタン

設立 1961年2月
資本金 46億3,600万円
売上高 189億円(2014年3月期)
従業員数 1,294名(2014年3月末現在:連結)
事業内容 半導体パッケージ基板の製造・販売、電源装置などの電子機器の製造・販売、輻射式冷暖房設備の販売
URL http://www.eastern.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0266-75-2022(平日9:00~17:00)
お問い合わせメールアドレス info@po.eastern.co.jp