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外国人のいる風景が日常となる国際都市を築く

佐賀県 の取り組み

外国人のいる風景が日常となる国際都市を築く

外国人のいる風景が日常となる国際都市を築く

佐賀県知事 古川 康
[提供] 株式会社ビジョン

「世界とつながる」をキーワードに、中国・瀋陽や香港などに拠点を開設。さらに上海とソウルに定期航空便を就航させるなど、海外戦略を積極的に推進している佐賀県。最近、「世界とともに発展する」という新たな戦略を打ち出した。同県の古川知事に新戦略の内容や課題の解決策、今後のビジョンなどについて聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

佐賀県データ

人口: 83万5,473人(2014年8月現在:推計) 世帯数: 30万3,681世帯(同上) 予算規模: 4,320億円(平成26年度当初) 面積: 2,439km² 概要: 九州地方の北西部にあり、北は玄界灘・南は有明海の2つの海に接する。
佐賀平野には弥生時代の吉野ヶ里遺跡があり、古代から米どころとなっている。
唐津・伊万里・有田などは古くから陶磁器の産地として有名。

通信環境を整えることで職員のコスト意識が向上

―古川知事は海外へ出かけることが多いと聞いています。どんな目的で行くのですか。

 知事としての1期目には、「まずは海外に佐賀県の名産品や観光地をPRしよう」でした。3期目となる最近では、「2年後の有田焼創業400年に向けて、そのPRを」といった、特定のテーマをもって出かけることが多いですね。また、個人的にも海外旅行が好きで、プライベートでもよく行きますよ。

―県のトップが自ら出向くにせよ、職員を送りこむにせよ、海外で活動するにあたっては通信環境が重要だと思います。その面ではどんな課題がありましたか。

 コストが高いことです。グローバル化のなか、「海外出張中だから連絡がつかない」という言い訳はまったく通用しません。海外でも国内と同じように電話やメールが利用できなくてはいけない。しかし、ローミングサービスを利用すると電話もメールも料金が高い。私自身、以前、台湾にプライベートで旅行したとき、たった2泊3日で
11万円くらい払った記憶があります。
 海外戦略を積極的に推進し、職員の海外出張が増えてくるとともにそのコストも増大します。何か手段を講じなければならないと感じていました。

―どのようにしてその課題を解決したのですか。

 海外用WiFiレンタルサービスの「グローバルWiFi」を導入したのです。3年前に経営者の集まる会で、このサービスを提供するビジョンの佐野代表と出会ったことがきっかけで、このサービスを知りました。その後、佐賀県が誘致した企業だということもあり、導入を決めました。
 ただし、導入当初は、海外出張時に個人の携帯電話を使っている職員もいました。「どうしてグローバルWiFiを使わないのか」と聞くと、「そういうものがあることを知りませんでした」とか「支払事務が面倒なんです」と言うわけです。そこで、海外出張のときは「グローバルWiFi」を使うことをルール化して、県の情報・業務改革課が一括して支払事務をすることにしました。その後は、みんなが使うようになりました。

―導入の効果を教えてください。

 現在のグローバルWiFiでの海外通信費は年間約90万円。これを、ローミングサービスを利用したと仮定して計算すると約190万円となり、約100万円を節減したことになります。県民の税金100万円がムダに使われずに済んだということです。海外出張する職員に利用をルール化したことで、職員のコスト意識が高まったと思います。いわば、グローバルWiFiが通信費節約の象徴となったのです。

高速通信網を整備外国人に快適な環境を

―今後、どんな海外戦略を描いていますか。

 今後の海外戦略では「海外の資本を受け入れる」「外国人と一緒に暮らす」「共生する」という3つの内容を盛り込んでいます。佐賀県の発展のためには今後、少子化の進む国内だけでなく、海外の人の力を借りていかなければならないからです。
 そのため、今回、外国人との共生を正面からうたい、県内在住の外国人を増やすことを通じて地域社会を発展させようと。そこが他県の海外戦略との大きな違いです。

―具体的な施策を教えてください。

 たとえば日本語学校の誘致です。大学や企業を誘致する自治体は多いのですが、日本語学校は少ない。まずは日本に興味をもち、日本語を学ぶ外国人を大切にしたい。日本語の能力が身につけば大学に進学する人も増加します。 そして、日本語がよくわからない外国人に日本のことをどう伝えるのか。その経験を積み上げることで、県はさまざまなノウハウを得ることができます。それを活用して、外国人と一緒に暮らすことが当たり前の地域をつくることができるはずです。
 また、外国人との共生のために、少しでも外国人にとって快適な環境を整えたい。たとえば外国人に日本での通信環境を無料で提供する全県フリーWiFi化。今後2年間に2800ヵ所のフリーWiFiスポットを設置したいと思っています。さらに、英語、韓国語、中国語、タイ語に対応できるコールセンターを設置するとともに、コールセンターサービスに連動したスマホアプリを開発し、提供します。
 これらの施策を通じて、外国人のいる風景が日常になるようにしていきたいですね。

古川 康(ふるかわ やすし)プロフィール

1958年、佐賀県生まれ。1982年に東京大学法学部を卒業後、自治省(現:総務省)に入省。複数の自治体などでの勤務を経て、2003年の佐賀県知事選挙に立候補し当選。当時の全国最年少知事だった。2007年に再選、2011年に三選。海外戦略を強力に推進しているほか、ICTの活用にも積極的に取り組み、全国で初めて県内すべての救急車にタブレット端末を配備し救急搬送時間の短縮につなげるなど、多くの成果をあげている。


佐賀県 の取り組み

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万全の通信環境を整えてアジア新興国へ打って出てほしい

株式会社ビジョン 代表取締役社長 佐野 健一 / 支援自治体:佐賀県
[提供] 株式会社ビジョン

地域産品のPRや観光客の誘致などの必要性が高まり、自治体職員が海外へ出張する機会が増えている。しかし、海外での通信環境の高コストや低セキュリティが課題になっている。それらの課題を解決する製品を、佐賀県をはじめ各自治体や官庁に納入したビジョン代表の佐野氏に、自治体による海外戦略推進をどのようにサポートしているのかを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

北海道庁の努力の積み重ねで海外の誰もが銘菓を知っている

―海外戦略を推進する自治体が増えているそうですね。要因を教えてください。

 少子化による国内市場の縮小です。海外市場を攻略すると同時に、人材や観光客を呼び込む必要があります。これは、日本社会全体で取り組むべきこと。企業だけでなく、自治体のがんばりも不可欠なのです。
 自治体によるPRや、海外自治体との姉妹都市関係の締結は、“ニッポン・ブランド”の構築に大きな効果があります。たとえば、私は海外へ出張するとき、おみやげに必ず北海道の銘菓「白い恋人」をもっていきます。現地の誰もが知っているからです。これは北海道ブランドを海外に浸透させようとする道庁の地道な努力の結果なのです。

―海外戦略の対象としては、どの国・地域が重要でしょう。

 やはり中国をはじめとするアジア新興国です。この夏、日本を訪れた外国人観光客は中国人がダントツで多かった。彼らには日中の政治的な対立はまったく関係ないんです。台湾やタイも伸びています。近くビザの条件が緩和されるインドネシアもこれから期待できます。

―アジア新興国へ職員が出張する機会が増えていくわけですね。その際の課題はなんですか。

 通信環境が整っていないことです。日本の携帯電話・スマートフォンをもっていけば使えるローミングサービスはどの国にもありますが、インフラが未整備の国・地域では通信速度が遅く、接続状態も悪い。出張中の職員にとって本庁との連絡はまさに生命線。それが機能しなければ迅速な意思決定ができません。
 しかも料金が高い。自治体の財政は年々厳しくなっており、コスト削減は至上命題。通信費におカネをかけるわけにいかないでしょう。さらに、情報セキュリティ上の問題もあります。日本ほど対策が整備されていないからです。とくにフリーWiFiは危険。利用を禁止している自治体がほとんどですが、ホテルや空港でついつい使ってしまう職員もいます。情報を盗まれるリスクを不必要に高めているのです。

―解決策を教えてください。

 日本の快適で安全な通信環境を、そのまま海外へもちこむことです。私たちが佐賀県に提供した「グローバルWiFi」も、それを実現するサービスのひとつ。これは、現地に日本と同等レベルで構築した無線設備のネットワークを活用するので、ローミングよりも快適で低料金です。
 私たちが提供するルーターをレンタルしてもらい、もちこむだけで現地に着いた瞬間からネットが使える。しかもPCやスマホなど複数のデバイス全部で使えますし、複数の人が共同で使うことも可能。目的地までのナビゲーションをはじめ、移動をしながらの利用もできるのでストレスがない。セキュリティ対策も万全で、ネットワークにしっかり暗号をかけて安全性を確保しています。

自治体ごとの様式にあわせて請求方法をカスタマイズ

―自治体向けサービスの今後の展望を聞かせてください。

 経理担当者が通信費の請求を処理しやすいように、自治体ごとの請求様式にあわせるといった工夫を積み重ねて、より利用されやすいサービスへと進化させていきます。
 また、国内でも「グローバルWiFi」が活用できるようにしていきます。“グローバル”という概念のなかには日本も含まれる。世界のどこでも同じ快適な通信環境を提供するのです。これが実現できれば、訪日観光客にとっての利便性は劇的に高まる。
 2020年のオリンピックに向けて、会場とその周辺、繁華街にWiFi環境を整備する構想がありますが、ほかの国内各地を訪れた外国人向けの快適なインフラ整備も必要です。訪日外国人数が近年増加しているなか、日本各地のよさを世界に伝えていくことに、日本中どこにいても、移動中であっても使えるWiFiルーターレンタルサービスで、観光客を誘致したい自治体と一緒に力を入れていきたいです。

佐野 健一(さの けんいち)プロフィール

1969年、鹿児島県生まれ。1990年に大手通信会社に入社し、すぐにトップ営業になる。営業マネージャーや関西支店長など、当時あったすべての部署の責任者を歴任。1995年、静岡県富士宮市にて電気通信サービスの加入取次事業を展開する有限会社ビジョンを設立、代表取締役社長に就任。OA機器の販売などへ事業領域を広げ、2001年に現在の株式会社ビジョンへと発展させる。通信サービスのトップディストリビューターとして、2012年からWiFiルーターレンタルサービス“グローバルWiFiR”を提供している。

株式会社ビジョン

設立 2001年12月
資本金 3億円
売上高 92億円(2013年12月期)
従業員数 703名(2014年7月現在)
事業内容 グローバルWiFi(海外WiFiルーターレンタルサービス)事業、MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス、固定通信・ブロードバンド通信サービスの加入取次、移動体通信機器の販売・レンタル事業、オフィスオートメーション機器の販売・保守・レンタル事業、インターネットサービス事業(ホームページの制作・保守・運営管理)、広告代理店業、テレマーケティング事業
URL http://www.vision-net.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-510-647(年中無休・24時間受付)