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「臨時福祉給付金」に関する住民の疑問にスムーズに対応

大阪府岸和田市の取り組み

「臨時福祉給付金」に関する住民の疑問にスムーズに対応

「臨時福祉給付金」に関する住民の疑問にスムーズに対応

岸和田市役所 保健福祉部 理事 兼 福祉政策課長 森下 和彦
[提供] 株式会社ヒューネル

4月からの消費税率引き上げによる負担緩和のため、厚生労働省は「臨時福祉給付金」「子育て世帯臨時特例給付金」の臨時給付金の支給を実施。岸和田市は、6月から広報活動および問い合わせ対応を本格的に開始した。その業務にコールセンターを活用しているという。福祉政策課長の森下氏に、その狙いを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

大阪府データ

人口: 20万386人(平成26年9月現在)世帯数: 8万5,242世帯(平成26年9月現在)予算規模: 747億4,700万円(平成26年度)面積: 72.32km²概要: 江戸時代は岸和田藩の城下町として栄え、現在は人口約20万人の特例市としてにぎわっている。泉南地域の中心都市であり、大阪府の出先機関や企業の支店などが集中していることも特徴的。毎年行われる300年を超える歴史がある「岸和田だんじり祭」は全国的に有名で、2日間の祭りの期間は毎年60万人もの人出でにぎわう。

高齢者に配慮した申込書で 記入の負担を軽減

―臨時給付金の支給において、岸和田市が重視していたポイントはなんでしょう。

 対象となる住民の方に正確な情報を伝え、ミスのない申請をしていただき、給付金をきちんと受け取ってもらうことですね。これは全自治体に共通していえることでしょう。
 厚生労働省も積極的に広報を行っているのですが、1回限りの支給ということもあり、対象となる住民の方になかなか浸透しにくい面がありました。

―どのような方法で広報しているのですか。

 広報誌などによる一般広報とは別に、対象となる世帯をできるだけ絞り、個別案内による周知を行っています。告知漏れを防ごうと全世帯に案内を送る自治体もありますが、それでは支給対象外の世帯にも送ることになってしまいます。その結果、コストと作業のムダにつながるとともに、受け取った人に誤解を与えてしまう懸念もあります。
「子育て世帯臨時特例給付金」の支給対象者は事前情報で絞り込めるのですが、「臨時福祉給付金」の対象者はいくつか制限があり、正確に絞り込むことは難しい。そこで、課税対象者を除いた該当と思われる世帯だけに通知を送ることとしたのです。
 また「臨時福祉給付金」の支給対象者は、高齢者が非常に多い。そこで、事前にわかる情報はあらかじめ申請書に書き込んでおくことで、記入する負担をできるだけ軽減しました。

―その後の手続きは順調に進んでいますか。

 やはり、それだけですべての対象者が正しい手順を踏めるというわけではありません。とくに「臨時福祉給付金」対象者の多くは高齢者ですから、案内の中身が十分に伝わり切らないうえに、申請用紙の書き方がわからないといった問い合わせも増えました。
 それらの問題を事前に予測していたため、民間と連携してコールセンターを開設したのです。

1回限りの事業は民間へのアウトソースが有効

―コールセンターに求めていた要望を教えてください。

 短期の契約をお願いしました。岸和田市の臨時福祉給付金の受付は6ヵ月間で、開始は7月から。対象者への申請書の発送数は約4万通でした。コストがもっとも低く、要望に応えられるヒューネルに業務を依頼。稼働期間は7月から3ヵ月間という契約で、10名の体制でヒューネルのコールセンターにアウトソースしました。住民からの問い合わせは最初に殺到すると予想されるので、そこから徐々に回線数を減らしていく予定です。
 住民の方々からの問い合わせに対しては、ほぼコールセンターにおいて対応できています。大きなトラブルもなく順調にスタートしていますね。

―業務を開始してからよかった点はありますか。

 細かな打ち合わせを重ね、お互いに意思の疎通が図れているなかで業務を実施できている点です。電話の応対マニュアルについても、状況が変わるたびに臨機応変に変更してもらっていますし、業務報告も細かく的確に内容が把握できるように対応してもらっていますので満足しています。
 ご自身ではちゃんと書いたつもりが記載不備になっていて返送されたときに、どこがいけないのかをたずねられることも多い。そうした場合にも真摯な対応をしてもらえるので、トラブルに発展するようなことがほとんどありません。

―今後の福祉政策課における民間活用のスタンスを教えてください。

 一般的にどの自治体でも、職員の数は減少していく傾向にあります。しかし一方で、業務量が減っているかといえばそうではありません。職員の負担は、確実に増えています。
 だからこそ、こうした民間の事業者の力を借りて連携していくのは当然ですし、今後もいっそう必要になると考えられます。とくにこうした1回限りの事業では民間業者の力を借りるアウトソーシングは有効な方法だと思いますね。

森下 和彦(もりした かずひこ)プロフィール

岸和田市役所 保健福祉部 理事 兼 福祉政策課長


大阪府八尾市の取り組み

早期の納付勧奨により健康保険料の入金率が約70%に

早期の納付勧奨により健康保険料の入金率が約70%に

八尾市役所 健康保険課 国民健康保険係 係長 寺川 弘人

従来より、八尾市では国民健康保険料の未納付者に対してコールセンターによる案内を実施。膨大な数の案内を行うために、民間企業のノウハウを活用している。「納付の案内」というデリケートな側面をもつ業務に対し、2013年はどのような取り組みを行ったのか。健康保険課の寺川氏に話を聞いた。

大阪府八尾市データ

人口: 26万9,623人(平成26年8月現在)世帯数: 12万841世帯(平成26年8月現在)予算規模: 2,029億円(平成26年度)面積: 41.71km2km²概要: 大阪市の東南部に隣接する特例市で、市の南部には八尾空港があり、陸上自衛隊の駐屯地や民間の小型航空機に供用されている。全国トップシェアの出荷額で伝統ある歯ブラシ生産をはじめ、金属製品や電子機器など最先端技術にいたるまで、匠の技が光る。製造品出荷額は、大阪市・堺市に次いで府内3番目(平成22年工業統計調査)の規模となるなど、中小企業を中心に高度な技術力と製品開発力を誇る「ものづくりのまち」として知られる。

文書郵送の案内だけでなく電話連絡で個別に対応

―近年、八尾市の健康保険課ではどのような課題を抱えていたのでしょう。

 本市では、保険料は毎年6月から3月まで、10回にわけて納付いただいています。国民健康保険の加入世帯は約4万6000世帯ですが、毎月約8000世帯の保険料の未納理由が確認できない状態にありました。

―課題に対して、どのような対策を講じたのですか。

 これまでは督促状を郵送していました。ところが市民の方からは、「1回納付を忘れただけで、督促状を送るのか」という声をいただくこともありました。
 そこで督促状を送るだけでなく、まずお電話でひと声おかけしたほうがいいのではないかと考えました。しかし、ご案内を行うべき世帯数は約8000世帯にものぼります。とても市役所の職員だけでは、実施することはできません。そこで、民間のコールセンターを活用するにいたったのです。

―入札の結果、ヒューネルのコールセンターを導入しました。業務を運営していくうえで、こだわった点を教えてください。

 本市役所執務室内にコールセンターのブースをつくり、担当者の方には市役所に出勤していただく形でコールセンター業務をお願いしました。個人情報を外部に出さないことと、業務遂行における意思の疎通を図りやすくするなど、スムーズに業務を行えるようにするのが狙いでした。
 また、国民健康保険料の新年度の納付は6月から始まりますから、契約期間を年度初めである4月からではなく、7月からという変則的な形でお願いしなくてはならないという事情もありました。

誠実かつていねいな対応で懸念していたトラブルはナシ

―実際に民間のコールセンター機能を導入されて、どんな成果があったのでしょう。

 電話でご案内した世帯の約70%から、実際に納付いただくという成果が出ています。また、問い合わせを行う際に、より効率的にご案内したり、短い通話時間で正確でていねいなご案内をすることを心がけるなど、架電の効率を上げるという視点からさまざまな取り組みを実践してもらっています。
 さらに、電話をかけて案内することで、たとえば納付書を失くされて支払えなくなっていた方に対し、再発行させていただくという場合もありました。世帯の状況を把握して、可能な対策を打つことにつながっています。

―ほかによかったポイントはありますか。

 電話に対するトラブルがなかったことですね。本市としては、電話をおかけした世帯に不審に思われないかを懸念していたのですが、電話したことによるクレームはほとんどありませんでした。
 会話の内容やトーンがあまり堅くならないよう気をつけてもらいながら、なおかつ誠実に信頼してもらえる受け答えを望みましたが、それを十分に実現してもらったと思っています。

―今後の健康保険課の取り組みについて教えてください。

 国民健康保険の運営については、都道府県で行うことが検討されていますが、健康保険課としても継続して取り組みを強化していかなければいけません。そのためにもコールセンター業務は重要ですし、民間の力を活用していくことが必要だと考えています。
 そして、私たちにとっていちばん大事なのは、市民のみなさまの健康を維持していくこと。経済的な理由で保険料の納付が難しい場合は、ご相談をうけたまわっておりますので、遠慮なく担当課にお越しいただきたいですね。

寺川 弘人(てらかわ ひろひと)プロフィール

八尾市役所 健康保険課 国民健康保険係 係長


大阪府の取り組み

専門ノウハウを活用して経費削減と成果向上を両立

株式会社ヒューネル 取締役 執行役員 CRM事業本部 本部長 小泉 龍一

これまでのページでは、電話応対業務を民間企業に委託した八尾市と岸和田市の例を紹介してきた。それらの業務を請け負ったのが全国にコールセンターを置くヒューネルである。テレマーケティングの専門ノウハウをもつ同社取締役の小泉氏に、民間企業を活用する際のポイントなどについて聞いた。

大阪府八尾市データ

人口: 26万9,623人(平成26年8月現在)世帯数: 12万841世帯(平成26年8月現在)予算規模: 2,029億円(平成26年度)面積: 41.71km2km²概要: 大阪市の東南部に隣接する特例市で、市の南部には八尾空港があり、陸上自衛隊の駐屯地や民間の小型航空機に供用されている。全国トップシェアの出荷額で伝統ある歯ブラシ生産をはじめ、金属製品や電子機器など最先端技術にいたるまで、匠の技が光る。製造品出荷額は、大阪市・堺市に次いで府内3番目(平成22年工業統計調査)の規模となるなど、中小企業を中心に高度な技術力と製品開発力を誇る「ものづくりのまち」として知られる。

外注化の波が加速基幹業務を委託する例も

―電話応対業務のアウトソーシングについて、最近の傾向を教えてください。

 従来は簡易な問い合わせ業務が中心でしたが、近年ではフリーダイヤルでの総合窓口といった基幹部分を外注する自治体が増えています。また、八尾市や岸和田市のような専門的業務についても、民間企業に委託する例が多くなっていますね。

―業務委託によって、どのような効果が期待できますか。

 業務効率化によるコスト削減はもちろん、成果の向上が期待できます。八尾市の国民健康保険料の納付勧奨もそうですが、民間に業務を委託することで入金率や受診率などの成果向上につなげるわけです。これはテレマーケティングの専門ノウハウをもった民間企業でなければ難しいでしょう。
 そのほかにも、ていねいな電話応対で住民の満足度を上げたり、地域に新たな雇用が創出されたりするなど、外注によって期待できるメリットは複数あげられます。

―どのような企業であれば、そうした効果が生み出せるのでしょう。

 まず大前提となるのは、情報セキュリティに関する仕組みを高いレベルで備えていること。ISMS認証の取得は必須です。そのうえで重要なのが、高い対話力。心のこもった電話応対や的確なヒアリングはコールセンター業務に欠かせません。
 たとえば当社では、ある政令指定都市の敬老優待乗車制度に関する問い合わせ対応業務を受託しています。高齢者の方々にとっては負担が増えてしまう内容のため、クレームに発展してもおかしくない。でも、ていねいな電話応対を続けた結果、お礼の手紙が市役所に多数届いたそうです。「わかりやすく説明してくれてありがたかった」という感想をいただき、非常にうれしかったですね。

―そのほかに大切なポイントはありますか。

 コールセンター業務では、かかってきた電話を受ける「受電」業務と、こちらから電話をかける「架電」業務があります。これら両方のノウハウをバランスよく有していることが大切です。
 実際の業務では、電話を受けて長くお待たせするわけにはいきません。いただいた質問に詳しく答えるために、折り返しの電話をする機会は多い。受電と架電は表裏一体の関係ですから、どちらか一方だけが得意な企業は避けたほうがいいでしょう。

仕様書プラスαの提案で業務の質を上げる

―民間企業が提供できる最大の価値を教えてください。

 民間ならではの視点を活かした提案力ですね。つまり、「仕様書に記載された最低限の仕事をこなす」という発想ではなく、業務の質を上げるためのプラスαの提案をすることです。当社はテレマーケティング事業で培ってきた数多くのノウハウがあるので、その経験を活かした実践的な提案が可能です。
 また、住民のみなさまからの「よくある質問と答え」をデータ化して蓄積。職員の方々が将来にわたって継続的に使えるノウハウ(ナレッジデータベース)を提供することができます。くわえて、繁閑期に合わせた人員数の調整についても柔軟に対応しています。

―御社は保険・金融関連の事業で業績が安定しています。なぜ自治体向けのサービスに力を入れているのですか。

 これまで培ってきた専門ノウハウを活かして、地域に貢献したいからです。当社の従業員も、その街の住民。同じ地域の方々の困りごとに自ら対処できるのは、非常にやりがいのある仕事です。
 もし自治体のご担当者が過去に業務で苦労されたことがあれば、包み隠さず私たちに伝えてほしい。当社がもつノウハウと仕組みを最大限に活用して、改善のお手伝いをしたいと思っています。

小泉 龍一(こいずみ りゅういち)プロフィール

1972年、岡山県生まれ。1994年に大学を卒業後、大手テレマエージェンシーに入社。大規模コールセンターの運営・構築に携わり、現在まで約20年にわたってテレマーケティング業界で実績を積む。2012年に株式会社ヒューネルに入社し、2014年4月より現職。自治体向けのコールセンターサービス拡大を推進している。

企業情報

設立 2006年9月
資本金 5,735万円(資本準備金2,335万円)
売上高 34億円(2014年3月期:連結)
従業員数 550名(2014年3月末現在:連結)
事業内容 保険代理店事業、CRM事業、パートナー事業、アライアンス事業、不動産事業
URL http://www.hunel.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-4530-4172(平日9:30~19:00)