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消防・救急・防災事業への財政支援策

「消防車へのロゴ掲載」という、防災支援の新しい官民連携のカタチ

余市町長 齊藤 啓輔
一般社団法人PFI開発支援機構 代表理事 西村 拓
[提供] 一般社団法人PFI開発支援機構

厳しい財政事情を抱える多くの自治体にあっても、簡単には削れない事業。その代表が、住民の生活安心・安全の確保に直結する消防・救急事業であろう。そうしたなか、余市町(北海道)では、これらの事業予算を確保する新たな仕組みとして、一般社団法人PFI開発支援機構が主導する「ホワイトシャッター」プロジェクトに参画した。どのようなプロジェクトか。また、その効果は。余市町長の齊藤氏と同機構代表理事の西村氏に話を聞いた。

余市町データ
人口:1万8,347人 (令和2年6月末現在) 世帯数:9,814世帯(令和2年6月末現在) 予算規模:166億7,859万円(令和2年度当初) 面積:140.59km² 概要:北海道の西部、積丹(しゃこたん)半島の東の付け根に位置する。町の北側は日本海に面し、他の三方はゆるやかな丘陵地に囲まれている。ニシン漁により発展し町の基礎を築いてきたが、ニシンは昭和29年の漁を最後に余市湾への回遊が途絶え、今では「幻の魚」に。一方、果樹の栽培が明治初期から試みられた結果、リンゴ、ブドウ、梨などの生産では全道一を誇る。ワインやウィスキーの醸造業も盛ん。近年ではワイナリーとのプロジェクトを進め、事業パートナーとのグランピング施設も開業。
余市町
町長
齊藤 啓輔さいとう けいすけ
一般社団法人PFI開発支援機構
代表理事
西村 拓にしむら たく

必要な資材の調達も難しい実情から、新たな支援の仕組みが必要と判断

―消防・救急事業をめぐって、余市町では新しい官民連携プロジェクトに参画したと聞きます。その背景を教えてください。

齊藤 いま、多くの自治体の消防・救急事業は、緊急車両の出動回数が非常に増えています。その背景には、高齢化の進展による救急需要の増加にくわえ、近年頻発する自然災害の影響も大きいです。それは当町も例外ではありません。他方で財政は厳しく、消防・救急事業に対して思うように予算を割くことができない事情がありました。そうしたなか、DMMが一般社団法人を立ち上げ、「ホワイトシャッター」という防災支援プロジェクトを主導しようとしていることを知り、興味をもったのがきっかけでした。

西村 消防白書が示す通り、予算全体の約7割を人件費が占め、資材購入費はごくわずかというのが現状です。地方の過疎化が進むなかで、消防・救急の機能維持はすでに大きな社会課題といえるでしょう。所属企業の関連で、DMMのグループ企業が消防車の企画開発を手がけている関係から消防現場を知る機会が多くありました。そこで「予算の制約から、必要な資材を調達することが難しい」という実情を知り、実際に、防災支援の新しい仕組みが必要だと判断し、立ち上げたのが「ホワイトシャッター」プロジェクトでした。

―具体的にどのようなプロジェクトですか。

西村 民間企業と自治体の連携による消防・救急・防災現場への支援プロジェクトです。消防車のシャッター部分に協賛企業のロゴを掲載すると、各自治体にはシャッター数に応じたポイントが割当され、消防・救急活動に必要な資機材と交換できるのです。かりに協賛企業の獲得が難しい自治体であっても、全国で集めた協賛金の一部は提供シャッター数に応じてポイントとして割当されるため、自治体はプロジェクトに参画するだけで、必ず支援を受けられる仕組みです。縁あって、このプロジェクトに最初に賛同していただいたのが、余市町さんでした。

齊藤 財政の負担なく必要な資機材を取り揃えることができるのは、自治体にとって非常に魅力的でした。ホワイトシャッターは、なんら消防車の機能を阻害するものでもないですし、海外でも同様の事例が普及している地域があることも知っていました。プロジェクトを知り、すぐに実証実験への参画を決め、実際に今年6月から、1台ぶんからホワイトシャッターの試験導入を開始しています。実際に街中を走るホワイトシャッターを見ましたが、民間企業との連携による地域一体の消防・救急体制を住民にアピールするいい機会になっていると感じますね。消防・救急・防災といった事業は、もちろん自治体が主体となって行うのですが、住民や企業といった地域の協力は欠かせません。そこに民間企業が賛同し、バックアップしてもらえるのは大変ありがたいですし、住民も心強く感じているのではないでしょうか。

西村 協賛企業にとっても、近年重視されるCSRの観点から高い評価を得られるため、自治体と民間企業、双方にとってメリットのある仕組みだと言えますね。


コロナ禍で必要性が高まる、感染防止衣セットを調達

―余市町では、獲得したポイントをどのように活用しているのですか。

齊藤 現下のコロナ禍で、より一層必要性が高まっている隊員向けの感染防止衣11セットを調達しました。発注からわずか1ヵ月で迅速に納品していただき、すぐに現場へ配付。この間、地域の拠点病院における新型コロナウイルス感染症患者の搬送時のほか、町内で感染が疑われる事案が発生した際など、すでに多くの現場で有効に活用させてもらっています。

西村 余市町さん以外にも、現在すでに16(※9/25時点)自治体や消防組合がプロジェクトに参画しており、参画を検討している自治体となるとすでに260を超えます。一方で、民間企業への呼びかけにも力を入れており、Jリーグのクラブやその他スポーツ団体との提携をはじめ、賛同の動きは順調に広がっています。

―今後の運営ビジョンを聞かせてください。

齊藤 80年後の2100年には、日本の人口は5,000万人になると予想されているように、今後未曾有の人口減少社会が到来します。こうした未来を見すえると、人口減少は避けられない「所与の条件」と捉え、持続可能なまちづくりをしていくのが自治体の責務でしょう。そのためには、さまざまなプレーヤーとの連携は不可欠です。消防・救急・防災といった重要な社会インフラを官民連携で支えるホワイトシャッタープロジェクトは非常に意義があり、地域の安定運営に欠かせない取り組みとして、今後も活用していきます。

西村 当社としても運営の過程で、多くの自治体、民間企業の間に理解や評価が広がっているのを見て、プロジェクトに大きな手ごたえを感じています。それらの期待を背負い、厳しい財政事情のなかで消防・救急・防災を強化していかなければならない自治体を、力強く支援していきます。

齊藤 啓輔 (さいとう けいすけ) プロフィール
昭和56年生まれ。平成16年に早稲田大学を卒業後、外務省入省。ロシア課や内閣総理大臣官邸などに所属。平成28年に天塩町(北海道)副町長に就任。平成30年に余市町長に就任し、現在に至る。
西村 拓 (にしむら たく) プロフィール
昭和49年生まれ。平成17年にDMM.comに入社。 全事業のデジタル広告の展開基盤を構築するとともに、CRMやアクセス解析などのマーケティングソリューションの導入を推進。 平成25年7月執行役員マーケティング本部本部長に就任。 平成30年11月よりコーポレートブランディングを構築するコーポレート室の立ち上げを行い、現在はCSR室室長をつとめる。令和元年の一般社団法人PFI開発支援機構の発足に伴い、代表理事に就任。
一般社団法人PFI開発支援機構
設立令和元年10月
事業内容地域の公共資産などの媒体開発およびその民間活用の斡旋事業、地域の消防・救急・防災その他のサービス領域における市民意識の啓発広報事業
URL https://pfi-support.or.jp/

ホワイトシャッタープロジェクト
https://white-shutter.co.jp/
お問い合わせメールアドレスinfo@pfi-support.or.jp
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