支援企業 の取り組み

自治体の生産性向上を支える民間企業に聞く
RPAのメリットを享受するポイント
大崎コンピュータエンヂニアリング 営業本部 第1営業統括部 営業支援部部長代理 兼 事業推進統括部 NB推進室室長代理 森 雄介
ジャパンシステム 執行役員 ビジネスイノベーション 本部長 大内 博義
富士ゼロックス 中央営業事業部 ソリューション第二営業部 部長 尾崎 裕司
富士通総研 コンサルティング本部 行政情報化グループ チーフ・シニア・コンサルタント 前田 宏二
自治体におけるRPA普及の背景には、システムインテグレーターからメーカー、コンサルティング会社まで、自治体の生産性向上を支える多くの民間企業による導入支援がある。ここでは、RPAツール『BizRobo!』のベンダーであるRPAテクノロジーズのパートナー企業を取材。各社に、自治体がRPAを活用するポイントなどを聞いた。
※下記は自治体通信 特別号(2019年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

ロボットの「共有」も、活用を広げる選択肢に
―自治体がRPAを活用するためのポイントはなんでしょう。
RPAの導入後、いかに継続的に業務効率化を実現させるかがポイントです。そのため、当社が導入を支援した東広島市には、今後の長期的な運用を見据えてもらうため、ロボットの作成や運用管理など、RPAに関する実践的な研修を提案しました。
―今後の自治体に対する支援方針を聞かせてください。
実際にロボットを作成するには、ある程度の学習や経験も必要です。そのため、庁内でロボットを増やすための選択肢として、当社では「特定の機能をもつロボットを、異なる自治体間で共有する」といった方法も提案しています。このように、より多くの自治体がRPAの効果を享受できるような仕組みづくりも模索していきたいですね。

長期の運用を見据えた、ツール選びも大切
―自治体におけるRPAの普及状況を教えてください。
自治体がRPAに関する実証実験の結果を公表することで、別の自治体でも導入が促されるという動きが加速しています。当社では、平成20年に自治体向けデータセンターを建設以降、神奈川県など約10の自治体に、RPAテクノロジーズの『BizRobo!』による実証実験の支援を行っています。
―どのような点が評価されているのでしょう。
まず、運用や管理を一元的に行いやすいサーバ型(※)のツールであること。このほか、大手民間企業での採用実績が豊富なことも評価されています。当社ではLGWANに対応した『BizRobo!』の提供も開始し、自治体特有のニーズに合うカタチでRPA導入を支えていきたいと考えています。
※サーバ型:ロボットがサーバ内で動作するタイプのRPAツール。一方でロボットが個々のパソコン内で動作するものは「デスクトップ型」と呼ばれる。市場には、「サーバ型」とうたいながらも、管理のみをサーバ内で行い、ロボットは端末上で動作するツールも多く流通している

「長期的な改善活動」として、取り組むことが大事
―自治体に対する支援内容を聞かせてください。
当社では、財務会計システムを200超の自治体に提供してきた実績があります。自治体ごとに仕様が異なる同システムは、小規模で多種にわたる業務をロボットに任せられるRPAと親和性が高いため、当社が導入を支援している天草市をはじめ、「システム周りの業務自動化」を切り口に、『BizRobo!』の活用を提案しています。
―RPAを活用するにはどのような心構えが必要でしょうか。
通常のシステム投資では、短期的な費用対効果が求められますが、RPAでは、「長期的に改善活動を重ねていく」というスタンスで取り組むことが大事です。まずはスモールスタートで素早く着手し、ひとりでも多くの職員に確実な効果を実感してほしいですね。

いかに住民サービスの向上に、つながるかをまずは考えること
―RPAのメリットを活かすポイントはなんでしょう。
「RPAを活用することで、どのように住民サービスの向上につなげられるか」を考えることが大事です。例えば、よい政策を打ち出すには、根拠となる統計を適切に取る必要があります。こうした観点に立つと、データの処理にかけていた作業をRPAにより自動化することで、職員はよりよい統計を集めることに専念できるようになります。
―自治体に対する支援方針を聞かせてください。
複合機メーカーである当社は、複合機を、紙をデジタルデータ化するための「ゲートウェイ」と位置づけ、RPAと組み合わせた支援を提案しています。RPAの活用幅を広げる具体的な提案を通じ、自治体の生産性向上に貢献していきたいですね。

ロボット化する前に、業務全体を見渡しスリム化を
―自治体に対する支援内容を教えてください。
鎌倉市では、業務プロセスを改善する活動の一環として、RPA導入の支援を行いました。RPAを活用して業務の生産性をより大きく向上させるには、特定部署における業務にしばられるのではなく、全体を見渡し、重複したり短縮できる作業を先にスリム化させることが効果的です。
―RPAをどのようなものとしてとらえていますか。
生産性の向上では昔からさまざまなシステムの導入が行われてきましたが、高額なコストだけでなく、情報化計画を策定する時間などもかかります。それならば、より安価で、現場の細かいニーズに沿って柔軟に業務をロボットに代替できるRPAは、有効な選択肢のひとつとなるでしょう。
