全国の自治体トップ・職員・議員に贈る
自治体の"経営力"を上げる情報サイト
自治体通信Online

愛知県大府市の取り組み

システム部門へのノウハウ蓄積で「負担化しないRPA活用」を目指す

大府市 総務部 総務課
情報システム係 総括係長 新美 清和
情報システム係 太田 茉知
[提供] RPAテクノロジーズ株式会社

単純なPC作業をソフトウェア型ロボットに任せ、業務効率化や働き方改革を実現できるツールとして、自治体で注目されるRPA。しかし、RPAの導入が、ロボットの作成や運用を担う職員の負担となってしまっては、本末転倒となる。こうしたなか、大府市(愛知県)では、総務課情報システム係が主体となって、RPAを効率的に運用できる体制の構築を進めている。その詳細を、RPA導入の経緯も含めて同係の2人に聞いた。

大府市データ
人口:9万2,761人(令和元年12月末現在) 世帯数:3万9,437世帯(令和元年12月末現在) 予算規模:455億7,792万6,000円(令和元年度当初) 面積:33.66km² 概要:北は名古屋市、東は三河地方と接し、南部は知多半島をのぞむ。東海道本線の名古屋駅とは大府駅から新快速で13分の距離にあり、産業や住機能の調和のとれた都市として発展している。長寿社会に向けた「健康づくり都市」を宣言しており、市南部から知多郡東浦町北部にかけた一部地区を「ウェルネスバレー」と称し、健康づくり、医療、福祉、農と食、新産業育成などに取り組んでいる。
大府市
総務部 総務課 情報システム係 総括係長
新美 清和にいみ きよかず
大府市
総務部 総務課 情報システム係
太田 茉知おおた まち

時間外労働を減らし、職員の働き方改革を前進

―RPA導入の経緯を聞かせてください。

新美 当市は毎週木曜日を「ノー残業デー」に定めるといった、庁内職員の働き方改革を推進してきた経緯があります。そのなかで我々情報システム係では、職員の健康管理を目的として、22時以降、庁内ネットワークを強制遮断するシステムを導入するなど、ICTを活用した取り組みを行ってきました。しかし、職員が勤務可能な時間を削減するとなると当然、業務の省力化や効率化が必須となってきます。そこで、単純作業であるものの職員を長時間拘束するようなPC作業をソフトウェア型ロボットに任せられるRPAに着目していました。

 こうした折、当市は平成30年に、新たな時代に向けて、ソフトバンクと「ICTの活用による持続可能なまちづくり」に関する包括連携協定を締結。そのなかで、業務改善や働き方改革の推進に関する連携の一環として、RPAの導入をソフトバンクに支援してもらうことになったのです。


太田 RPAツールの導入にあたっては、公募型プロポーザルを行い、機能や価格、将来性、セキュリティなど各面を総合的に評価した結果、ソフトバンクの『SynchRoid(シンクロイド)(※)』を選定しました。たとえば、将来性という観点では、同ツールが、サーバ上でロボットを稼働させる「サーバ型」のRPAツールである点を評価。PC端末ごとにロボットが稼働する、安価な「デスクトップ型」のツールも同時に検討していましたが、今後、RPAを全庁展開するにあたっては、個々のロボットを※野良ロボット化させないように、情報システム係で一括管理できる必要があると考えたからです。

※『SynchRoid』:RPAテクノロジーズの『BizRobo! (ビズロボ)』をベースにソフトバンクが提供するRPAツール


―導入の効果はいかがでしたか。

太田 実証実験でロボット化した、税務課の「特別徴収異動届出書入力」業務では、導入前に60分かかっていた業務時間を81.7%短縮できました。年間では147時間の削減が見込める計算となります。

 同業務は従来、特別徴収を行う事業所から提出された、退職や転職、就職といった異動届出書から税務課の職員がデータをExcelへ手入力し、その内容を2つの異なる税務システムに転記していました。異動届出書は毎月300件ほど集まってくるのですが、この業務を行うたびに、税務課の職員には時間外労働が発生していました。

 実証実験では、Excelに手入力されたデータを2つのシステムに転記する作業を、人手からロボットに切り替え。税務課の職員からは、「時間外労働がなくなったうえ、誤入力がないか1回1回確認を行う精神的な負担も軽減された」と好評を得ています。

―本格導入後はどのようにRPAを運用しているのでしょう。

新美 ソフトバンクにロボット作成に関する研修を開いてもらったうえで、情報システム係の担当者4人がロボットを作成する体制を構築しました。実証実験では、ロボットの作成をソフトバンクのエンジニアに依頼していましたが、庁内のリクエストに応じてより柔軟にロボットをつくったり、メンテナンスしたりするには、庁内の職員が自分たちでRPAを扱える必要があると考えたからです。

太田 実際に私は、子育て支援課で令和2年度から新たに始まる、児童手当関連の業務を対象に、ロボットを作成しました。この業務は、児童手当の全受給資格者約8,000人を対象に、保険証の資格をシステム上で照会するという内容です。単純な作業ではありますが、対象者ひとり当たりの照会作業に5分程度かかることから、すべて手作業で行うと670時間ほどがかかると見込まれます。子育て支援課では、「担当職員ひとりでは対応できないため、課全体で手分けして進めなくてはいけない」といった話が進んでいました。

 私が同業務向けに作成したロボットは、システムによる照会結果をPDF化し、作業日を明記したフォルダに格納。同時に、全対象者に対する照会作業の結果をExcel上でまとめ、照会が成功した対象者とシステムがエラーを起こした対象者を一覧できるようにしました。


新美 現時点では、情報システム係の担当者ひとりあたり、最低1台ずつロボットをつくりました。今後も、ソフトバンクの協力を得ながら、ロボット作成の経験を増やし、各課が抱える業務の効率化を進めていきたいと考えています。

効率的な運用のポイントは、ルール化と概念の周知

―情報システム係でRPAを運用するうえで心がけていることはありますか。

新美 まずは、ロボット作成を含むRPA運用に関する経験やノウハウを情報システム係に蓄積することで、RPAの運用そのものを効率的に進められるように心がけています。ロボットの作成やメンテナンスなどRPAにかかわる業務が負担となってしまったら、本末転倒ですからね。

 自治体によっては、部署を問わず広く職員がロボットをつくれる体制を目指すといった、さまざまな方針があると思いますが、我々は現時点において、情報システム部門以外の部署でロボットを作成するのは少しハードルが高いと考えています。そのため当市ではまず、ICTに関する知識をもった情報システム係の職員が、庁内のRPA活用を一手に担うカタチをとることにしました。そうすることで、「このPC作業はこうフローを変えたほうがよりシンプルにロボット化できる」といった提案や、「この作業フローはシナリオ分岐が複雑なので、ロボット化が難しい」といった判断ができ、ムダのないRPA運用を目指せるのです

 そのうえで、RPA運用を効率化させるためには、ロボットの作成や管理などに関する業務のルール化や定型化が重要だと考えています。具体的には、どのロボットがどんな業務を行っているかがひと目でわかるよう、業務ごとの共通の記号や連番をつける命名規則や、各課の業務でロボット化した作業フローをドキュメント化するといったルールを設けています。ロボットの実行は現在、情報システム係が手動で行っていますが、今後、ロボットの数が増加するにつれ、効率よくロボットを実行できるタイムスケジュールを組む必要も出てくるでしょう。


―今後のRPA運用に向けた方針を聞かせてください。

太田 情報システム係で蓄積したノウハウを庁内に展開し、RPAに対する正しい認識を広めていきたいと考えています。具体的な組織イメージとしては、私たちがソフトバンクのエンジニアからサポートを得ながら業務フローの可視化やロボットの作成・管理を担当。そこからさらに、各課にひとりずつ設けている情報化推進を担うリーダー職員に、RPAのノウハウを共有できる体制を目指しています。

 情報システム係はロボット作成にあたり、担当課の職員にヒアリングを行うのですが、実際にPCを使ってロボット化したい業務フローを確認すると、事前に知らされていた内容よりも複雑だったり、ロボット化が適していないこともあります。RPAの概念を各部署のリーダーだけでも正しく認識していれば、ロボット化させる業務の見極めがよりスムーズになり、さらに効率的にロボット作成ができるようになるでしょう。

新美 RPAは、一般的な「システム」と違い、導入するだけで簡単に作業が自動化されるわけではなく、「画面上のボタンを押す」といった細かい動きを一つひとつロボットに覚えさせなければなりません。まずはこうした基本的なRPAの概念に対する認識を浸透させていくことが大切でしょう。そのうえで、AI‐OCR(※)との組み合わせや、RPAツールのライセンス数の追加によって、RPA活用の規模を拡大させ、庁内の働き方改革に貢献していきたいですね。

※AI‐OCR:手書きや印字文字をスキャナなどで読み取り、デジタルデータへと変換できる光学的文字認識(OCR=Optical Character Recognitionの略)と、AIを組み合わせた技術


自治体通信メール版

「自治体通信オンライン」の最新記事や、イベント情報などをいち早くお届けします。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
資料一覧ページ
コンシェルジュ
[PR]

自治体の取り組みを探す

課題から探す
地域から探す

自治体通信

自治体通信

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。

自治体通信への取材希望の方

自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。

取材のご依頼はこちら
地域別ケーススタディ
課題別ケーススタディ
【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
資料一覧ページ
コンシェルジュ
pagetop