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秋田県の取り組み

官民一丸となってRPAの導入を促し、地域単位で人手不足の解消を目指す

秋田RPA協会 会長 齋藤 和美
秋田県 産業労働部 デジタルイノベーション戦略室長 羽川 彦禄
[提供] RPAテクノロジーズ株式会社

業務時間の削減や生産性向上に寄与するITツールとして、RPAが自治体の間で注目を集めている。こうしたなか、秋田県では、地域経済のけん引役となる地元企業にRPAの普及を促す団体「秋田RPA協会」が、民間企業の主導で発足。県も、行政事務の効率化や産業振興の一環としてこの取り組みに参画している。県内のRPA普及促進に着手することになった背景や、今後の具体的な取り組みなどについて、同協会・会長の齋藤氏と、秋田県産業労働部 デジタルイノベーション戦略室長の羽川氏に聞いた。

秋田県データ
人口:96万4,932人(令和元年11月1日現在) 世帯数:38万9,348世帯(令和元年11月1日現在) 予算規模:8,402億2,353万円(令和元年度当初) 面積:11,637.52km² 概要:農業を中心とした第1次産業の割合がほかの都道府県と比較して高く、あきたこまちで有名な米の産出額が全国上位であるほか、比内地鶏やハタハタ、秋田牛といった全国に誇る名産品を有する。戦前に、大手電気機械メーカーが同県に初の製造拠点を設置したことを契機に、現在では電子部品の生産を手がける企業の集積が進む。このため、第2次産業のうち製造業は、製造品出荷額に占める電気機械の割合が高く、秋田県製造業のリーディング業種となっている。
秋田RPA協会
会長
齋藤 和美さいとう かずみ
秋田県
産業労働部 デジタルイノベーション戦略室長
羽川 彦禄はがわ けんろく

従来の「システム化」では柔軟な業務効率化が難しい

―秋田RPA協会が発足した背景を聞かせてください。

齋藤 秋田県は高齢化率が全国でもっとも高い水準にあり、労働人口の減少は非常に深刻な問題として認識されています。

 これまでも、人手不足の問題を解消するために、地域のシステム会社が個別の企業の要望を聞いて業務のシステム化を行ってはいました。しかし、現場の個々人が抱える、単純で小規模なPC作業については、費用対効果の観点からシステム化の対象とされることはほとんどありません。

 その点、RPAは、ツールを一度導入しさえすれば、コストをかけることなく現場の従業員が自らロボット(※)をつくり、業務の自動化や効率化を柔軟に図れるため、人手不足の解消に有効なツールとなりえます。そこで、「自分たちの地域の課題は自分たちで解決しよう」と、地域単位でのRPAの普及促進を図る組織として、令和元年9月に秋田RPA協会を立ち上げたのです。

 協会の設立にあたっては、RPAに関する知見を豊富にもち、国内のRPA普及を目的とする、日本RPA協会のサポートも受けました。同協会は、RPAツールベンダー、RPAテクノロジーズの代表・大角暢之氏が理事長を務める全国規模の組織です。私たちが今回設立したのは、日本RPA協会の秋田県版といったイメージですね。

 秋田RPA協会は現在、私が代表を務めるシステム会社や、ITコンサルティング会社など、県内の民間企業に、秋田県がくわわる形で、官民の9団体により構成されています。RPAの普及を目的とした業界団体に行政が参画するのは、初めての事例のようです。

※ロボット:RPAツールにおいて、登録された手順に従ってPC作業を自動で実行してくれるソフトウェア型のロボットのこと。「デジタルレイバー(デジタル労働者)」とも呼ばれる


―秋田県が協会に参画する狙いはなんでしょう。

羽川 県としても、「地域課題の解決にデジタルテクノロジーの活用は不可欠」という強い認識をもっているからです。

 庁内事務の効率化については、企画振興部情報企画課が主導する形で、すでにRPAを導入し、今年度も新たに4つの業務をロボットで自動化する予定となっています。このほか分野横断的な取り組みとして、「経済活動の生産性向上や多様な地域課題の解決に向けたイノベーションの積極的活用」をうたい、平成30年3月には、産官学の約150団体を会員とした、「デジタルイノベーション推進コンソーシアム」を設立。コンソーシアムでは、AIやIoTなどの先進技術を含めたICTの活用促進に向け、さまざまなデジタル技術に関する普及啓発や情報発信、補助金の交付(県予算で実施)などを行っています。秋田RPA協会の活動に対しても、このスキームを通じて支援していく方針です。

 秋田RPA協会には県から、同コンソーシアムの旗振り役を担う企画振興部情報企画課とデジタルイノベーション戦略室がそれぞれ参画しています。

齋藤 当協会は、あくまでもRPAを活用する仲間を増やしていく趣旨の組織です。ただ、民間企業だけでは、特定のRPAツールを販売促進するための組織としてみられかねません。行政に加わってもらうことで、より公的な性質をもつ組織として、幅広い業界に対して活動していけると期待しています。地域経済をけん引する民間企業と、マクロ的な施策に取り組む行政のそれぞれが強みを活かしながら、地域全体でRPAの普及促進を図っていきたいと考えています。


常設の養成施設で、数百人規模のRPA人材を育成

―協会の具体的な活動を教えてください。

齋藤 令和元年11月には、働き方改革をテーマとしたセミナーを開き、働き方の多様化を推進するためのツールとして、RPAの活用事例を紹介しました。令和2年2月には、全国からRPAツールベンダーやSIer、RPAを活用する民間企業などを集め、RPAの活用方法を共有する大規模なイベントの開催も予定しています。

羽川 実際に、秋田RPA協会が発足してからは、「RPAに関する情報を提供してほしい」といった声が地域の企業や自治体から少しずつ上がるようになっています。

 現在RPAを導入している県内の企業は少ない状況ではありますが、大小さまざまなイベントなども通じて、RPAそのものの認知度を高めていきたいですね。そして、RPAで得られるメリットを理解してもらい、導入のモチベーションを地域単位で高めていければと期待しています。


―今後のビジョンを聞かせてください。

齋藤 RPAは、コストをかけることなく「デジタルレイバー(デジタル労働者)」を増やして業務を効率化できるのがメリットですが、RPAを扱える人材がいなければ、そのメリットを享受することはできません。そこで協会としては、RPAを扱える人材を、今後3年以内に数百人規模まで増やしていきたいと考えています。そのために、常設の人材養成施設も県内に開く予定です。

 最近では、RPA関連の資格が設けられるようになっており、RPAを扱えることは、仕事上でアピールできるスキルとしても認識が高まっていくでしょう。個人がスキルとして身につけられれば、フリーランスとして企業のロボット作成を支援することもできます。介護や子育てなどで、職場で働く時間に制限がある人に対しては、リモートワークで活躍できる場も創出できます。RPAの伝道師となる人材を増やしていくことで、単に個々の企業内における業務改善にとどまらず、地域全体の経済活性化につなげていきたいですね。

羽川 目下、県内企業におけるRPAの認知度を高めることが課題ではありますが、RPAは導入自体がゴールではありません。RPAの導入で削減できた業務時間を、新しい付加価値を生む業務にあててもらったり、働き方改革、ワークライフバランスの実現につなげてもらう。さらには、RPAの活用をきっかけに、企業の成長戦略の実現に向けた一層の情報化や、BPR(※)への取り組みも促進し、地域産業の振興につなげていきたいですね。

※BPR:Business Process Re-engineeringの略。業務改善を目的にビジネスのプロセスを見直し、抜本的に設計しなおすこと


秋田RPA協会
設立令和元年9月
URLhttps://www.t-itbook.co.jp/rpa/
事務局 東北ITbook株式会社
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