一般社団法人練馬区産業振興公社 の取り組み

商業や工業、農業、観光などの分野における産業振興にかんする事業や、勤労者の福祉共済にかんする事業などの総合的な取り組みを行っている練馬区産業振興公社。とくに近年は、観光施策の強化をめざしている。独自の取り組みや今後のビジョンなどについて、ねりま観光センターの吉田氏に詳細を聞いた。
※下記は自治体通信 特別号(2018年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
一般社団法人練馬区産業振興公社データ
設立:平成25年4月/基金:9,050万円/目的:練馬区内の商業・工業・農業・観光分野における産業振興にかんする事業ならびに勤労者の福祉共済にかんする事業を展開。それによって、区内産業の振興および地域経済の活性化に寄与すること。/URL:http://www.nerima-idc.or.jp/区内の観光を定義するには基準値となるデータが必要
―練馬区産業振興公社は、どのような団体なのですか。
練馬区の産業の発展に寄与することを目的とした団体です。産業振興から地元企業の経営や福利厚生の支援まで、幅広い事業を展開しており、観光施策を担う部門として平成29年4月に立ち上がったのが「ねりま観光センター」です。
―具体的には、どのような観光施策に取り組んでいるのでしょう。
そもそも、「練馬=観光」というイメージが、あまり浸透していないのが現状だといえます。そこでまず、練馬区における「観光」を定義するところからスタートしました。また、区内には約73万人が暮らしています。そのため、住民も対象とした観光施策を行うことで、より大きな経済効果を生み出せるのではないかと考えました。
そこで、平成29年9月にGPSのビッグデータを活用した動態調査を実施。ちなみにこの事業は、東京観光財団の地域振興助成事業を活用することができました。
―なぜ、GPSの活用に着目したのですか。
観光施策を行う際、「そもそも交流人口が何人なのか」といった基準値を把握しておかないと、具体的な取り組みがしづらいと考えたからです。また、GPSであれば、来訪者の動態データを区外からのお客さまと区内の住民にわけて調査できる点も、大きな魅力でした。
―調査の結果、どのようなことが判明したのでしょう。
地元の来訪者が中心だと思っていた場所に、意外と区外からも訪れていることがわかりました。また、漠然と中野・杉並・豊島区といった近隣エリアからの来訪者が多いという感覚値がありましたが、埼玉からも訪れていると具体的に把握することもできました。
駅の利用状況では、ターミナル駅である練馬駅の利用者が突出して多いのかと思ったら、光が丘駅や大泉学園駅などの利用客もかなり多く、この結果から、練馬駅と同じくらい、光が丘駅や大泉学園駅でのプロモーションでも効果が期待できることがわかりました。
さらに興味深かったのが、ある神社に早朝に大勢の人が訪れていることがわかった点。この事実から、「神社のご神木がパワースポットとして注目されているのでは」という仮説が生まれました。
独自のコンテンツを活かし新たなカルチャーを発信
―そうしたデータ結果を、どのように活用できそうですか。
たとえば、一定数以上の来訪が見こめるのであれば、埼玉からのお客さまをターゲットにした名産品の開発も考えられます。練馬エリアの周遊情報をもとに、新たな観光ルートの提案もできそうです。
また、観光パンフレットなどを置くラックの設置場所を決定するうえでも、有効ではないかと考えています。動態調査によってどの観光スポットや駅に人が集まっているかが一目瞭然になるので、より多くの人に手に取ってもらえる可能性の高い設置場所が、自然とあきらかになりますからね。
さらに動態調査では、いちばん人が多く訪れる時間帯を把握することもでき、商店街の活性化につなげることも可能です。たとえば、午前10時にいちばん多くの人が訪れると判明したら、11時オープンのショップに「営業時間を1時間早めませんか?」と提案するだけで集客に直結するかもしれません。
GPSの動態調査で収集したデータは、アイデアしだいでいくらでも活用できるのではないかと手応えを感じています。
―今後の観光施策における方針を教えてください。
練馬区は都心に近いにもかかわらず、「練馬大根」などさまざまな農作物が豊富で、それゆえ農地面積が広いのが特長。そのメリットを存分に活かして、「農業×観光」による新たな付加価値を提供していきたいと考えています。
また、「東映東京撮影所」や「大泉アニメゲート」があるなど、練馬区は映像の世界とも縁が深い町。そういったスポットとも連携しながら、「○○といえば練馬」というような独自のカルチャーを創出していきたいです。
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