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和歌山県有田川町 の取り組み

ゴミを財源にエコなまちづくりを推進
住民の意識とリーダーの熱い想いが成功のカギ

建設環境部 環境衛生課 課長 中岡 浩

環境やリサイクルの問題に取り組む自治体は多いが、それだけでなく、「エコなまちづくり」を掲げ“稼いでいる”のが有田川町(和歌山県)だ。平成18年に吉備町、金屋町、清水町の3町が合併してできた同町が、合併後に「有田川というエコのまち」をスローガンに掲げ、住民の協力も仰ぎながらさまざまなエコプロジェクトを実現させてきた。有田川町の中岡氏に、エコでしっかりと稼ぐ取り組みの詳細を聞いた。

和歌山県有田川町データ

人口: 2万6,923人(平成29年11月30日現在) 世帯数: 1万568世帯(平成29年11月30日現在) 予算規模: 147億2,700万円(平成29年度当初:一般会計) 面積: 351.84km² 概要: 紀伊半島の北西部、和歌山県のほぼ中央に位置し、東は紀伊山地、北は長峰山脈、南は白馬山脈、西は有田市に囲まれた東西に細長い形状をなし、高野山に源を発する有田川が町の中央部を西に蛇行しながら有田川流域を形成している。空海が高野山を開設した時代に高野有田街道が開かれたことをはじまりとし、有田川に沿って一体的な生活圏を形成している。比較的温暖な気候に恵まれ、第1次産業の占める割合が全体の3割以上を占め、農林業の果たす役割が極めて高い地域である。

―エコプロジェクトに取り組む以前の有田川町の環境行政の状況について教えてください。

 先輩職員から聞かせてもらった話では、平成の初めの頃はモノの消費が激しい時代で、当時は道に点々とゴミを出して回収するスタイルでした。ゴミが交通の妨げになるくらい溢れている状態で、それが原因で子どもが交通事故に巻き込まれるという事件も起きたそうです。

 「これはなんとかしなくてはいけない」と動き出しましたが、モノの消費を急に減らすのは無理な話です。そこで、リサイクルしかないという結論になったそうです。また、道路にゴミを置くのも限界だと考え、町の各所にゴミを集積すべくゴミステーションの必要性を各地区の方々を説得してまわり、当時の吉備町全域に設置することができたそうです。

―ゴミステーションとはどのようなものなのですか。

 町の空き地などを利用して、町内の569カ所にゴミ集積場としてステーションを設け、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「プラスチック」「ペットボトル」「空き缶」「空きビン」、新聞誌などの「古紙」、菓子箱や封筒などの小さな紙を「雑紙」として8つに分類。それぞれに屋根がついていて雨に濡れないようにしています。

 ただ、設置に関しては大変時間がかかりました。住民から場所を提供してもらう必要があり、設置個所も膨大なので町で管理するのは事実上不可能。そのため、管理も住民にお願いしなければならず、地区の役員さん宅を1軒1軒説得して回る日々を重ねようやく実現することができました。

 さらに、その後大きな転機となったのが資源ゴミのマイナス入札化です。

―それはどのような取り組みでしょう。

 お金を払って処理をお願いするのではなく、逆にお金を業者からもらって処理する取り組みです。それまでは、年に約3,200万円を支払ってゴミの回収を業者の方にお願いしていました。ところが、ゴミステーションの設置と住民の分別意識が浸透したことで、質のいい資源ゴミが評価されるように。そこで入札の結果、平成20年から業者から逆にお金をもらうことができるようになったのです。

 資源ゴミの価格の変遷もあり金額は変わっていますが、平成23~25年が年平均273万円、26~28年が263万円、29~31年が210万円と年間200万円以上の収入になっています。

 この収入を有効活用しようと、基金を設立し積み立てるようにしました。これを原資にして、住宅用太陽光発電設備や太陽熱利用設備の補助制度・コンポスト無償貸与制度(※)を設けました。

※コンポスト無償貸与制度 : 生ゴミから堆肥を作る容器を町が無償で貸与する制度。

―補助制度で、どれくらいの世帯にそれらの設備が設置されたのですか。

 始めたのは平成22年からですが、28年までの間に住宅用太陽光発電設備が393世帯、太陽熱利用設備は154世帯に設置されました。前者は約600世帯分の発電量に匹敵する250万kWで、後者では年間3万5,000リットル分の灯油の節約につながっています。2つあわせて約1,600トン以上のCO2排出量を削減できています。CO2の1トンは25mプールひとつぶんの体積ですので、その体積の1,600倍以上のCO2の削減につながっているわけです。

―太陽光発電も始められたそうですね。

 ええ。平成21年に「有田川エコプロジェクト」を立ち上げ、行政による再生可能エネルギー関連事業に取り組むことにしました。

 その手始めに、平成25年にプラスチック収集場の屋根に11kWの太陽光発電のパネルを417万円で設置。これは28年の実績で年54万5,000円の収入になっています。27年に同じ収集場の屋根に30kWのものを1,150万円で追加設置し、現在は年121万6,000円の売上になっています。

 平成29年2月には、廃校となっていた旧峯口小学校の屋根全面にも46kW太陽光パネルを1,263万円で設置しました。年150万円ほどの売上げが見込めそうなため、9年目には回収できそうです。

 そして28年2月にはプロジェクトの目玉である水力発電所も完成しました。

―どこに設置したのですか。

 昭和42年に水害対策と発電のために建設された二川ダムです。ここでは、川の環境を守るためにダムから常時水を放流し、落差は30~50mもありました。これを利用できないかと思いつき、そこから動き出しました。資源ゴミから得た基金も使い、2億8,620万円の総事業費をかけて完成しました。

 放流される寸前の場所に発電所を設け、そこで水車を回して発電し、その水をそのまま放流するという仕組みです。計画では119万kWhの発電で年4,300万円の売上計画だったのですが、いざふたを開けてみると、28年は136万2,000kWhの発電量で年5,003万円もの収益に。回収するのに7、8年は覚悟していたのですが、この調子ですと6年で回収できそうな勢いです。

―エコプロジェクトを進めるうえで、もっとも苦労した点はなんでしょう。

 町として過去に取り組んだことがないだけでなく、ほかの自治体でもほとんど事例がないプロジェクトだったため、どうしても予算がとりづらいという面がありました。いかに説得できるかという部分がもっとも腐心した点といえます。1つの実績ができたことにより以前と比べるとかなり事業化をしやすくなったと思います。

―さまざまな取り組みを成功させていますが、ポイントはなんですか。

 ひとつは住民の協力です。ゴミステーションの設置スペースの提供はもちろん、分別はとにかく徹底しており、空きビンはすべてきれいに洗われ、ペットボトルはキャップもラベルもまったくついていません。ほかの町から来た人は、その徹底ぶりに戸惑うと同時に驚くそうです。

 もうひとつはリーダーの存在だと思います。プロジェクトというと「チーム」のチカラが大事だといわれます。確かにそれも一理あるのですが、対外的な交渉をしたり、チーム全体を動かすためには、やはり熱い志をもった人間がいることが重要だと思っています。その人間がチームをどんどん引っ張り、度重なる交渉にもくじけずに頑張り続けることで扉が開けたのだと思います。

―今後の展望を教えてください。

 これまでは大きなお金を使ったプロジェクトが主体でしたが、より安価な方法も模索しています。たとえば、電力網とつながっていない独立型のオフグリット型太陽光発電システムをゴミ集積場などに3カ所設置して、街灯などに使用しています。また、わずかな水量で発電するピコ発電システムを下水道の放流水を利用して設置しました。住民にとって身近な場所に太陽光発電や水力発電があれば、住民への啓発にもつながり町のPRにもなると思っています。

 また、「教育」にも力を入れたいと思っています。教材を制作してそれをもとに環境の教育をしていけば、子どもたちが将来大きくなったときにエコやエネルギーに関心をもってくれ、有田川町はさらに発展していくのではないでしょうか。エネルギーの地産地消をこれからも積極的に進めていきたいと思っています。

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