
優良事例を全国に横展開するほかDMOによるデータ活用の取り組みを支援
「観光立国」に向けて、魅力ある観光地の形成やPRなどの施策推進に取り組んでいる観光庁。昨年、国内観光需要の調査分析にあたり、GPSデータを導入したという。武城氏と長田氏に導入した背景を、観光庁における施策の近況や自治体が観光施策を進めるうえでのポイントを含めて聞いた。
※下記は自治体通信 特別号(2018年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
カンや経験に頼らないマーケティングが重要に
―観光庁における観光施策の近況を教えてください。
武城:ひとつは、インバウンド施策です。平成29年に我が国を訪れた外国人旅行者数は過去最高の約2869万人(推計値)に達するなど、引き続き好調な伸びを記録(下図参照)。そのため観光庁では東京、京都、大阪といったいわゆるゴールデンルートに偏りがちな訪日外国人の地方誘客をうながすため、各地域における戦略策定やコンテンツ開発、プロモーション、受入環境整備などの取り組みに対して支援を行ってきました。
また、国内外における観光客の地方への流れを戦略的に創出し、各地域の「稼ぐ力」を引き出す観光地域づくり推進のため、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局と一体となり、全国各地域における日本版DMO(以下、DMO)の形成・育成に取り組んでいます。
長田:観光庁がDMOの登録制度を開始して2年以上経過しましたが、登録法人数は174にのぼっています(下図参照)。今後もDMOに対するサポート体制を一層強化していくため、平成30年1月、観光庁内に「DMO支援室」が新たに設置されました。
―自治体が観光施策を行ううえでのポイントはなんでしょう。
長田:客観的なデータにもとづくマーケティングを実施していくことです。観光客ニーズの多様化やFIT化、インバウンド需要の急速な拡大など市場が大きく変化している昨今、不特定多数の顧客を対象としたアプローチやカンと経験に頼った観光施策では十分な効果を出せなくなってきています。
どの地域も、財政状況がひっ迫するなか、限られた財政や人材を効率的な観光施策に結びつけていくためにもマーケティングは不可欠だと考えています。
観光関連データは収集することが目的ではない
―昨年、国内観光需要の現状分析などに、GPSを活用したビッグデータを導入したそうですね。
武城:ええ。訪日外国人旅行者数が堅調に増加している一方、日本人の国内旅行者数、国内旅行消費額については長期的には減少傾向にあります。そのため、国内観光振興にかんする取り組みを一層推進する必要性を感じていました。
観光庁においても、科学的根拠にもとづいたデータによって国内観光需要に関連する現状を把握し、課題に対する効果的な施策を検討するため、優良事例の調査分析などを行いました。
―調査の結果、どんなことがわかりましたか。
武城:たとえば成果を上げている事例として、DMOなどによる収益事業の拡大や、農家民泊・古民家活用によるシェアリングエコノミーの取り組みなどが、具体的な数値にもとづいてあげられました。
DMOなどの観光推進組織は、客観的なデータ分析にもとづく戦略的なマーケティングおよびPDCAサイクルによる魅力ある観光地域づくりが求められています。観光庁としては、優良事例を全国に横展開するほか、観光統計だけでなく、今回の調査でえられたデータについてもぜひご活用いただきたいと考えています。
長田:GPSデータをはじめとした多様な観光関連データは、決してそれ自体の収集が目的ではありません。それらを効果的に活用した戦略策定や、実際の誘客成果に結びつけることが目的であることを忘れずに、活用していただければと考えています。
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