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民間の運営ノウハウを積極導入し、学童保育の質・量をともに改善

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福岡県行橋市の取り組み

学童保育運営の民間委託

民間の運営ノウハウを積極導入し、学童保育の質・量をともに改善

行橋市 教育委員会 教育部 学校管理課 課長 川中 昌哉
[提供] シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社

※下記は自治体通信 Vol.44(2022年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

人口減少や少子高齢化に直面する自治体にとって、子育て支援の充実は共通した重要テーマとなっており、国もその一環として「学童保育」(放課後児童クラブ)のさらなる整備を打ち出している。一方で、保護者ニーズの多様化などを受け、クラブの運営負担は増加の一途をたどっている。そうしたなか、行橋市(福岡県)では、クラブ運営を民間事業者に委託し、職員の負担軽減とサービス品質の向上を同時に実現しているという。取り組み内容について、同市担当者に詳しく聞いた。

[行橋市] ■人口:7万2,622人(令和4年9月末現在) ■世帯数:3万3,807世帯(令和4年9月末現在) ■予算規模:475億3,906万8,000円(令和4年度当初) ■面積: 70.06km2 ■概要:福岡県の北東部に位置する。北九州市から近く、野山や川、海など自然環境に恵まれ、近年は若い世代にも人気のベッドタウンとして注目されている。古くから瀬戸内海を通じた畿内との交通の要衝として栄え、江戸時代には小倉に次ぐ商業地として発展し、多くの豪商たちが生まれた。
行橋市
教育委員会 教育部 学校管理課 課長
川中 昌哉 かわなか まさや

人員不足の際には、市職員が運営にあたる場面も

―放課後児童クラブの運営を民間に委託した経緯を教えてください。

 当市では、平成24年度に現在の13教室体制を整備し、市の直営のもとで待機児童の解消に努めてきました。この当時から、支援員の確保や育成は課題ではありましたが、近年はそれがより顕著になっています。というのも、「安全な見守り」を第一としながらも、学習支援や体験活動など、保護者のみなさんのニーズが多様化しているほか、加配*1が必要な児童の受け入れも増えており、運営にはより専門性を求められる傾向もあるからです。人員が不足する際には、ときには市の職員自らが現場に入って直接運営にあたる場面もありました。こうした状況を受け、当市では運営方針の抜本的な見直しを行うことにしました。

―どのような見直しを行ったのでしょう。

 近年増えている民間事業者への運営委託を試験導入することに決めました。民間のノウハウや人材基盤を活かし、保育の充実や運営の効率化を図りたいと考えたのです。まずは、平成30年4月から2教室で開始することとし、プロポーザルの結果、全国での豊富な実績を評価し、シダックス大新東ヒューマンサービスへの委託を決めました。

 試験導入では、同社の強固な人材基盤により支援員が安定的に確保でき、行政の負担軽減効果が確認できました。この結果を受け、当市では令和2年度から13教室すべての運営を民間に委託することを決めました。プロポーザルの結果、3事業者を選定し、シダックス大新東ヒューマンサービスには最大の7教室を委託しています。

放課後児童クラブが、学校選択の際の決め手に

―民間委託を本格化させた現在、どのような効果を感じていますか。

 運営の安定化のほか、優れた教育・研修体制により、支援員の専門的なスキル向上が図られ、結果として市の直営時代では難しかった保育サービスの充実につながっています。また、「地域住民との交流」や「公共施設の活用促進」といった地域に根ざしたイベントを開催し、地元への愛着を育てる学習も実施してくれています。

 イベント開催においては、シダックス大新東ヒューマンサービスはSDGs活動に力をれており、児童が自発的にSDGsの考え方を身につけられるような食育会や勉強会を開いてくれることは非常に特徴的です。同社へ委託した教室に対する保護者の満足度はほかと比べても特に高く、一部で学校選択制度をとる当市では、放課後児童クラブが学校選択の際の決め手になっているケースもあるほどです。

―今後の運営方針を聞かせてください。

 まずは、待機児童ゼロを目標に、今後も民間活力を積極的に導入しながら、受け皿の確保に努めていきます。同時に、保育サービスのさらなる改善を進めます。現在、シダックス大新東ヒューマンサービスが提供している保育サービスの水準を全教室へと適用し、放課後児童クラブの質の底上げを市全体で図っていくことが今後の方針です。


支援員の視点

アイデアが形になるケースも増え、現場の活気や一体感が増している

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
蓑島小学校 児童クラブ 副主任 支援員
平松 美奈子 ひらまつ みなこ

 私は、行橋市立蓑島小学校の放課後児童クラブで支援員を務めています。今年で4年目になり、市の直営時代も2年間経験していますが、シダックス大新東ヒューマンサービスによる運営に移行してからは、クラブの活動は大きく変わりました。クラブごとの特色を打ち出したイベント運営が可能になり、支援員のアイデアが形になるケースも増え、現場の活気や一体感が増しています。個人的には、研修や資格取得、評価などの充実した各種制度はやりがいにつながっています。発達段階における児童理解といった専門的な研修も受けられ、支援員としてのスキルも高められます。今年4月からは副主任に昇格し、クラブ運営への熱意をさらに高めているところです。

平松 美奈子 (ひらまつ みなこ) プロフィール
福岡県生まれ。令和元年度より、蓑島小学校の放課後児童クラブにて支援員を務める。令和4年4月より副主任に。特技はイラスト制作。モットーは、「まあるい心で、まあるい笑顔で」。

支援企業の視点

地域とともに事業を育て、社会課題の解決に貢献していく

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
取締役執行役員 学童保育事業本部 本部長
石井 健治 いしい けんじ

 学童保育をめぐっては、「待機児童ゼロ」を目指す国の方針に基づく「量の確保」、さらに発達障害や医療的ケア児への対応など専門的な「質の向上」が求められています。こうした課題に対して当社では、専門的な知見を駆使して全国の自治体を支援しており、現在では1,600以上の教室を運営しています。その際、当社が大切にしているのは、「地域で子どもたちを育てていく」という考え方です。イベント開催やSDGs教育では、地域社会とのつながりを強く意識しています。また、支援員は地域人材を採用し、スキルを磨きながら働けるより良い環境も整えています。まさに、地域とともに事業を育てながら、社会課題の解決に貢献していく。それが当社の理念です。

石井 健治 (いしい けんじ) プロフィール
昭和51年、埼玉県生まれ。平成11年4月にシダックスグループに入社。平成26年4月にシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社に配属。平成30年4月より、現職。

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
設立 昭和61年11月
資本金 1億円
従業員数 1万8,714人(令和4年3月現在)
事業内容 社会サービス事業、地域活性化事業、学童保育事業、学校給食事業
URL https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-daishinto-human-service/
お問い合わせ電話番号 03-6731-9111 (平日9:00~18:00、年末年始を除く)

*1:※加配 : 発達障害や自閉症、言葉の遅れなどがあると認められた子3人に対して1人、保育園の先生を余分につける国の制度