
沖縄県うるま市の取り組み
教職員と保護者のコミュニケーション強化
導入負担が小さいITツールで、保護者への確実な情報伝達を実現
※下記は自治体通信 Vol.44(2021年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
従来の紙や電話といったアナログな連絡手段により、保護者への情報伝達やコミュニケーションロスへの対応に時間を割かれてしまっている教職員は多い。そうした課題を解決するため、教職員と保護者の連絡手段としてITツールを導入したのが、うるま市(沖縄県)だ。同市教育委員会の宮城氏に、導入の経緯とその効果、今後の活用方針などを聞いた。

既読確認機能によって、教職員の業務負担が軽減
―もともと、保護者と教職員のコミュニケーションに、どういった課題があったのでしょう。
10年ほど前から、プリントや連絡帳といった紙媒体と、メールの一括送信サービスを併用していたのですが、保護者のもとにすべての情報が確実に届いているかという点に不安がありました。紙媒体は、子どもが紛失したり、保護者に渡し忘れたりするリスクがあり、メールは保護者が見逃す可能性があります。そのため、重要事項の伝達時には、教職員が1軒1軒電話連絡を行う必要がありました。
そういった学校現場の負担を軽減する方法を模索していた際に、プリンターの納入やメンテナンスを通じて長年の取引がある理想科学工業から提案を受けました。それが、スマートフォンのアプリを介して保護者と教職員が連絡をとりあえる『スクリレ』だったのです。令和3年度から導入しました。
―導入の決め手はなんでしょう。
1つは、導入負担が小さい点です。学級通信などのお便りやメッセージを教職員から保護者に送る機能は無料で利用できます。市内の公立小中学校には、合計で約1万2,600人の子どもが通っており、有料サービスでカバーするのは予算的に困難でした。また、特別な機器や学校のPCにソフトをインストールする作業も不要で、導入後すぐに利用できます。
加えて、アプリ内の広告を保護者が閲覧すると、学校用の備品と交換できるポイントが貯まる機能もあり、各校の備品の充実につながるという期待もありました。
―実際に導入して、どのような効果がありましたか。
保護者がお便りやメッセージを確認したかを教職員が一目でチェックできる既読確認機能があるため、重要事項の伝達の際に、未読の保護者と『スクリレ』を利用していない保護者にのみ電話連絡をすればよくなりました。名前や電話番号といった個人情報の登録が不要という手軽さから、導入から約半年で、保護者の8~9割が利用しており、教職員の負担軽減効果は大きいです。さらなる業務効率化を図るために、子どもの出欠や健康観察の連絡をまとめて管理できる機能など、オプション機能を使い始める学校も現れています。
現場の評価が高く、有償機能の公費負担も検討
―今後の活用方針について教えてください。
現場の評価が高いことから、有償のオプション機能を利用する費用を各校で負担するのではなく、教育委員会で一括負担できないか検討しているところです。また、現在は公立の小中学校での導入に限られていますが、保護者の利便性を一層高めるためにも、幼稚園や保育園、高校に加え、私学などへの導入を期待しています。引き続き、『スクリレ』の積極的な活用で、教職員の業務負担を軽減しつつ、保護者が安心して子どもを預けられる環境を整えていきます。
校長の声
情報の伝達率が大きく改善

従来の紙媒体による伝達では、保護者へ十分に情報が伝わっていない印象でした。『スクリレ』で連絡すると、保護者のスマートフォンにプッシュ通知が出るため、情報の伝達率が大きく改善しました。今後は、開かれた学校づくりに向け、卒業生との交流にも、一層活用していきます。
教頭の声
コロナ禍での出欠連絡に活躍

コロナ禍での出欠連絡において大変助けられました。当校では、児童数861人に対して、電話回線がわずか2つ。急増した出欠連絡には電話での対処が困難でした。『スクリレ』では、出欠連絡をまとめてチェックでき、短い時間で確実な出欠確認ができています。
保護者の声
学校の様子を写真つきで確認できる

利便性の高さに加えて、先生が学校の様子を写真つきで積極的に発信してくれるようになったのが、ありがたいです。学校生活への安心感が増すとともに、子どもたちとの会話が弾むようになりました。修学旅行の写真を当日に先生から共有されたときはうれしかったですね。
支援企業の視点
財政難の学校でも、導入できる仕様に

教職員から保護者への情報伝達に手間がかかっている学校は多いです。当社はこれまでに印刷機器の提供を通じて、教職員の業務負担軽減を支援してきました。そうしたなか、IT活用によって新たに開発したのが『スクリレ』です。
開発にあたって重視したのは、少ない負担で導入と運用ができること。そこで、基本機能のお便り配信は無料にし、保護者の個人情報登録も不要にしました。最大の特徴は、保護者がアプリ内の広告を閲覧するとポイントが貯まる仕組みで、学校がそのポイントと備品を交換できるようにしています。この仕組みが拡がれば、働き方改革にも、財政面にも貢献できると期待しています。
創業 | 昭和21年9月 |
---|---|
資本金 | 141億1,498万5,384円 |
売上高 | 693億1,300万円(連結・令和4年3月期) |
従業員数 | 2,970人(グループ全体・令和4年3月31日現在) |
事業内容 | 高速カラープリンターオルフィス、デジタル印刷機リソグラフのハードおよび関連機器、消耗品、デジタルツールの開発や提供 |
URL | https://www.riso.co.jp/ |
サービスURL | https://www.sukurire.jp/ |
お問い合わせメールアドレス | helpdesk@sukurire.jp |
ソリューションの資料をダウンロードする
