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先進事例2022.11.04

費用負担を抑えたMCA無線で「災害に強い」移動系通信網を整備

[提供] 一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
費用負担を抑えたMCA無線で「災害に強い」移動系通信網を整備
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一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社

千葉県千葉市の取り組み

費用負担を抑えたMCA無線で「災害に強い」移動系通信網を整備

千葉市 総務局危機管理部 防災対策課 課長 田中 剛志
[提供] 一般財団法人移動無線センター

※下記は自治体通信 Vol.44(2022年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

災害対応の機動力や通信の安定性を高めるために、移動系防災無線システムの導入や見直しを検討している自治体は多い。千葉市(千葉県)もそうした自治体の1つで、同市担当者の田中氏によると、「従来の自営網によるシステムを見直し、災害時でも安定した通信が確保できる共同利用型の移動系防災無線システムを整備した」という。共同利用型の仕組みとはどのようなものなのか。従来のシステムを見直した経緯と合わせて、同氏に話を聞いた。

[千葉市] ■人口:97万8,801人(令和4年10月1日現在) ■世帯数:46万153世帯(令和4年10月1日現在) ■予算規模:9,295億5,300万円(令和4年度当初) ■面積:271.76km2 ■概要:千葉県の中央部に位置する県庁所在地。臨海部の開発、大規模住宅団地の建設、内陸工業団地の造成、さらには、近隣町村との合併や埋め立てにより市域を拡大。快適な生活環境づくり、バランスのとれた都市づくりを進め、平成4年4月1日には、全国12番目の政令指定都市に移行した。
千葉市
総務局危機管理部 防災対策課 課長
田中 剛志 たなか つよし

自営網の無線では、「通信が途切れる」ことも

―移動系防災無線システムを見直した経緯を教えてください。

 当市は平成22年度に、260MHz帯の移動系防災無線システムを整備しました。従来のシステムは、自営網のため通信の混雑や遮断は起きにくいのですが、一方でときには「通信が途切れる」ことがあったのも事実です。中継局が少なければ遠くまで電波は届かず、通信端末が建物内にあれば電波が入りにくくなるためです。そのほか、通信容量の関係で端末の同時利用は最大11回線までで、大規模災害時などは迅速に情報共有ができるか不安でした。災害が激甚化・頻発化しているいま、より安定して非常時通信ができる移動系無線システムの整備が必要と考えたのです。

―どのような検討をしましたか。

 自営網以外の無線システムであることを条件に、システム選定を行うことにしました。というのも、自営網の整備には大きな初期投資が必要となり、設備の維持管理も事業者に委託するため、財政上の大きな負担になります。そこで、「安定した通信システム」を、可能な限り費用負担を抑えて整備しようと考えたのです。検討の結果、令和2年7月に行ったプロポーザルで、『MCAアドバンス』という無線システムを選定し、令和3年度から導入しています。

―どういったシステムでしょう。

 移動無線センターが運営し、限られた利用者のみが使用できる専用無線網「MCA無線*1」を活用したシステムです。いわば、「共同利用型の自営無線システム」です。不特定多数が使う公衆通信網ではないため、輻輳*2が起きにくい特徴があります。不感地帯の解消を目的に、IP無線網も活用できる「通信の二重化」を行っているため、災害時でも安定した通信が期待できます。さらに、MCA無線は共同利用型であることから、当市の試算では、自営網の整備と比較して約40%費用負担を抑えられるという結果が出ています。

スマートフォン形状なので、操作しやすく画像送信も可能

―導入効果はいかがですか。

 通信端末はスマートフォン形状であり、使い慣れているため操作しやすいです。データ通信機能によって災害現場の状況を画像で送ることもでき、災害対策本部では現状をより詳細に把握できます。また、今回は480台の端末を導入しましたが、MCA無線自体が限られた利用者のなかで通信容量を共有し効率的に通信を行える方式のため、これまでのように同時利用する際に回線数が制限されることはありません。まさに、「災害に強い」移動系無線システムを整備できたので、今後は災害対応の機動力をさらに高められると考えています。


支援企業の視点

自営網を整備しなくても、安定した非常時通信は構築できる

スイス通信システム株式会社 公需事業部 情報システム課 次長 澤辺 治彦
一般財団法人移動無線センター 事業本部次長 防災・公共安全利用 推進室長 本間 達也
[提供] 一般財団法人移動無線センター
スイス通信システム株式会社
公需事業部 情報システム課 次長
澤辺 治彦 さわべ はるひこ
一般財団法人移動無線センター
事業本部次長 防災・公共安全利用 推進室長
本間 達也 ほんま たつや

―防災行政無線としてMCA無線システムを導入する例は増えていますか。

本間 非常に増えています。特に、これまでに多額の費用をかけて自営の移動系防災無線を整備してきた自治体では、高額な維持費の発生や通信エリア不足などの悩みを抱えています。そのため、当財団が全国各地に設置している中継局を利用できる「MCA無線」に注目が集まっているのです。このMCA無線は、費用負担を抑えて災害時でも安定した通信環境を整備できる無線システムとして、これまでに21省庁、350以上の自治体で導入実績があります。さらに昨年4月から、その進化版といえる『MCAアドバンス』という無線システムの提供を始めました。

―どのような特徴があるのでしょう。

澤辺 通信端末を、これまでのトランシーバー型からスマートフォン型にモデルチェンジし、画像送信だけでなく動画やチャットも利用できる機能を搭載しました。これらの機能をフル活用すれば、自治体の災害対策本部では、音声通話とは比較にならない詳細な災害現場の状況を把握できるようになり、災害対応の強化に寄与するはずです。

 移動系防災行政無線システムの整備・更新を検討されている自治体のみなさんは、ぜひご相談ください。

澤辺 治彦 (さわべ はるひこ) プロフィール
千葉県生まれ。昭和59年にスイス通信システム株式会社へ入社。現在は、主に防災行政無線などの営業業務に携わる。
本間 達也 (ほんま たつや) プロフィール
東京都生まれ。昭和59年に財団法人移動無線センター(現:一般財団法人移動無線センター)に採用され、利用推進事業を担当する。平成30年から、現職の防災・公共安全利用推進室長として中央省庁、地方自治体に対してMCA無線の利用推進を行っている。

スイス通信システム株式会社
設立 昭和40年9月
資本金 3,000万円
売上高 23億円(令和4年5月期)
従業員数 90人(令和4年5月期)
事業内容 無線機、通信機器、情報機器の販売、保守など
URL https://www.systs.co.jp/
一般財団法人移動無線センター
創業 昭和39年7月
事業内容 MCA事業
URL https://www.mrc.or.jp/
お問い合わせ電話番号 03-5323-5509 (平日 9:00~17:30)
お問い合わせメールアドレス mcaccess_e@mrc.or.jp
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*1:※MCA無線 : 国から割り当てられた周波数を限られたユーザーが共同で利用する専用システム網

*2:※輻輳 : 通信が一度に集中することで通信困難になる状態

一般財団法人 移動無線センター・PSCP株式会社
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