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特殊な素材を使ったカラー舗装で、安全性と景観に優れた歩道を整備

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東京都北区 / 埼玉県北本市の取り組み

歩道整備によるまちづくり

特殊な素材を使ったカラー舗装で、安全性と景観に優れた歩道を整備

北区 土木部 道路公園課 河川係 主任主事 物井 茂将
北本市 都市整備部 建設課 新設改良担当 主任 佐藤 泰樹
[提供] 大成ファインケミカル株式会社

※下記は自治体通信 Vol.43(2022年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

歩道の整備においては、安全面を重視しつつも、賑わいを生み出すことなどを目的に、景観を重視する自治体は多い。ただ、優れた景観を生み出すには、維持管理の手間やコスト面などの問題も伴いがちだ。そうしたなか、北区(東京都)は石神井川の遊歩道にて、北本市(埼玉県)では北本駅東側の歩道にて、それぞれカラー舗装によって景観を意識した整備を行ったという。それぞれの担当者に、詳細を聞いた。

[北区] ■人口:35万3,617人(令和4年9月1日現在) ■世帯数:20万2,265世帯(令和4年9月1日現在) ■予算規模:2,412億7,255万4,000円(令和4年度当初) ■面積:20.61km2 ■概要:東京都の北部に位置し、荒川を挟んで埼玉県と接している。昭和22年に東京35区が23区に併合した際、滝野川区と王子区が合併して「北区」が誕生した。JR、地下鉄、都電などによって、区内ほぼ全域が駅から徒歩10分圏内にあり、都心へのアクセスが良好。区内にある音無親水公園から音無くぬぎ緑地へと続く石神井川の両岸には、きれいな遊歩道が整備され、季節を問わず散策には最適のコースとなっている。
北区
土木部 道路公園課 河川係 主任主事
物井 茂将 ものい しげまさ

経年劣化などにより、凸凹ができて危険な状態に

―石神井川の遊歩道を整備した経緯を教えてください。

 遊歩道は、もともと東京都の主導で行っている「東京都を周回する散策路『武蔵野の路』」という事業があり、その一環として昭和60年頃に整備されたものです。当時は、景観を重視して、インターロッキングブロック*1を用いた舗装を採用したようです。ただ、どうしても経年劣化でブロックに凸凹や、ガタガタした箇所が見受けられるように。また、沿道に桜やツツジを植栽しているため、根が張ることによるブロックの盛り上がりもありました。さらに、ブロックが滑るので雨の日は転倒する危険性も。実際に、住民から「危ない」という声が区役所に届いていました。

 そこで、バリアフリーも考慮して、平成26年頃から再整備の検討を始めたのです。

―どのように整備を進めていったのでしょう。

 これまでと同様に、インターロッキングブロックによる整備も検討しました。ただ、当初の整備からかなり経っており、「H型」の特殊な形状だったため、同じ型のブロックはもはや生産されていませんでした。そもそもインターロッキングブロックは、デザイン性に優れる一方で、ブロック間にすき間があるため、ベビーカーや車椅子などはカタカタなるほか、メンテナンスも大変だと感じました。

 また、多くの人が通行することから、バリアフリーと防滑などの安全面のほか、透水性、景観を重視。さまざまに検討し、透水性アスファルトの上に、カラー舗装をすることに決定。入札の結果、カラー塗装は大成ファインケミカルの『リリーフペイント』を導入することになりました。透水性アスファルトの上に使用しても透水性を損なわない点もポイントでした。平成28年から、区画を分けて順次再整備を進めているところです。

「歩きやすくなった」という、住民の声も

―再整備を行った後の状況はいかがでしょう。

 『リリーフペイント』を使って6年間で約5,000m2施工しましたが、結果的に6年経過しても問題は起こっていません。バリアフリーと防滑性を確保しつつ景観も維持した整備ができたと考えています。また、追従性*2にも優れていると聞いていますので、もし根が張った際も、ひび割れすることなく安全性を維持できると期待しています。住民からも、「ブロックからいまの舗装になって歩きやすくなった」といった声が聞かれていますね。ちなみに、工事担当者からは「早く乾くため短期間で交通開放ができた」と聞いています。

―今後における遊歩道の管理方針を教えてください。

 引き続き、住民や同区に訪れた人が、安全に楽しく歩けるまちづくりに努めていきたいと考えています。近年はコロナ禍で行っていないのですが、例年3月に健康福祉課主催で実施されている「桜ウォーク」というイベントもあるので、来年はぜひ開催したいですね。そうすることで、「歩きたくなる街 北区」を実現していきます。


[北本市] ■人口:6万5,877人(令和4年9月1日現在) ■世帯数:3万268世帯(令和4年9月1日現在) ■予算規模:376億5,789万円(令和4年度当初) ■面積:19.82km2 ■概要:埼玉県の中央部に位置している。昭和46年に埼玉県で33番目の市として誕生し、令和3年に市制施行50周年を迎えた。大宮台地にあり、地盤が固く標高が高いことから「災害に強いまち」として評価されている。また、貴重な野生動植物のすみかであり、県内初の「森林セラピー基地」に認定されている北本自然観察公園や雑木林など緑が豊かで、里山の散策やキャンプ、農業体験など四季を通じて自然と触れ合うことができる。
北本市
都市整備部 建設課 新設改良担当 主任
佐藤 泰樹 さとう やすき

ブロックへのダメージで、足をひっかけるケースが

―北本市では、北本駅東側の歩道の整備を行ったそうですね。

 はい。もともと当市では、「まちと人とみどりが心地よく交流する魅力あるまちづくりの推進」を目的に、平成9年度から北本駅周辺において「都市計画道路の整備」を実施していました。用地交渉から始まって電線の地中化を行い、計画の最終工程として、駅東側の340mにわたる中央通線の片側6m幅の歩道を整備することになったのです。ポイントは、警察との協議により、6m歩道内に歩行者と自転車の専用通行帯をつくって分ける必要があったこと。仮舗装では、白線一本と看板だけで分けていましたが、本舗装するときは、より目に見える形で色分けしようと考えていました。

―どのように舗装の検討を進めていったのでしょう。

 当初の計画では、インターロッキングブロックによる整備を考えていました。駅前通りにおける都市計画道路の整備であり、景観を重視したからです。しかし、話を進めていくうちに計画変更を検討するように。じつは、ひと足先に、北本駅西側の歩道をインターロッキングブロックで整備したのですが、そもそもコストがかかるうえにメンテナンスが大変だったのです。歩道沿いには戸建て住宅や店舗の駐車場に車を乗り入れる箇所があるのですが、ブロックが凸凹になってしまい、歩行者が足をひっかけてしまうケースがけっこうありました。修繕をしても、すぐに凸凹のある危ない状態に戻ってしまうので、結果的に黒いアスファルト舗装にした経緯があります。とはいえ、単なる黒舗装では景観を損ないます。そこで業者さんに相談したところ、大成ファインケミカルのカラー舗装材『リリーフペイント』の存在を知り、検討の結果、導入することになりました。

「住んでみたい」と思われる、まちづくりに取り組んでいく

―導入した決め手はなんですか。

 車も乗り入れるため耐久性を重視したのですが、『リリーフペイント』は、特殊な塗料を使うことで、水性でありながら耐久性に優れているという点でした。一般的に舗装材は、水性より油性のほうに耐久性があるとされていますが、油性はシンナーが入っているため、舗装中の匂いでクレームが発生する可能性があります。また、水性は乾くのが遅く、交通開放に時間がかかるとされていますが、同舗装材は夜間の短時間で舗装を行い、開放した実績があることを評価しました。

 そして、毎日何万人もの利用者があるJR駅構内の床や、北区(東京都)の遊歩道でも導入実績がある点。さらに、カラーは33色から選べ、インターロッキングブロックよりコストを抑えて景観も保てるというのもポイントでした。そこで、今年の1月に『リリーフペイント』を使い、透水性アスファルトの上にカラー舗装を施したのです。

―舗装後の歩道をどう評価していますか。

 まず、冬場の寒い時期に短期間での施工はありがたかったです。施工の際は、夜の21時から始めて、翌午前3時には交通開放していました。匂いや舗装時間による苦情はありませんでしたね。舗装後の仕上がりについては、イメージ通りになったと思っています。住民からも「色がキレイだね」という声をいただいています。塗装がはがれているといったことは起きていないですね。今回は歩道の片側の舗装を行ったのですが、後はもう片側の舗装を行えば、道路整備が完了します。今後も引き続き、安全性と美観を両立させた歩道はもちろん、住民に改めて「住んでみたい」と思ってもらえるまちづくりに、大成ファインケミカルの協力も得ながら取り組んでいきたいと考えています。


支援企業の視点

化学メーカーのノウハウを活かせば、現場のニーズに合わせた塗装が可能

大成ファインケミカル株式会社
代表取締役社長 稲生 豊人
営業グループ 景観ユニット リーダー 泉田 一雄
[提供] 大成ファインケミカル株式会社
大成ファインケミカル株式会社
代表取締役社長
稲生 豊人 いのう とよひと
大成ファインケミカル株式会社
営業グループ 景観ユニット リーダー
泉田 一雄 いずみだ かずお

―安全性と景観を重視した舗装を望む自治体は多いのですか。

稲生 駅前周辺や商店街、公園など、賑わいが生まれるエリアにおいて希望する自治体は多いと感じています。特にデザイン性を重視して、インターロッキングブロックで舗装する自治体は多いようです。たしかに、インターロッキングブロック自体はすばらしい舗装ですが、経年劣化によって凸凹が発生したり、ブロックが割れたりした際のメンテナンスに苦労しているケースも。そこで当社では、景観を損なわずに施工にかかるコストを抑えられる、カラー舗装を自治体におすすめしています。

―カラー舗装を選ぶ際のポイントはなんでしょう。

泉田 安全性担保のため、「耐久性」「追従性」「防滑性」に優れたカラー舗装を選ぶべきです。当社の『リリーフペイント』は、そうした機能を有しているほか、「速乾性」にも優れ、交通開放も早く行えます。特徴は、これらの機能を水性の舗装材で実現している点。水性は油性より耐久性や速乾性が低いとされていたのですが、当社では「シリコーンアクリル樹脂系」の化学結合により、その弱点を克服。「油性は引火しやすく、舗装時にシンナーの匂いがするため苦情がくる」という現場の悩みから開発したのです。こうした支援ができるのも、当社が舗装材メーカーではなく、原材料の生成から行う開発型の化学メーカーだからなのです。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

稲生 カラー舗装で、まちに人が訪れるような賑わいを自治体に提供していきたいですね。当社のカラー塗装は33色と種類が豊富なうえ、厚さ0.55㎜の型紙の上から吹き付け塗装を行う「型紙工法」によって、インターロッキングブロックのような舗装を、段差のないバリアフリーで行えます。当社の製品は、環境にも人にも優しく、SDGsに配慮しています。そして、最近はさらなる景観アップのために、型紙工法の採用が増えています。ぜひお問い合わせください。

稲生 豊人 (いのう とよひと) プロフィール
昭和37年、千葉県生まれ。昭和59年に日本大学を卒業後、大成化工株式会社に入社し、営業を担当する。平成16年、大成ファインケミカル株式会社が分社。平成20年、同社の代表取締役社長に就任。
泉田 一雄 (いずみだ かずお) プロフィール
昭和52年、東京都生まれ。平成13年に日本大学を卒業後、舗装工事会社に入社し、営業を担当する。平成20年、大成ファインケミカル株式会社に入社し、販売業務を担当する。平成29年から現職。

大成ファインケミカル株式会社
設立 平成16年1月(大成化工株式会社の設立は大正14年1月)
資本金 4,000万円
従業員数 82人
事業内容 アクリル樹脂や環境・景観商品などの企画・製造・販売
URL https://www.taisei-fc.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-3691-3112(平日 8:30~17:30)
お問い合わせメールアドレス info_kinou@taisei-fc.co.jp
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*1:※インターロッキングブロック : 独特の形状に製造された舗装用ブロックのこと。このブロック同士をかみ合わせ、間に砂を入れて舗装する

*2:※追従性 : 下地における伸縮への対応のしやすさを示す。ひび割れしにくい