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観光情報を集約した「MaaS」で、旅の満足度を高めリピーター獲得へ

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長崎県長崎市の取り組み

コロナ禍後の観光振興策

観光情報を集約した「MaaS」で、旅の満足度を高めリピーター獲得へ

長崎市 企画財政部 長崎創生推進室 室長 久保 洋
[提供] 株式会社ゼンリン

※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

コロナ禍の混乱が落ち着き始めたことで、大きなダメージを受けた観光産業の振興に、民間企業と共創して取り組む自治体が増えてきた。長崎市(長崎県)もそうした自治体の1つで、地図情報サービスを提供しているゼンリンと共創して、旅の満足度を高める「観光型MaaS*1アプリ」の開発を実現したという。同市担当者に、開発支援の経緯や期待する効果などを聞いた。

[長崎市] ■人口:40万3,069人(令和4年6月30日現在) ■世帯数:20万6,168世帯(令和4年6月30日現在) ■予算規模:3,699億5,538万9,000円(令和4年度当初) ■面積:405.86km2 ■概要:長崎県南西部に位置する県庁所在地。グラバー園、大浦天主堂、出島、平和公園、軍艦島など観光資源が豊富で、修学旅行の行き先としても人気が高い。軍艦島は平成27年に世界文化遺産に登録された。「ちゃんぽん」「カステラ」以外にも、水産加工品や農畜産加工品など特産品が豊富。
長崎市
企画財政部 長崎創生推進室 室長
久保 洋 くぼ ひろし

長崎市ではコロナ禍以前から、観光客数が伸び悩んでいた

―ゼンリンと共創して、「観光型MaaSアプリ」の開発を実現するにいたった経緯を教えてください。

 当市とゼンリンは昨年7月、地図情報を活用して課題解決に取り組む包括連携協定を結びました。その一環として、地図情報を使った今回のアプリ開発により、訪れた方々に長崎市の旅の満足度を高めていただき、観光産業の振興につなげる取り組みを行っています。ゼンリンがアプリを開発するうえで、当市はコンテンツ制作の面で支援しました。開発したアプリは、同社から今年3月に『STLOCAL(ストローカル)』という名称でサービス提供を開始していますが、アプリ開発にあたり1つのテーマの実現に期待していました。

―どのようなテーマでしょう。

 利用者に、「長崎市にまた行きたい」と思ってもらうことです。そのためには、単に観光スポットを紹介するだけでなく、滞在中の時間を快適に過ごしてもらうアプリであることが大切です。国内有数の観光地を自負する当市ですが、じつはコロナ禍以前から観光客数が伸び悩み、リピーター獲得は重要なテーマでした。まさに今回のアプリは、その課題解決の大きな一手になると考えました。

―具体的に教えてください。

 観光スポットや話題の飲食店、土産店といった情報を検索できるほか、バスや電車など公共交通機関を組み合わせて、行きたい場所への最適な交通ルートを検索できるMaaS機能を搭載しているのが特徴です。観光客に1ヵ所でも多く観光スポットを楽しんでもらうには、スムーズに移動できる情報の提供が欠かせません。私たちは、観光地でスムーズに移動できるかどうかは、旅の満足度をあげる重要な要素だと考えています。さらに、MaaS機能に付随して、公共交通機関の乗車券や観光施設の入場券が買える「デジタルチケット」、観光スポットを巡ってポイントを集められる「スタンプラリー」、そのポイントを景品に替えられる機能などを搭載しています。

ビッグデータを活用し、観光地の魅力をさらに高める

―豊富な機能が実装されているアプリですね。

 ええ。長崎市の旅を十分に満喫できる機能を集約したアプリだと思います。さらに『STLOCAL』には、アプリ利用者の個人情報が特定されないように匿名化したうえで、移動ルートや購買情報などのデータを蓄積する機能があります。私たちはそのビッグデータを、新たな観光ルートの発掘や交通インフラの整備に活用していくことで、観光地としての魅力をさらに高められるのではないかと期待しています。

 今後もゼンリンと共創して、『STLOCAL』の機能改善、利用促進に向けた取り組みを進め、「リピーターが増える観光地・長崎」を目指していきます。


支援企業の視点

旅中(たびなか)・旅後(たびあと)の満足度も高めることが、リピーター獲得の有効な手段に

株式会社ゼンリン ビジネス企画室 MaaS担当 部長 藤尾 秀樹
[提供] 株式会社ゼンリン
株式会社ゼンリン
ビジネス企画室 MaaS担当 部長
藤尾 秀樹 ふじお ひでき

―自治体が観光産業の振興に取り組む際、重要なポイントはなんでしょう。

 観光を時間的なフェーズで分けると、「旅前」「旅中」「旅後」の3つです。リピーター獲得に向けて、観光客の嗜好や行動実態を把握し、個々のニーズに対応した観光サービスを提供するには、「旅前」だけでなく、「旅中」「旅後」における観光サービスも充実させることが重要です。

―どのように取り組めばいいのでしょうか。

 まずは、「行きたい」と思わせる「旅前」の観光情報の整備が必要ですね。今回、長崎市で提供している『STLOCAL』は、市内を15のマイクロエリアに細分化し、「じっくり街を歩いてもらうこと」をテーマにコンテンツを構成しています。そのうえで、便利に観光するための各種機能を搭載することで、「旅中」の満足度向上を図っています。さらに、利用者のビッグデータを「旅後」の観光整備に活用できるため、リピーター獲得に向けた「魅力ある観光地づくり」が可能になるのです。

 このサービスを当社独自のビジネスとして提供することで、自治体にとっては費用負担を抑えた支援ができます。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 当社は今回のMaaS以外にも、地図情報を活用した防災対策、自治体向けWeb配信型住宅地図サービス、地域の商工事業者のマーケティングツールなど多様なソリューションを開発中です。地図情報を活用した課題解決に関心のある自治体のみなさまは、お気軽にご連絡ください。

藤尾 秀樹 (ふじお ひでき) プロフィール
昭和50年、兵庫県生まれ。神戸芸術工科大学工業デザイン学科卒業後、平成11年に株式会社ゼンリンへ入社。おもにMaaSに関する新規ビジネス企画業務を担当する。平成31年から現職。

株式会社ゼンリン
設立 昭和36年4月(創業/昭和23年4月)
資本金 65億5,764万円
売上高 590億5,300万円(令和4年3月期:連結)
従業員数 3,693人(令和4年3月31日現在:連結)
事業内容 住宅地図帳などの各種地図、地図データベース、コンテンツの提供。また、付帯、関連するソフトウェアの開発・サービスの提供
URL https://www.zenrin.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-5295-9067(平日 9:00~17:30)
お問い合わせメールアドレス maas_kikaku@zenrin.co.jp
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*1:※MaaS : 「Mobility as a Service」の略。複数の交通手段のなかから最適な組み合わせを検索、決済できるサービス