民間企業の取り組み
テレワークシステムの導入
テレワーク運用のコストと手間を「ソフトSIM」で軽減する手法
APRESIA Systems株式会社 営業本部 第二部 第一グループ 主任 中村 和史
※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
コロナ禍や国によるDX推進を背景に、自治体でもテレワーク導入の機運が高まっている。そうしたなか、自治体における通信インフラ整備の支援を行ってきたAPRESIA Systemsの中村氏は、「情報セキュリティを保ちつつ、コストと手間のバランスをとるのが難しいという声があるが、まだ自治体に広く知られていない技術の活用で解決できる」と話す。同氏に、テレワーク導入の課題と解決法を聞いた。
閉域SIMはコストが、VPNは手間が課題
―自治体におけるテレワークの普及状況について教えてください。
徐々に実施環境が整備されていっており、「今は無償サービスを試験的に使っているが本格的な導入を検討したい」「導入範囲を広げたい」といった声が、さまざまな自治体から寄せられています。ただ、ニーズが増す一方で、導入ハードルが高いと考える自治体が少なくない印象があります。
―どういった点で導入ハードルが高いと思われているのでしょう。
情報セキュリティが担保されているのを前提としつつ、導入および運用にかかるコストと手間のバランスをとるのが難しい点です。たとえば、閉域SIMは接続の際の煩わしさがなく、閉じた回線を使うためセキュリティレベルが高いです。しかし、SIMカードやそれに対応したデバイスの用意が必要で、コストがかさみます。また、VPNは導入の際のコストや手間が比較的少ないですが、サービスや初期設定によって情報セキュリティレベルに差があらわれます。くわえて、接続のたびにアプリケーションを立ち上げ、IDやパスワードを入力してログインする手間がかかります。
―コストと手間のバランスをとる方法はないのですか。
モバイル技術によって、既存の回線を疑似的に閉域化するという手法があります。たとえば、スマートフォンなどに用いられる、SIMカードと同じような機能を果たすソフトウェア「ソフトSIM」を使った通信方法です。われわれが開発したテレワークソリューション『SIMコネクト』は、その手法を用いています。
端末の起動と同時に、自動で認証と通信暗号化を開始
―どのような仕組みなのですか。
スマートフォンなどと同様に、端末の起動と同時に「ソフトSIM」による認証と通信の暗号化が自動的に開始されます。そのため、わざわざアプリケーションを立ち上げてログインをしなくても、情報セキュリティを担保したうえで、すぐに業務に取りかかれます。
また、設備・機器や通信キャリアなどの通信環境を選ばずに使えます。そのため、既存の通信環境を活用すれば導入と運用のコストと手間を抑えられるうえ、サテライトオフィスや自宅、カフェなど場所を問わず利用可能です。料金は定額制で、導入にかかる時間は最短1ヵ月ほど。「ソフトSIM」は5分程度で端末にインストールでき、パスワード更新が不要なため、運用段階に移行した後の負担も少なくすみます。
―ほかに特徴はありますか。
世界に1つしかない番号を割り振られたSIMを用いて、端末の認証を行っています。くわえて、通信の暗号化に使う「事前共有鍵」がセッションごとに生成される仕組みになっており、なりすましや漏洩に強い、高度なセキュリティを実現しています。
―今後における自治体への支援について聞かせてください。
国産のものづくり企業として培ってきた技術を活用して、自治体職員がより働きやすい環境を整える支援をしていきたいと考えています。われわれが「ソフトSIM」に着目できたのは、単なる販売業者ではなく、ものづくり企業としての目線を持って事業を展開してきたからこそです。テレワークへの「ソフトSIM」の活用はまだ自治体にはあまり広まっていないので、どういったサービスなのかを知っていただくためにも、まずは気軽にご相談ください。
中村 和史 (なかむら かずふみ) プロフィール
昭和57年、東京都生まれ。大学卒業以来、業務ソフトウェアを専門とした日系企業の営業職に従事。平成30年、APRESIA Systems株式会社に入社し、国内ネットワーク市場に向けた営業職に携わる。令和2年からは、市場調査を含めたマーケティング活動も担う。
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