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「誰一人取り残さない」窓口対応を、AI翻訳と遠隔通訳の併用で実現へ

東京都足立区の取り組み

窓口業務におけるダイバーシティ推進

「誰一人取り残さない」窓口対応を、AI翻訳と遠隔通訳の併用で実現へ

足立区
政策経営部 政策経営課 政策経営担当係長 光井 雅人
[提供] コニカミノルタ株式会社

※下記は自治体通信 Vol.38(2022年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

コロナ禍を背景に海外との人的往来が減ってはいるものの、国内には多くの外国人が在住している。こうした状況において各自治体では、日本語が話せない住民に対してもいかに平等に行政サービスを提供するかが課題となっている。こうしたなか、足立区(東京都)では、タブレット端末を用いた「AI翻訳」や「三者間通訳」によって多言語対応を強化したという。取り組みの詳細について、同区政策経営課の光井氏に聞いた。

[足立区] ■人口:68万9,258人(令和4年4月1日現在) ■世帯数:36万1,781世帯(令和4年4月1日現在) ■予算規模:4,724億9,600万円(令和4年度当初) ■面積:53.25km2 ■概要:東京23区の北東部に位置し、隅田川と荒川に挟まれた千住地区と、面積の大半を占める荒川以北の地区に分かれている。日光道中で最初の宿場が千住に定められた江戸時代から栄え始めた。明治以降は、軽工業・重化学工業が盛んになり、鉄道の開通とともに人口が増加してきた。外国人の転入も多く、人口に占める在住外国人の比率は、令和2年3月に4.97%とピークに達した。
足立区
政策経営部 政策経営課 政策経営担当係長
光井 雅人 みつい まさと

シーンに合った意思疎通を、タブレット端末1台で実現

―足立区ではどのような多言語対応を行ってきましたか。

 本区では長年、英語や中国語などを話せる専門職員を窓口に配置してきました。外国人の在留資格を新設する改正入管法が施行された平成31年度からは、プロの通訳者がビデオ通話でサポートしてくれる「三者間通訳」ツールを区民事務所に導入。通訳専門職員を配置できない出先機関でも、デジタル技術の活用により外国人対応が可能となりました。しかし、課題がないわけではありませんでした。

―どのような課題でしょう。

 三者間通訳は従量課金制のサービスが一般的で、コストが増大してしまいがちという課題です。そこで本庁舎では、定額制のAI翻訳ツールの導入を検討。端末に声を吹き込むと、指定した言語でAIが自動翻訳してくれるものです。令和2年度から導入を始め、現在はコニカミノルタが開発した『KOTOBAL』というアプリを活用しています。

―使用した感想はいかがですか。

 行政用語の翻訳にも対応しており、窓口の現場からは「手続きの案内といった簡易な説明を行う際は非常に役立つ」と評価の声があがっています。アプリを起動すれば即座に翻訳が始まるため、窓口で来庁者をお待たせすることがなくなり、行政サービス全体の向上にもつながりました。また、「定型文」も自由に登録できるため、よく使う説明文を繰り返し端末に吹き込む時間も省けます。

 『KOTOBAL』はほかにも、職員と住民との意思疎通を補助する複数の機能が搭載されており、職員がシーンに合わせて活用しています。

遠隔の手話機能により、聴覚障がい者への対応も向上

―AI翻訳以外にどのような機能を使っているのですか。

 ひとつは、三者間通訳の機能です。税金や生活の相談といった複雑な制度の説明が必要なときは、AI翻訳での対応が難しいため、やはり人による通訳が本領を発揮します。三者間通訳自体は従来も活用していましたが、『KOTOBAL』の導入により、ひとつのアプリでAI翻訳と三者間通訳を選べるため、現場職員はシーンに応じて最適な機能を使い分けています。単一の機能に限定されないため、現場職員から好評を得ています。

 もうひとつよく活用されているのが、「遠隔手話」の機能です。外国語の三者間通訳と同様、手話通訳者とビデオ通話を行えるので、障がい福祉課における聴覚障がい者への窓口対応に役立てています。

―今後の活用方針を聞かせてください。

 現在は『KOTOBAL』をインストールしたタブレット端末を、本庁舎内を中心に配備していますが、今後は通訳者がいない出先機関への配備についても検討していく必要があります。外国人や聴覚障がい者の住民とのコミュニケーションを円滑化し、誰一人取り残すことがないように行政サービスの向上を図っていきます。


支援企業の視点

機械と人それぞれの利点を活かし、意思疎通の齟齬を解消せよ

コニカミノルタ株式会社 ビジネス イノベーション センター ジャパン(BIC Japan)
KOTOBAL プロダクトマネージャー 小笠原 堂裕
[提供] コニカミノルタ株式会社
コニカミノルタ株式会社
ビジネス イノベーション センター ジャパン(BIC Japan) KOTOBAL プロダクトマネージャー
小笠原 堂裕 おがさわら たかひろ

―多言語対応をめぐる自治体の課題はなんですか。

 多様な言語を話す在住外国人が増加傾向にあるなか、庁内の通訳者で多くの言語に対応するのは限界があることです。そこで注目されているのが、AIによる機械翻訳や、遠隔の三者間通訳です。どの機能を選択するか迷う自治体が多いですが、当社は両方の機能を活用することを推奨しています。

―それはなぜでしょう。

 それぞれにメリットがあるからです。機械翻訳は迅速な翻訳が強みで、「手続きの方法を説明する」といった簡易な案内に適しています。一方、人による三者間通訳はAIで翻訳しきれない複雑な会話を補えます。そこで当社は、両方の機能を搭載した『KOTOBAL』を提案しています。特にAI翻訳機能は、翻訳精度に定評のあるNICT*1のエンジンに独自のデータベースを組み合わせ、行政用語に強いのが特徴。言語も30以上に対応しています。このほか、聴覚障がい者や高齢者のコミュニケーションをサポートする「音声筆談」や遠隔手話の機能も備え、窓口対応の充実化をお手伝いします。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 今後は、窓口職員による「やさしい日本語」の使用を支援するサービスも強化していきます。外国人か日本人かにかかわりなく、難解な用語はときに住民側に理解の齟齬を生じさせてしまうものです。『KOTOBAL』では、そうしたさまざまな意思疎通上の齟齬を解消することで、自治体における住民サービスの向上を支えていきます。

小笠原 堂裕 (おがさわら たかひろ) プロフィール
昭和59年、愛知県生まれ。平成19年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、総合家電メーカーに入社し、商品企画に携わる。平成29年、コニカミノルタ株式会社に入社。平成31年より現職。『KOTOBAL』事業を統括。
コニカミノルタ株式会社
設立 昭和11年12月
資本金 375億1,900万円
売上高 8,633億8,100万円(令和3年3月期、連結)
従業員数 4万979人(令和3年3月現在、連結)
事業内容 オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、産業用材料・機器事業
URL https://www.konicaminolta.com/jp-ja/
お問い合わせ電話番号 050-3188-1086 (平日9:30〜17:30)
問い合わせフォームはこちら https://www.konicaminolta.jp/kotobal/
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*1:※NICT : 国立研究開発法人情報通信研究機構