民間企業の取り組み
帳票業務の効率化
DX推進の重要課題「帳票の電子化」成功のカギは庁内での内製
※下記は自治体通信 Vol.37(2022年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
DX推進が大きな課題となる自治体の現場において、いまだに根強い紙文化からいかに脱却すべきか頭を悩ませている自治体は少なくない。それに対し、これまで1,000社以上の民間企業において業務のデジタル化を支援してきたオプロ代表の里見氏は、「帳票の電子化を成功させるポイントは、『内製化』にある」と指摘する。自治体はいかにして紙文化から脱却すべきか。その詳細について同氏に聞いた。

システムコストや業務負担で、帳票の電子化が進まない
―業務のデジタル化をめぐる自治体の現状をどう見ていますか。
デジタル化自体は随所で進んでいる一方で、各種申請や手続きの処理プロセスはまだまだ紙ベースで運用している自治体が多く、業務のデジタル化の障害になっています。一番の問題は、業務プロセスの入口となる「帳票」自体が紙で運用されていることです。帳票が電子化されていれば、保管コストを抑えられるばかりか、資料の検索性や視認性は上がり、職員の業務効率は大きく向上します。そのため、紙の帳票を電子化する動きもありますが、職員が手作業で入力すれば業務負担が増し、ミスも起こりえる。その作業を自動化しようとしても、システム導入には多額のコストが生じるため、帳票の電子化が進まなかったのが多くの自治体の実情でした。
―帳票の電子化を進める際のポイントはなんでしょう。
ひとつは、帳票の記入情報をCSVのような広く活用できる状態にデータ化しておくことです。かりに帳票自体が電子化されていても、ファイル形式やフォーマットがバラバラの状態で保存されていては、データの利活用は進みません。最近では、顧客管理システムを導入し、住民情報を管理する自治体も増えていますが、それはひとつの方法です。
そのうえで、電子化の作業自体や帳票フォーマットの変更・修正といった作業を、庁内で職員が簡単に行えるかどうかがもっとも重要なポイントです。従来のようにこれらの作業を外部のベンダーに委託していては、コストも時間もかかってしまい、電子化の大きな妨げになります。
格納データを取り込み、帳票フォーマットに自動転記
―どのような方法がありますか。
たとえば、当社が提供するクラウド帳票サービス『oproarts(オプロアーツ)』であれば、職員が簡単に電子帳票を作成できます。これは、基幹システムや顧客管理システムといった庁内の各種システムと連携し、格納されたデータをCSVとして取り込み、帳票フォーマットに自動転記するシステムです。PDFなど標準的なファイル形式のほか、WordやExcel、PowerPointなどで出力することができます。
また、電子帳票の作成だけではなく、「メールで送る」「外部ストレージに保存する」といった後続プロセスにスムーズに接続させることができるのも、特徴のひとつです。さまざまなシステムと連携することで、現行のプロセスを変えることなく、帳票業務全体を効率化することができるのです。
―導入実績を教えてください。
金融機関やサービス産業を中心に1,000社以上への導入実績があります。中央省庁への導入も進んでおり、ある機関では、自治体に出向した職員が各地でそれぞれ異なるフォーマットに合わせて帳票を自作し、全国規模の調査事業を短期間で完了させたという事例があります。最近ではLGWANに対応した新しいバージョンもリリースしたことで、支援の幅を自治体にも広げられるようになりました。
―今後、どのような方針で自治体を支援していきますか。
現在、LGWAN環境下での後続プロセスの拡張性を高める開発を進めており、タイムスタンプなどといった新たな機能の実用化を進めています。こうした機能強化を通じて、自治体職員の業務効率化と行政サービス向上に貢献していきたいと考えています。
設立 | 平成9年4月 |
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資本金 | 9,800万円 |
従業員数 | 62人(令和4年3月1日現在) |
事業内容 | クラウドサービスやソフトウェアの開発・提供など |
URL | https://www.opro.net/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-3538-6510(平日9:00〜17:30) |
お問い合わせフォーム | https://www.opro.net/contact/ |