民間団体の取り組み
「保育士等キャリアアップ研修」の受講促進
多忙な保育士が「隙間時間」に学べる、eラーニング研修のススメ
※下記は自治体通信 Vol.36(2022年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
平成29年度に国が創設した「保育士等キャリアアップ研修(以下、キャリアアップ研修)制度」。保育士の処遇改善や専門性の強化を目的とした制度だが、研修を主催する自治体関係者からは、「受講率がなかなか伸びない」といった声があがっている。その状況に対して、研修の実施機関であるアジルラーニング専務理事の大下氏は、「もっと保育士の勤務実態を考慮した研修スタイルを提供することによって受講率は伸ばせる」と語る。その研修スタイルの内容を、同氏に聞いた。

受講をあきらめるケースも
―「キャリアアップ研修」の受講はどれくらい広がっているのでしょう。
自治体関係者に話をうかがう限り、受講しているのは、対象となる保育士の半分程度だと思います。そもそも、この研修制度が創設された大きな目的のひとつが「保育士の処遇改善」です。受講を条件に、保育士の昇給の機会が広がるよう国が制度化しました。処遇改善で、「保育士の人材不足」の解消が期待されていますが、自治体関係者からは「思うように受講率が伸びない」といった声が聞かれます。
―なぜ受講が進まないのですか。
ひと言でいえば、「仕事が忙しく、受講する時間が保育士にない」ということです。保育士の仕事は、想像以上に多忙を極めます。一人で何人もの園児を保育するなかで、おやつや食事の準備、掃除のほかに、連絡帳や日誌の記入業務も。また、保育士同士の協働が必要な行事も多数あります。保育士不足が深刻ななか、余裕のある人員体制を敷ける保育園は少なく、保育士は緊急時や体調不良時以外は休みにくいのが現状です。そのため、「ほかの保育士に迷惑をかけたくない」と受講をあきらめるケースも多いと聞きます。
―どうすればいいのでしょう。
保育士が、気兼ねせずに受講できる研修スタイルであればいいのです。たとえば東京都では、令和3年度からこれまでの集合型研修にくわえて、eラーニング形式による研修も認めています。東京都から研修の実施機関として指定されている私たちは、この研修スタイルをいち早く取り入れました。インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも受講できます。東京都以外の保育士も受講でき、令和3年10月時点で2,300人以上の受講生を集めています。
現場で応用できる学習
―受講生からはどのような反響がありますか。
「勤務を休むことなく受講でき、忙しい時は保育に入るといった調整がしやすい」「現場に迷惑をかけずに済むため、気兼ねなく受講できる」といった声が多いです。1科目修了するには15時間の研修が必要なため、従来の集合型研修だと丸2~3日間の拘束も。一方、eラーニング形式なら好きなタイミングで受講でき、通勤電車での移動時間や休み時間といった「隙間時間」も活用できます。eラーニングを実施している研修機関はほかにもありますが、特に私たちは、学習の理解を深め、専門知識の強化につながる独自の研修内容を提供しています。たとえば、講義を15分から30分単位で単元ごとに区切り、その都度確認テストを実施。そのテストをクリアしなければ次の単元に進めない仕組みです。また、ほかの保育士と画面越しに意見交換できるよう、Zoomを使用したライブ演習もコンテンツの一部に組み込んでおり、職場に帰ってすぐに応用できる学びも提供しています。
―今後、自治体をどのように支援していきますか。
この研修の普及は、自治体の子育て支援事業の重要なテーマである「保育所支援の充実」につながります。ぜひ保育士のみなさんに、私たちの研修を広めていただければと思います。また、私たちをキャリアアップ研修の実施機関として委託していただくことも可能なので、お気軽にご連絡ください。
利用者の声

会場までの大変な移動がなく、いつでも受講できる
私たちの保育園は離島にあり、島内で研修が実施されないときは飛行機で鹿児島本土の研修会場まで行く必要がありました。交通費の負担もあるため、これまでの3年間は1年に1科目の受講が限度でしたね。それに対して、アジルラーニングのeラーニング研修であれば、どこからでも受講でき、研修会場までの交通費もかからないため、1年で複数科目を受講することも可能になると思います。短期間でスキルを磨くことにつながるので、今後はまだ受講していない科目も受けてみたいと思っています。

繰り返し視聴できるので、集合型研修以上に理解を深められた
保育園からの紹介で、アジルラーニングの研修を知りました。eラーニングは未経験だったため、しっかり学習できるのか漠然とした不安がありました。しかし、講師が教材を画面で共有しながらわかりやすく、ていねいに解説してくれたほか、インプットしたい内容は繰り返し視聴できたため、集合型の研修以上に理解を深められたと感じています。1つの単元が終わるごとに行われるテストは、自分の理解度を測るバロメーターになりましたね。アジルラーニングは毎月研修を開催しているようなので、違う科目にも挑戦したいです。
設立 | 令和2年10月 |
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事業内容 | 人材育成に関する教育訓練、研修、セミナーなど |
URL | https://agilelearning.biz/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-6453-6097 (平日9:30~16:00) |
お問い合わせメールアドレス | helpdesk@agilelearning.biz |
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