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海底に眠る地域の資産を発掘し、まちづくりに活かす時代

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鹿児島県徳之島町・天城町・伊仙町の取り組み

文化財保護のための海洋調査

海底に眠る地域の資産を発掘し、まちづくりに活かす時代

徳之島町 教育委員会 社会教育課文化係 主事補 大屋 匡史
天城町 教育委員会 社会教育課 文化財担当 具志堅 亮
伊仙町 教育委員会 社会教育課 主事 安田 未来
[提供]株式会社ウインディーネットワーク

※下記は自治体通信35号(Vol.35・2022年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

日本の領海・周辺海域には、多くの水中文化遺産が存在しているが、昨今これらの調査・保護に力を入れようとする国の動きがある。こうした流れを受け、全国の自治体でも海洋調査の成果をまちづくりに活かす試みもみられる。鹿児島県徳之島に位置する徳之島町、天城町、伊仙町の三町が合同で実施した水中遺跡調査事業もそのひとつだ。ここでは三町の担当者に、調査の経緯や期待する効果などを聞いた。

[徳之島町] ■人口:1万16人(令和3年10月1日現在) ■世帯数:4,706世帯(令和3年10月1日現在) ■予算規模:82億5,348万2,000円(令和3年度当初) ■面積:104.85km2
[天城町] ■人口:5,699人(令和3年10月1日現在) ■世帯数:3,055世帯(令和3年10月1日現在) ■予算規模:63億4,858万円(令和3年度当初) ■面積:80.30km2
[伊仙町] ■人口:6,506人(令和3年8月末現在) ■世帯数:3,493世帯(令和3年8月末現在) ■予算規模:82億4,406万1,000円(令和3年度当初) ■面積:62.70km2
徳之島町
教育委員会 社会教育課文化係 主事補
大屋 匡史 おおや ただし
天城町
教育委員会 社会教育課 文化財担当
具志堅 亮 ぐしけん りょう
伊仙町
教育委員会 社会教育課 主事
安田 未来 やすだ みらい

地域の歴史や文化を知り、愛着を育てるきっかけに

―三町が合同で海洋調査を行った経緯を教えてください。

具志堅 これまでも徳之島では、水中遺跡の存在が指摘されており、民間の研究助成金を活用した調査を行った過去もありました。陸上では、中世における陶器生産拠点が伊仙町にあるものの、どのような過程を経て流通したのかはわかっていません。水中遺跡の調査は、徳之島の歴史を復元していくうえで重要な要素になるとの認識をもってきました。そうしたなか、水中遺跡を陸上の遺跡と同様の扱いで調査・保存に力を入れていくという文化庁の方針が示されました。そこで、平成29年度から三町合同による水中遺跡の調査実施を決めました。

大屋 徳之島の住民は郷土への愛着が強く、陸上の遺跡の発掘調査を行っていると、「何か出たの」と尋ねてくる方もいます。しかし、水中に遺跡があることを知っている人は少ない。水中にも遺跡があることを知ってもらい、最終的には、水中遺跡が観光資源として島の魅力づくりにつながるのではないかという期待もありました。

―調査事業はどのように進められたのでしょう。

具志堅 これまでの潜水調査の成果を正確に書き込むために、まずはマルチビーム測深機によって海底地形を測量することを決め、実績のある事業者を探しました。そのなかで、奄美大島の倉木崎海底遺跡の調査をはじめ全国各地で数多くの有名な海洋調査事業を請け負っているウインディーネットワーク社に注目し、入札を通じて事業者に選定しました。

安田 実際の測量にあたって、まずは遺跡が眠っていると思われる有力ポイントを三町でそれぞれ1ヵ所ずつ指定。その際、関係者への聞き取り調査や過去の文献調査のほか、ウインディーネットワークからも豊富な実績に基づくアドバイスをもらいました。

大屋 さらに、マルチビーム測深機をはじめ各種機材の特徴といった専門知識のほか、全国での調査事例に基づく経験も共有してもらえ、それらは調査を的確に進めていくうえで有益な助言となりました。

郷土教育の教材として、活用する計画も

―調査の結果、どのような成果が得られましたか。

大屋 調査地点の詳細な3次元海底地形図が得られたことで、遺跡の位置や過去の調査内容を地図上に正確に描画できたことは大きな成果です。この資産は、地元の歴史や文化に関心をもってもらうきっかけになるほか、観光客の回遊スポットにもなると期待しています。

安田 伊仙町では、小中学校における郷土教育の教材として活用する計画もあります。また、今回得られた正確な情報は、今後文化や歴史の全体像を探るための貴重な手がかりにもなるはずです。

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支援企業の視点

国が推進する「海の見える化」には、高度な専門知識による支援が必要に

株式会社ウインディーネットワーク ウインディー海洋調査技術研究所 営業グループ 部長 松崎 康治
[提供]株式会社ウインディーネットワーク
株式会社ウインディーネットワーク
ウインディー海洋調査技術研究所 営業グループ 部長
松崎 康治 まつざき やすじ

―海洋調査に関心をもつ自治体は多いのでしょうか。

 まさにいま増えている状況です。その背景には、水中遺跡の調査・保存に力を入れるとの方向性を打ち出している国の動きがあります。文化庁では、水中遺跡調査を自治体の管轄事業と位置づけ、資金面を中心に支援体制を強化する考えです。現在進められている指針づくりには、海洋調査の専門会社として当社も参加しており、調査方法や管理のあり方などの検討を重ねています。これを受け当社でも、高度な調査・分析技術、海洋調査に関する専門知識を駆使し、自治体への支援を強化しています。

―これまでにどのような実績がありますか。

 九州国立博物館による倉木崎海底遺跡調査や、海流の激しい津軽海峡での「青函連絡船探索プロジェクト」など、高度な技術を要する海洋調査事業に数多く参画しています。これらの事業を支援できるよう、当社の技術研究所では最新の高性能調査機器を多数保有しており、社内での独自研究や新たな技術開発も重ねながら政府機関や大学などからの要望に応えています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 海洋調査による「海の見える化」の成果は、水中遺跡の発掘による観光やまちづくりに活かせるだけではなく、海底地形を知ることにより防災対策の強化にも寄与すると考えられます。当社では、「全国すぐ行くウインディー」をキャッチフレーズに、どのようなニーズにも即応できる体制を整えています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

松崎 康治 (まつざき やすじ) プロフィール
昭和34年、福岡県生まれ。CADシステムメーカーを経て、平成24年4月、株式会社ウインディーネットワークに入社。令和元年10月より現職。
株式会社ウインディーネットワーク
設立 昭和34年9月
資本金 1,200万円
従業員数 85人(グループ社員:令和3年4月現在)
事業内容 海洋調査
URL https://www.3d-survey.jp/
お問い合わせ電話番号 0558-36-3220(平日8:30〜17:15)
お問い合わせメールアドレス u-soumu@windy-net.co.jp