民間企業の取り組み
DX人材の育成
「成果が出るDX」の担い手を、今こそ庁内で育成せよ
※下記は自治体通信35号(Vol.35・2022年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
昨年末、総務省が「自治体DX推進計画」を発表して以降、全国の自治体では新たなデジタル技術の導入やその検討が加速している。こうした動きに対して、自治体業務の支援事業を手がける川口弘行合同会社の代表、川口氏は、「DXを成功させるには、まずは人材の育成に力を入れるべきだ」と指摘する。それはいったいなぜなのか。DX人材の育て方とともに、同氏に聞いた。

ツールの導入が目的化すれば、投資はムダになりかねない
―川口さんは、「DX推進」における人材育成の重要性を指摘しています。それはなぜでしょう。
デジタル技術を導入するだけで、「職員の業務効率化」や「行政サービスの向上」といったDX本来の目的を達成できるとは限りません。にもかかわらず、そこを誤解している例が多く見受けられるからです。「自治体DX推進計画」で推奨されるAIやRPAなどは、DXを実現するための手段であり、目的ではありません。ですから、これらの手段が自分たちの業務に本当に適しているかどうかを吟味せずに導入してしまえば、ムダな投資になりかねない。限られた財源で成果の出るDXを実現するには、職員がデジタル技術を手段として捉え、適切に扱う能力を身につけることが大切なのです。
―「デジタル技術を手段として扱う能力」とは、具体的にどのようなものですか。
既存のツールやスキルを用いて業務上の課題を解決したり、現場の課題を的確にベンダーに伝え、適切なソリューションを調達したりする能力です。いずれも、デジタルの専門知識はいりませんが、「この課題を解決するために、どのような手段がありえるのか」と、課題を中心に最適解を探る姿勢が求められます。もしもいままで、「この手段を導入しなければ課題は解決できない」と、手段を中心に考える習慣ができてしまっているのならば、それとは逆のアプローチを行う訓練が必要になるでしょう。そこで当社では、実践を通じて職員をDXの担い手に育成する支援を行っています。
―具体的に、どういった支援を行っているのですか。
たとえば、「行政手続きの電子化支援」では、表計算ソフトをベースに申請システムを簡単に作成できるツールを提供します。これにより職員は、基本的なPCスキルを用いるだけで、住民向けの手続き案内や申請書類の配信、電子申請などの仕組みを、庁内や住民のニーズに合わせて内製できます。このツールを活用すれば、デジタル化を進めるだけでなく、自ら課題解決を図る意識の醸成を職員に促せるでしょう。当社ではこのほか、「情報システムの調達業務支援」を通じ、DX人材を育成する支援にも取り組んでいます。
仕様書の作成を通じ、システム調達の質を高める
―調達業務の支援が人材育成につながるのはなぜですか。
情報システムを「課題解決の手段」と捉えるのならば、調達仕様書の作成こそが自分たちの課題を明らかにする機会であり、ベンダーと一緒に課題を解決する契機とすべきだからです。ここで大切なのは、現場の真の課題に気づき、それを適切に言語化する能力です。当社はこの能力を効率的に育成するツールとノウハウがあります。仕様書作成における一部の煩雑な作業はAIが支援するため、職員は業務負担を軽減しながら、調達業務全体の質を高められるのです。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
CIO補佐官や情報政策アドバイザーとして多くの自治体を支援してきた実績を活かし、DXの担い手となる職員の能力を底上げしていきたいですね。当社では、情報セキュリティや働き方改革といった幅広い課題をテーマに、自治体がDXに向けて自走できるようになるまで伴走します。DXにまつわる課題を抱えている自治体のみなさんは、ぜひご連絡ください。
設立 | 平成29年12月 |
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資本金 | 415万円 |
事業内容 | 自治体ICT支援事業(自治体CIO補佐官業務)、自治体業務改革支援(コンサルティング)、自治体向けソフトウェア・サービス開発 |
URL | https://www.kawaguchi.com/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-6715-2685 (平日9:00〜17:00) |
お問い合わせメールアドレス | sales@kawaguchi.com |