全国の自治体トップ・職員・議員に贈る 自治体の"経営力"を上げる情報サイト

「書かせない、待たせない」窓口が、自治体DXを強力に推進する

f:id:jichitaitsushin:20210917154618j:plain

福岡県宮若市の取り組み

住民窓口サービスのデジタル化

「書かせない、待たせない」窓口が、自治体DXを強力に推進する

宮若市
総務課 情報政策担当課長 吉田 哲也
[提供] 株式会社電通国際情報サービス

※下記は自治体通信 Vol.33(2021年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


行政におけるDX推進の機運が高まりを見せるなか、住民窓口サービスのデジタル化に目を向ける自治体は多い。宮若市(福岡県)もそうした自治体のひとつで、新たなシステムを構築し、住民に書かせず、住民を待たせない窓口を実現。さらにそのシステムは、職員の業務効率も高めるという。同市担当者に、新たなシステムを構築した経緯や今後の運用方針などについて聞いた。

[宮若市] ■人口:2万7,225人(令和3年7月末日現在) ■世帯数:1万3,289世帯(令和3年7月末日現在) ■予算規模:254億6,781万7,000円(令和3年度当初) ■面積:139.99km2 ■概要:福岡市と北九州市の両政令指定都市の中間に位置する。平成18年に、宮田町と若宮町が合併して誕生した。トヨタ自動車九州株式会社をはじめ、自動車関連企業の工場が数多く立地する。市の中央を東へ貫流する犬鳴川と八木山川に流れ込む支流があり、その流域に農地や市街地が形成され、水と緑に恵まれた地域となっている。
f:id:jichitaitsushin:20210917155206j:plain
宮若市
総務課 情報政策担当課長
吉田 哲也 よしだ てつや

市民サービスを、もう一歩前進させる窓口へ

―窓口サービスにおいて、新たなシステムを構築するにいたった経緯を教えてください。

 当市では、住民が申請窓口ごとに氏名、住所、生年月日などの基本情報を何度も書かずに済むよう、昨年5月から「総合支援型窓口」を導入しています。ひとつの窓口で住民の基本情報をヒアリングしてシステムに入力すれば、申請手続きの担当部署すべてにその情報が共有される仕組みです。住民からは、「待ち時間が短くなった」と好評です。ただ、転出入の多い年度末前後といった多くの住民が来庁するときは、どうしても待ち時間が長くなる。そこで、市民サービスをもう一歩前進させようと、いつでも待ち時間を短縮できる新たなシステムを検討したのです。

―どのように検討したのですか。

 ほかの自治体事例を参考にし、住民が申請書類をオンライン上で作成できるシステムに注目しました。画面上のフォームから入力した情報が、申請書類に反映される仕組みです。入力後、画面上に表示される二次元コードを庁内に設置した専用端末にかざせば、入力内容が反映された状態で申請書類が出力されるのです。住民はその書類を担当部署に提出すればよく、窓口でヒアリングを受ける必要がありません。このシステムの導入に向けて複数の会社に相談した際、電通国際情報サービスから、さらに一歩進んだ提案を受けました。

―どのような提案でしょう。

 二次元コードにおさめられた情報を、紙に出力せずに、RPAを使ってデータのまま担当部署のシステムに取り込んではどうか、という提案でした。そうすれば、申請書類をデータ化するための入力作業がなくなり、職員の業務負担が軽くなります。いわば、「住民の利便性向上」と「職員の業務効率化」を、同時に実現できるのです。効果検証のために、まずは年間約1,600件の申請がある児童手当現況届の手続きに導入することを決め、運用を開始しました。

試算では年間100時間削減

―どれほどの効果が期待できるでしょうか。

 職員は、確認を含め1件あたり7~8分かかっていた申請項目の入力作業がほぼなくなり、約半分の申請がシステム経由になれば、年間100時間程度の業務効率化につながります。かりにシステムの利用が苦手な住民は、いままでどおり窓口を活用していただければ、手続きの「分散化」が図れるため、それだけでも「待ち時間問題」はかなり解消できるでしょう。

 ほかの申請手続きにもこのシステムを導入すれば、業務効率化で生まれる多くの時間を、住民サービスの拡充に向けた検討・実施の時間にあてられます。職員の業務効率化まで一気通貫で実現する今回のシステムは、住民に書かせず、待たせない窓口を進化させるもので、自治体がDXを推進するうえで強力な基盤になると考えています。

f:id:jichitaitsushin:20210917155838j:plain


支援企業の視点

職員の業務効率化も実現してこそ、窓口サービスのデジタル化は進む

株式会社電通国際情報サービス
Xイノベーション本部 スマートソサエティセンター 部長 馬場 宏和
[提供] 株式会社電通国際情報サービス
f:id:jichitaitsushin:20210917160221j:plain
株式会社電通国際情報サービス
Xイノベーション本部 スマートソサエティセンター 部長
馬場 宏和 ばんば ひろかず

―窓口サービスのデジタル化に向けた注意点はなんでしょう。

 「住民の利便性向上」はもちろん、「職員の業務効率化」を図ることにも意識を向けるべきです。「当然のこと」と思われがちですが、じつは、実現できていないケースは多いです。たとえば、オンライン上で住民票の申請ができるシステムを構築したとしても、住民からの申請データを紙に出力し直して、職員が再度、住民票の交付システムへ手作業で入力し直すといった作業は珍しくありません。デジタル化によって得られる恩恵を、住民は享受できても職員が享受できなければ、DXの推進は難しいと言えます。

―良い方法はありますか。

 住民の利便性向上と職員の業務効率化を、同時に実現する窓口申請システムを選べばいいのです。その点、当社が開発したシステムは、住民は自宅や職場から好きなときにオンライン申請できるため、庁舎に来て申請書に記入したり、窓口で待ったりするための時間をなくせます。一方、職員は、二次元コードを介して申請情報をデジタルデータのまま活用できます。先ほどの住民票の例で言えば、手作業で入力し直さなくて済むため、業務効率が格段にあがるのです。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 自治体に対しては、スモールスタートの支援を基本としています。たとえば窓口申請システムにおいても、いまもっとも申請件数が多い窓口業務をデジタル化し、その効果を検証後にほかの窓口業務へ適用することもできます。窓口サービスのデジタル化を考えている自治体の方は、ぜひご連絡ください。

馬場 宏和 (ばんば ひろかず) プロフィール
昭和43年、京都府生まれ。株式会社電通国際情報サービスに入社後、さまざまな業務を担当。その後、関連会社へ出向し、経営に携わる。帰任後は、国および自治体向けプロジェクトや地方創生コンサルティングに従事。
株式会社電通国際情報サービス
設立 昭和50年12月
資本金 81億8,050万円
売上高 1,086億7,900万円(令和2年12月期)
従業員数 3,117人(令和2年12月末現在)
事業内容 コンサルティングサービス、受託システム開発、ソフトウェア製品(自社開発ソフトウェア)の販売・サポート、ソフトウェア商品(国内外ベンダーのソフトウェア)の販売・サポート、アウトソーシング・運用保守サービス、情報機器販売、その他
URL https://www.isid.co.jp/
お問い合わせメールアドレス g-jichitai-info@group.isid.co.jp