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畑で生まれる隠れ食品ロスを削減し、SDGsと地域活性を同時に実現

民間企業の取り組み

地域課題を解決するSDGs

畑で生まれる隠れ食品ロスを削減し、SDGsと地域活性を同時に実現

株式会社hakken Project Manager 田村 聡
[提供]株式会社hakken

※下記は自治体通信 Vol.33(2021年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


近年、SDGsと地域活性化を関連づけた取り組みが注目されており、国も積極的な推進を図っている。ただ、「どう取り組んでいいかわからない」という自治体も少なくない。そんななか、フードロス削減に取り組むhakkenの田村氏は、「地域の身近な課題からSDGsに取り組むことは可能」と話す。具体的にどのような取り組みなのか。同氏に、詳細を聞いた。


株式会社hakken
Project Manager
田村 聡 たむら さとし

消費者に見えないところで、野菜が日々捨てられている

―SDGsにつなげられる地域の身近な課題とはどのようなものですか。

 課題のひとつに、廃棄野菜削減があげられると思います。廃棄野菜と言うと、「スーパーで売れ残った野菜」や「各家庭で使われずに腐った野菜」は想像しやすいと思います。ただ、色や形が規格外だったりキズがついたりして、生産段階で捨てられる野菜。さらに、特定の野菜を大きく育てるために間引かれた野菜や、見栄えをよくするために取り除かれた外葉など、消費者の目に届かない段階でも大量の野菜が廃棄されています。

―どのくらいの規模なのでしょう。

 出荷後にスーパーや家庭で廃棄される食品ロスは、年間600万トンと推計されています。「売れ残る野菜をなんとかしよう」という取り組みはわかりやすく、生鮮野菜の産直配送やジャムやジュースへの加工などに取り組む事業者は増えています。しかし、生産段階での廃棄野菜は、回収および加工がしやすいように整える手間や輸送コストがかかるため、そこをメインに取り組むプレイヤーはほぼいません。こうした生産段階での廃棄野菜はなぜか食品ロス集計には含まれず、推定で生産量の3割、すなわち400万トン程度あると言われています。

 そこで当社は、この生産段階で生まれる廃棄野菜に注目し、アップサイクルすべく事業を立ち上げました。それが、「乾燥廃棄やさいプロジェクト『UNDR12』」です。

―詳細を教えてください。

 生産地で回収した廃棄される野菜を、温風乾燥機を使って水分を抜き、付加価値をつけて商品化する取り組みです。ポイントは、大規模工場をつくって中央集約型で生産するのではなく、hakkenのスタッフが現地に駐在し、そこで加工所を設けて生産する点。野菜が腐敗する前に乾燥でき、長期保管が可能です。高温でまとめて乾燥するので、色や形をそろえる必要がありません。そのためオペレーションが最小限に抑えられますし、乾燥させてしまえば重量は約10分の1になるので、商品の輸送コストも抑えられるのです。

 また、外部から来た私たちが「廃棄野菜をください」といきなりお願いしても、うまくいくとは思えません。そこで地元の企業や自治体の協力を得て、地域に根ざした事業展開を大前提としています。

賛同を得られた地域には、できるかぎり還元する

―自治体にはどのようなメリットがありますか。

 当社が廃棄野菜を買い取るため、農家や出荷業者は廃棄に支払っていたコストが一転して収入になるほか、乾燥野菜の2次加工を地元企業に依頼すれば、地域経済の活性化につながります。また、商品化されたものをふるさと納税の返礼品にできますし、hakkenが現地に拠点を構えることで企業誘致にもつながります。加工所とオフィスは、できれば空家や旧倉庫などの遊休施設の活用をしたいと考えており、加工所では現地スタッフを採用するため、雇用も生まれます。さらに、加工所見学やワークショップを通じた情操教育も行っていきたいです。

 私たちの取り組みは、地元の協力なくして成り立ちません。そのため、賛同を得られた地域に対し、当社ができることはなんでも還元したいと考えています。

―今後における自治体との協働方針を教えてください。

 当社に賛同してもらえる自治体を増やしていきたいと考えています。私たちの目的は、事業としての成立はもちろん、廃棄野菜削減によるフードロス対策。そして、伴走する地域の「中の人」になって、固有の課題もあわせて解決することです。私たちが地元の輪に入り二人三脚で取り組むことで、フードロス解決と地域活性化が同時に進行していく「地方×スタートアップ」のロールモデルになれると思っています。興味のある方は、ぜひ気軽にご連絡ください。

 また、その一環として10月8日〜11月22日に「UNDR12」の商品を広げるクラウドファンディングを行います。
ご興味ある方はご覧くださいませ。
『おいしいに、犠牲を伴わない社会へ。」廃棄される野菜を乾燥して、フードロス削減! 』
https://camp-fire.jp/projects/view/432966

田村 聡 (たむら さとし) プロフィール
平成4年、東京都生まれ。平成28年にクイーンズランド大学を卒業後、ソウルドアウト株式会社に入社。コンサルおよび営業業務を担当する。令和3年、株式会社hakkenに入社。「乾燥廃棄やさいプロジェクト『UNDR12』」のプロジェクトマネージャーとして、廃棄野菜の回収から乾燥、商品開発、プロジェクトの進行管理を担当している。
株式会社hakken
代表 竹井 淳平
設立 令和元年10月
資本金 400万円
従業員数 7人
事業内容 Webアプリケーション開発、「乾燥廃棄やさいプロジェクト『UNDR12』」事業
URL https://about.hakken.io/
お問い合わせ電話番号 075-555-3413(平日9:00〜18:00)
お問い合わせメールアドレス info@hakken.io

広島県安芸高田市の取り組み

生産者の課題にマッチしているため、協働がスムーズに進んでいる

安芸高田市 産業振興部 商工観光課 商工振興 企業・サテライトオフィス誘致係 課長補佐 小野 光基
[提供]株式会社hakken
[安芸高田市] ■人口:2万7,728人(令和3年8月1日現在)■世帯数:1万3,521世帯(令和3年8月1日現在)■予算規模:309億6,075万6,000円(令和3年度当初)■面積:537.75km2
安芸高田市
産業振興部 商工観光課 商工振興 企業・サテライトオフィス誘致係 課長補佐
小野 光基 おの こうき

 当市では、積極的なサテライトオフィスの誘致を行っており、現在では9社を誘致。hakken社は、7例目となります。地元の生産者に外部企業からの提案を受け入れてもらうには、経験上かなり苦労するもの。ただ、廃棄野菜を再生する本企画は生産者側の課題とマッチしており、協働がスムーズに進んでいます。

 フードロスの削減は世界規模の大きなアジェンダですが、小さな規模から始め、少しでも意識を変える人や地域を増やしていけるよう、積極的にかかわっていきたいと考えています。


熊本県高森町の取り組み

農家の所得向上および、返礼品の目玉になることを期待

高森町 農林政策課 農林振興係 係長 村山 広樹
[提供]株式会社hakken
[高森町] ■人口:6,170人(令和3年7月末現在)■世帯数:2,911世帯(令和3年7月末現在)■予算規模:53億2,400万円(令和3年度当初)■面積:175.06km2
高森町
農林政策課 農林振興係 係長
村山 広樹 むらやま ひろき

 まず、hakken社の「地方の農業活性化を取り入れたフードロス削減や子どもの貧困解消に取り組みたい」という考えに感銘を受けました。また、当町の「同社の全国展開に向けた、自治体×民間のスタートアップのモデルとして活用したい」との想いから、協働で取り組むことになりました。

 「フードロス削減」「子どもの貧困解消」の推進はもちろん、廃棄される野菜が少しでも有効利用され、農家の所得向上につながること。また、加工された商品が、ふるさと納税における返礼品の目玉となることを期待しています。