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災害時の救助活動で違いがわかる「途切れない」移動式無線システム

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群馬県富岡市の取り組み

IP無線による災害対策強化

災害時の救助活動で違いがわかる「途切れない」移動式無線システム

富岡市
総務部 危機管理課 危機管理係 係長 岩井 一浩
総務部 危機管理課 危機管理係(消防団事務) 今井 嵐丸
[提供]トム通信工業株式会社

※下記は自治体通信 Vol.32(2021年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


いま多くの自治体では、災害時における救助活動の機動力を高めるために、移動式無線システムの機能を強化する動きが見られる。富岡市(群馬県)もそういった自治体の1つで、これまでの整備内容を見直し、新たな移動式無線システムを導入した。担当者のふたりに、導入にいたった経緯や得られた効果を聞いた。

[富岡市] ■人口:4万7,285人(令和3年7月1日現在) ■世帯数:2万376世帯(令和3年7月1日現在)■予算規模:340億751万円(令和3年度当初) ■面積:122.85km2 ■概要:群馬県の南西部に位置する。明治5年に建設され、世界文化遺産に登録されている「富岡製糸場」や、日本三奇勝に数えられる名勝「妙義山」のあるまちとして知られる。
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富岡市
総務部 危機管理課 危機管理係 係長
岩井 一浩 いわい かずひろ
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富岡市
総務部 危機管理課 危機管理係(消防団事務)
今井 嵐丸 いまい らんまる

「通話が途中で切れてしまう」移動式無線につきまとう課題

―新たな移動式無線システムを導入するにいたった経緯を聞かせてください。

岩井 当市では、アナログ方式による同報系の防災行政無線を使っていたなか、国の方針に対応するため、2年ほど前にデジタル方式への移行を決めました。しかし、当市が選んだ280MHz帯では、従来運用していたように、同報系の基地局を移動式無線システムにも活用することはできないとわかったのです。移動式無線システムは、災害対策を迅速に行ううえでどうしても必要だと感じていましたので、当市では別の方法で移動式無線システムを整備することにしました。整備にあたっては、これまでの移動式無線システムの運用で感じていた課題も一緒に解決することを考えました。

―どのような課題でしょう。

今井 ときに「通話が途中で切れてしまう」という課題です。災害発生場所が、基地局のある庁舎から遠い距離にあったり、山間部だったりする場合、電波が届きにくくなることがありました。救助活動をより迅速に進め、被害の拡大をいち早く食い止めるためには、どのような場所でも迅速に現場と情報連携できることが理想です。

岩井 もちろん、基地局を各所に増設する方法もありますが、市内全域を網羅するためには当市にとって費用負担が大きすぎます。そうしたなか、IP無線の話を聞きました。

―それはどのようなものですか。

岩井 携帯電話の通信網を活用した無線システムです。携帯電話がつながる場所ならどこでも通話ができるため、「不感地帯」の問題を解消できると考えました。実際に、従来つながりにくいとされていた山間部で試験運用したところ、問題なくつながりました。しかも、自前で基地局を設けなくていい。低コストで、途切れる心配のない通話環境を整備できるわけです。また、回線交換方式とは違ったパケット方式による回線なので、輻輳*1時でも通信規制がかかりにくい点も魅力に感じ、令和2年にIP無線の採用を決定。通話可能エリアや費用負担などを総合的に評価した結果、NTTドコモの『ドコモビジネストランシーバ』を導入しました。

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GPSを活用した指示系統で、機動力はさらに高まる

―運用後の状況について聞かせてください。

今井 携帯型の無線機を30台、消防車両に搭載する車載型を16台導入していますが、これまでの活用で通話の途切れはなく、「音質がクリアで、指示がはっきり聞こえる」という報告があがっています。

岩井 今回の『ドコモビジネストランシーバ』には、オプションとしてGPSを活用した位置管理機能もあると聞いています。この機能を活用すれば、消防団員や職員がいる場所をリアルタイムで把握できます。そのため、災害状況に応じた的確な指示を現場に出すことができ、機動力の高い対応が可能になるでしょう。今後の活用について、前向きに検討していきます。


支援企業の視点

安定した通話環境を確保するには、携帯通信網を使うIP無線が有効

トム通信工業株式会社 スマートウェーブ・ テレコミュニケーションズ 営業本部 営業課長 杉山 拓也
[提供]トム通信工業株式会社

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トム通信工業株式会社
スマートウェーブ・ テレコミュニケーションズ 営業本部 営業課長
杉山 拓也 すぎやま たくや

―自治体ではIP無線の導入機運は高まっていますか。

 確実に高まっています。現在の移動式無線システムについて、「通話が途切れる」「通話できないエリアがある」といった課題を感じる自治体から、当社に多くの問い合わせが入っています。通話環境を整えるために基地局を増設しようとすれば大きな費用負担となるため、悩んでいる自治体がとても多いようです。そうしたなか、IP無線は、携帯キャリアの通信網を活用し、自前で基地局を用意することなく通話環境を改善できるため、注目が集まっているのです。

―IP無線を選定する際のポイントはなんでしょう。

 「システム運用の安定性」です。ここが弱ければ、せっかく改善できた通話環境を活かせませんから。その点、当社は半世紀以上にわたり、災害時の過酷な環境下でも安定した通話を実現する無線システムの開発に、取り組んできました。当社のIP無線機は、『ドコモビジネストランシーバ』としてNTTドコモから現在唯一採用されている機器です。通信に必要なIP無線機用サーバ設備をNTTドコモ内で管理していることも、安定した通信環境の実現につながっています。

―今後、どのように自治体を支援していきますか。

 NTTドコモの通信エリアであればどこでも通話可能なので、近隣自治体を含めた広域防災連携の際も活用しやすいシステムとなっています。移動式無線システムの整備で災害対策の強化を考えている自治体のみなさんは、ぜひご連絡ください。

杉山 拓也 (すぎやま たくや) プロフィール
昭和47年、愛知県生まれ。令和元年、トム通信工業株式会社 スマートウェーブ・テレコミュニケーションズ社へ入社。おもに株式会社NTTドコモとの協業ビジネス担当および東日本エリアへの営業として、IP無線機を担当する。
トム通信工業株式会社
設立 昭和38年11月
資本金 8,400万円
売上高 123億円(令和2年度)
従業員数 452人(令和3年4月1日現在)
事業内容 移動体通信機器、無線通信応用機器、映像監視機器、情報処理機器、機器などの開発・設計・製造・販売・サービス、公共移動通信サービスを利用した業務用移動通信サービスの提供
URL https://www.smartw.co.jp/
お問い合わせ電話番号 045-718-5078(平日 9:00〜17:30)
Webからの問い合わせはこちら https://www.smartw.co.jp/support/contact.php

*1:※輻輳 : 通信が一度に集中することで通信ができなくなる状態