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傷病者の搬送に伴う身体的負担を、「ボタン1つ」で軽減できた

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東京消防庁の取り組み

救急隊員の業務負担軽減

傷病者の搬送に伴う身体的負担を、「ボタン1つ」で軽減できた

東京消防庁
救急部 救急管理課 計画係主任(消防司令補) 横地 雄介
池袋消防署 警防課 救急係副主任(消防士長) 石井 諒子
[提供] 日本ストライカー株式会社

ひとりでも多くの命を救える救急活動体制を強化するため、女性隊員の活躍推進や、定年退職者の再任用により、人手不足の解消を図る消防機関が増えている。こうしたなかでは、隊員が個々の体力差に不安を感じることなく、救急搬送を行える体制が求められる。これに対し、東京消防庁は、搬送時の救急隊員にかかる身体的負担を軽減するため、電動式のストレッチャーを導入している。取り組みの詳細を、同庁の横地氏と石井氏に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.32(2021年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

[東京都] ■人口:1,395万7,977人(令和3年6月1日現在) ■世帯数:720万567世帯(令和3年6月1日現在) ■予算規模:15兆1,578億7,000万円(令和3年度当初) ■面積:2,194.05km2 ■概要:江戸時代より、徳川家康の都市計画のもと、日本の中心として発展し続けてきた。行政区域には、日本の最南端である沖ノ鳥島と最東端の南鳥島が含まれる。埼玉県と千葉県、神奈川県を合わせた東京首都圏の人口は約3,500万人と日本の人口の約3割を占め、都市圏人口としては世界最大級の規模を誇る。
東京消防庁
救急部 救急管理課 計画係主任(消防司令補)
横地 雄介 よこち ゆうすけ
東京消防庁
池袋消防署 警防課 救急係副主任(消防士長)
石井 諒子 いしい りょうこ

ストレッチャーの昇降時に、体重をまったく感じない

―救急活動体制を充実させるにあたり、どのような取り組みを行っていますか。

横地 救急需要対策の強化と多様な働き方の実現に向け、救急需要が高まる平日の日中のみ隊員が勤務できる「デイタイム救急隊」を池袋消防署に配置し、令和元年に運用を始めました。これにより、救急隊の現場到着時間が短縮されたほか、子育てや介護などの事情で24時間勤務の救急隊業務への従事が難しかった職員には活躍の場が広がりました。ただ、救急需要の多い時間帯に運用していることにより、隊員の身体的負担の大きいことが課題と感じていました。

―実際にどのような負担を感じていましたか。

石井 搬送用のストレッチャーは、傷病者を乗せたり、救急車に搬出入したりするたびに、適切な高さに調整する必要があるため、傷病者の全体重がかかった担架部を引きあげる際、隊員の足腰に大きな負担がかかっていました。

横地 そうしたなかで当庁は、手元のボタンを押すだけで本体の昇降を無段階に行える「電動ストレッチャー」の存在を知りました。隊員の業務負担軽減に有効だと期待し、検討を進めた結果、ストライカー社製の「電動ストレッチャーシステム」を令和2年5月に池袋署で採用しました。

―導入により、搬送時の負担はどのように軽減されましたか。

石井 ストレッチャーの昇降時に、傷病者の体重をまったく感じなくなったうえ、救急車に収容する際の負担も軽くなりました。車両側には、専用の留め具「電動ファスナー」が設置されており、これによってストレッチャーをスムーズに押し込めるのです。実際、収容時における腕と腰、足の筋活動量は、従来型ストレッチャーの19~59%に抑えられるとの効果*1も、当庁で実証しています。このほか、「電動ストレッチャー」の活用は、傷病者の不安軽減にもつながったと考えています。

電動で昇降する安定感が、傷病者の不安軽減につながる

―それはなぜですか。

石井 従来のストレッチャーでも、傷病者に不安を与えることのないよう、細心の注意を払っていましたが、人力で操作する以上、不安定感を完全に払しょくすることは困難だったからです。それに対し、「電動ストレッチャー」ならば、機械の力で安定的に昇降し、転倒の可能性や衝撃を抑えられるため、傷病者の不安を和らげられる効果を感じています。

―今後の活用方針を聞かせてください。

横地 今年度はすでに、江戸川署と玉川署でも導入しました。今後も、各署のニーズや地域特性を踏まえ、効果的な配置先を検討していきたいです。そうすることで、育児や介護などで交替制勤務が難しい隊員がいっそう活躍できる場を広げていきたいと考えています。

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支援企業の視点

救急体制の維持に向け、搬送活動の省力化は喫緊の課題に

日本ストライカー株式会社
メディカル事業部 事業部長 髙橋 誠佳
[提供] 日本ストライカー株式会社
日本ストライカー株式会社
メディカル事業部 事業部長
髙橋 誠佳 たかはし まさよし

―救急隊員の業務負担軽減に関心をもつ消防機関は増えているのですか。

 はい。特に救急隊員の人手不足が深刻な地域では、業務負担の軽減は関心の高いテーマです。今後は、自治体職員や消防団員が「准救急隊員」として救急出動するケースが増えると予想され、女性や定年退職者を任用する機運も高まるでしょう。そうなると、隊員が個々の体力差に不安を感じることなく、救急搬送活動を行える体制づくりが課題となります。そこで当社は、隊員個々の体力差を技術の力で補う「電動ストレッチャーシステム」を提案し、こうした課題の解決を支援しています。

―普及は進んでいますか。

 国内ではようやく認知が高まってきた段階ですが、欧米ではすでに普及が進んでいます。国によっては、隊員の身体的負担軽減により労働寿命が延伸したというデータ*2もあります。「電動ストレッチャー」を救急車に収容するには、専用の「電動ファスナー」を車両に実装する必要がありますが、日本でも自動車メーカーとの協業が進み、これらを提供できる体制が整ってきました。これにより、国内でも「電動ストレッチャーシステム」の普及が進むと期待しています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 日本が誇る24時間365日の救急医療体制を維持するには、業務の自動化や省力化が課題となります。当社では、「電動ストレッチャー」の提供を通じ、そうした課題の解決を支えていきます。関心のある自治体のみなさんは、ぜひご連絡ください。

髙橋 誠佳 (たかはし まさよし) プロフィール
昭和51年、東京都生まれ。大学卒業後、国内大手医療機器メーカーを経て、令和元年、日本ストライカー株式会社に入社。以来、同社メディカル事業部の事業部長として救急・集中治療領域の事業を率いる。
日本ストライカー株式会社
設立 昭和21年1月
資本金 9,530万円
従業員数 約900人(令和2年12月末現在)
事業内容 医療機器の製造・輸入販売
URL https://www.stryker.com/jp/
お問い合わせ電話番号 0120-715-545 (平日9:00~17:00)
お問い合わせメールアドレス RS_PCJ_lifepak-hp@stryker.com
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*1:※東京消防庁 消防技術安全所 活動安全課が実施した『電動ストレッチャーの使用に関する検証』による

*2:※平成28年、米国ストライカー社の調査によるカナダ・ヨーク地域の事例