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預貯金調査のデジタル化で、徴収率の向上へつなげる

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宮城県大崎市の取り組み

預貯金照会業務の効率化

預貯金調査のデジタル化で、徴収率の向上へつなげる

大崎市 総務部 納税課 主事 山口 あかね
[提供]日本ATM株式会社

※下記は自治体通信 Vol.32(2021年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


行政サービスの財政的な基盤となっているのは、言うまでもなく住民から集める税金である。したがって、税金の徴収率向上は自治体の責務であり、そのための滞納整理は極めて重要な業務となる。そうしたなか、大崎市(宮城県)では、滞納整理への第一歩となる預貯金調査業務をデジタル化し、徴収率向上につなげる取り組みを開始している。同市担当者に、詳細を聞いた。

[大崎市] ■人口:12万7,483人(令和3年6月1日現在) ■世帯数:5万2,348世帯(令和3年6月1日現在) ■予算規模:1,395億6,739万9,000円(令和3年度当初)■面積:796.81km2 ■概要:宮城県の北西部に位置し、東は遠田郡と登米市、西は山形県と秋田県、南は黒川郡と宮城郡、加美郡、北は栗原市に接している。平成18年、1市6町が合併し、現在の大崎市が誕生した。奥羽山脈から江合川と鳴瀬川の豊かな流れによって形成された、広大で肥沃な平野「大崎耕土」を有し、四季折々の食材や天然資源、地域文化に恵まれている。
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大崎市
総務部 納税課 主事
山口 あかね やまぐち あかね

手作業による負担が重く、滞納整理が後手に

―大崎市における徴収率向上の取り組みを教えてください。

 当市では、口座振替の推進をはじめ、コンビニ納付の拡充、キャッシュレス対応といった納付環境の充実に努め、コロナ禍でも可能な滞納整理に力を入れています。滞納整理事務においては、滞納者の整理方針を決定づける要素として「財産調査」が非常に重要です。なかでも、預貯金は差押財産全体に占める割合が高く、その調査をどれだけ行えるかが徴収率に大きく影響します。従来、年間数千件の預貯金調査を行っていましたが、滞納者すべてを網羅することはできず、滞納整理が後手にまわってしまうこともありました。

―これまで、預貯金調査はどのように行っていたのでしょう。

 金融機関に対しておもに書面を郵送し、調査を依頼していました。しかし、依頼できるのは一度に40件ほどと調査数に上限があり、しかも回答までに2週間から1ヵ月程度を要するため、とても効率的とは言えませんでした。そのうえ、受けた回答の入力作業は3人がかりで行わなければならないなど、一連の工程に手作業が多いことも負担に感じていました。

 政府の方針もあり、業務のデジタル化は以前から検討していましたが、取引相手の七十七銀行が預貯金照会システム『DAIS』に参加したこと、さらにコロナ禍での環境変化を受け、当市も『DAIS』の利用を通じて預貯金照会業務をデジタル化することを決めました。

―どういった仕組みなのですか。

 従来、複数の金融機関に書面で行っていた預貯金照会を、共通フォーマットをもとにデジタル化し、それらを『DAIS』が一括して仲介してくれるという仕組みです。一連の照会業務をペーパーレス化でき、仕様の統一とデジタル化の効果により、自治体の業務負荷を大きく軽減させることができます。

預貯金調査の実施件数は、導入後10倍に増加

―導入により、どのような効果を実感していますか。

 当市では納税課が月1回のペースで預貯金の照会を行っていますが、数日で回答が返ってくるため、差押えを実行するまでの時間が大幅に短縮され、スピード感のある滞納整理ができていると感じています。実際、銀行への預貯金調査は、令和元年度は2,592件にとどまっていました。これが『DAIS』導入後の令和2年度には、じつに10倍の2万2,562件に。滞納者すべてを網羅した預金調査の結果、コロナ禍の影響を受けている人と受けていない人を明らかにすることができ、預金差押実施件数も導入前と比較するとおよそ2倍の件数を実施することができました。

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―今後の活用方針を聞かせてください。

 財産調査の第一段階である預貯金調査にかかる時間が短縮できるようになったため、売掛金や給与、生命保険など調査対象を広げる余地が生まれました。これを、徴収率の向上につなげていきたいと考えています。今後は『DAIS』を導入する金融機関が増えていくようなので、滞納整理はさらに効率化していくものと期待しています。


支援企業の視点

滞納整理業務を効率化できれば、徴収率向上は実現できる

日本ATM株式会社 ソフトウェアソリューション事業本部 事業推進部 第一課 課長 原 洋輔
[提供]日本ATM株式会社

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日本ATM株式会社
ソフトウェアソリューション事業本部 事業推進部 第一課 課長
原 洋輔 はら ようすけ

―自治体の徴税業務をめぐる課題とはなんですか。

 滞納整理業務のうち、預貯金照会を中心とする財産調査の業務負担が課題となっています。多くの自治体は金融機関に紙の書類を郵送するカタチで調査を依頼しているのが現状で、金融機関ごとに異なるフォーマットで書類を作成するといった事務作業が煩雑になっているのです。また、自治体と金融機関との間で個別に行われている交渉や運用ルールの調整にかかる負担や、郵送・保管時に個人情報が紛失・漏えいするリスクを伴う点も課題です。そこで、これらの課題を解決する仕組みとして、当社では預貯金照会システム『DAIS』を提案しています。

―特徴を教えてください。

 『DAIS』では、照会ファイルを統一し、自治体と金融機関のやり取りをデジタル化します。行政機関はたった1つのファイルを作成・登録するだけで、複数の金融機関に対して一斉に照会できるのです。デジタル化により金融機関も迅速な回答が可能になるため、自治体はその調査結果をもとに、滞納発生から完結までの期間を短縮できます。滞納整理業務全体の効率化に寄与するサービスだと確信しています。また、LGWAN-ASPでのサービス提供ですので、安全なネットワークで情報を送受信でき、導入にも初期投資が抑えられます。現在、『DAIS』は約70の行政機関に導入され、照会可能な金融機関も順調に増えています。今後も多くの機関に導入してもらえるようサービスの強化を進め、自治体の利便性向上に貢献していきたいですね。

原 洋輔 (はら ようすけ) プロフィール
昭和57年生まれ、東京都出身。平成20年、日本ATM株式会社に入社。金融機関向けシステム開発、新規事業企画を担当後、令和2年より現職。おもに『DAIS』の事業運営、システム開発を担う。
日本ATM株式会社
設立 平成11年1月
資本金 4億8,000万円
売上高 約285億円(令和2年度)
従業員数 3,273人(令和3年1月現在:連結、受入出向者および派遣社員を含む)
事業内容 アウトソーシングサービス、調査・コンサルティングサービス、システムソリューションなど
URL https://www.atmj-g.com/
お問い合わせ電話番号 03-3513-4066(平日9:00~16:00)
お問い合わせメールアドレス mlj_dais@atmj.co.jp