民間企業の取り組み
映像コミュニケーションの活用
「自治体DX」による業務革新、成功の要諦は「映像の活用」にあり
執行役員 ビジネスソリューション本部 本部長 柿崎 重臣
最高映像ソリューション事業責任者 ビジネスソリューション本部 副本部長 兼
ソリューションエンジニアリング部長 後藤 雅人
※下記は自治体通信 Vol.31(2021年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
今般のコロナ禍による対面コミュニケーションの制約によって、各自治体ではテレワークをはじめとするDX推進が本格的に迫られている。そうしたなか、「映像の活用こそ、自治体業務のDX推進のカギになる」と指摘するのは、エヌ・ティ・ティ・ビズリンク。同社は、映像ソリューションの導入支援で公民問わず多くの事例を有する。同社担当者に、映像活用の効果について詳しく聞いた。


DXが進まない背景にある、自治体職員の実感や不満
―自治体におけるDX推進の状況をどのように分析していますか。
柿崎 昨年末に公表された総務省の調査*1を見ても、自治体のDXは十分に進んでいないことが懸念されます。たとえば、コロナ禍で自治体にも本格的な導入が迫られているテレワークですが、都道府県・政令指定都市の導入率は86.6%であるのに対し、市区町村ではわずか3%にとどまっています。しかもこの数字には、電話やメールのみによる必要最小限のコミュニケーションしかとられていないテレワークも含まれているでしょう。業務効率や行政サービスの改善につなげることは、まだ十分にできていないのが現状と言えます。
―DXの推進を業務効率や行政サービスの改善につなげるには、どのような施策が必要でしょう。
後藤 多くの自治体や民間企業のDX推進を支援してきた経験から言えるのは、「映像の活用」が重要なカギになるということです。映像を活用してヒトとヒトをつなぐことでワクワク感がくわわり、新たな発想や価値が生まれる。この新しい発想が重要なのです。コロナ禍で従来の対面コミュニケーションが制約を受けるなか、現在多くの自治体では「顔が見えない遠隔コミュニケーションは、量・質ともに低下してしまう」という不安が顕在化している状況です。
柿崎 実際、「メラビアンの法則*2」が示す通り、視覚が与える情報量は、文字や音声よりもずっと多く、表情や仕草がしっかり見えることが共感をあたえ、安心につながります。これは、職員同士のコミュニケーションだけでなく、住民の相談に応じる場面においてこそ、非常に重要な点となります。映像を通じてお互いの表情、仕草を確認しながら顔の見えるコミュニケーションができれば、行政サービスの質を落とすようなことはなく、むしろDX推進によって新しい価値を創造できるのです。
自治体現場での映像活用、有効な3つの領域
―映像を有効に活用していくうえで、大事なことはなんでしょう。
柿崎 映像ソリューションにおいては、「品質」「セキュリティ」「サポート」という3つのポイントが大事だと考えています。安定した通信品質は、映像活用の大前提になりますが、特に機密性の高い情報を多く扱う自治体では、いかにセキュアな環境を構築し、住民のプライバシーを守るかがより重要になります。そのうえで、さまざまな活用シーンにおいて、利用者のITリテラシーによらず、誰でも安心して頼れる充実したサポートが受けられるならば、自治体においてもDX施策は間違いなく浸透するでしょう。
―具体的に、自治体ではどのような場面で映像活用が有効ですか。
後藤 当社では、おもに3つの領域において、映像ソリューションの活用を提案しています。1つは、「ワークプレイスのDX」です。代表的なものが映像コミュニケーションサービスの、職員同士のコミュニケーションへの活用です。もう1つは、「住民接点のDX」。コロナ禍ではより一層求められる住民からの問い合わせ対応での活用です。そして、最後に「現場支援のDX」。これは、映像を通じて、遠隔地での業務に携わる職員をさまざまなかたちで支援し、現場の業務効率を高める、新しい自治体向けソリューションと言えます。
―それぞれのソリューションについて、詳しく教えてください。
柿崎 「ワークプレイスのDX」の一環として、映像コミュニケーションサービスを導入する自治体は、いま急速に増えています。しかし一方で、住民の個人情報などの機微な情報を扱う業務においては、インターネットベースのサービスや海外サービスを導入することに対し悩まれていたり、不安を抱えながらも利用していたりするケースがじつは多いのです。そこで当社では、インターネットを介さない閉域ネットワークや、なりすましを防止する個人認証機能などにより、安心して映像コミュニケーションを利用できる環境を提供しています。ここでは、誰かがホストになったり、個々の端末にソフトウェアをダウンロードしたりする必要はありません。セキュアな品質を担保したうえで、誰もがどこからでも自由に入れる。いわゆる、「バーチャル集会所」のような環境を提供しています。
離島と本土を結ぶ、住民対応ですでに活用
―自治体ごとに、オンプレミスで環境を構築していくと。
後藤 いいえ、閉域ネットワークの利用ではあっても、NTTビズリンクの堅牢なクラウドサービスを使えます。オンプレミスに比べ構築までのリードタイムが短く、数量の増減やオプション追加などフレキシブルに利用できます。他社のテレビ会議システムとも接続できるうえ、専用ヘルプデスクでの手厚いサポートが受けられるなど、利用者のITリテラシーを問わずに使えるのも特徴です。導入に際しては、ネットワーク環境をはじめ庁内の設備・環境を事前に精査し、高精細で安定した映像品質を担保できるのも、当社ソリューションの特徴です。
―「住民接点のDX」とは、どのようなものでしょう。
後藤 自治体がテレワークに移行するにあたり、大きな障壁となるのが、住民への電話対応や窓口対応です。これからは、職員が庁外からでも映像や音声、SNSなど複数の手段で相談を受けられる環境の構築が必要になります。そこで当社では、小規模から利用できるクラウド型のCTI*3を提供し、コロナ禍で逼迫が続く自治体の住民窓口対応を支援しています。小規模かつ短期間で利用が開始できるのが特徴で、緊急で窓口を用意しなければならない自治体をはじめ、現在多くの引き合いをいただいています。ここに映像を組み合わせることで、遠隔地の住民からの相談や問い合わせにきめ細かく対応できるようになるでしょう。
すでに、離島にある出張所の窓口と本土にある本庁舎とを接続し、住民の遠隔相談に活用されている事例があります。24時間365日対応のヘルプデスクも提供しており、不具合の発生にも万全を期した対応を提供しています。
できなかったことを実現し、楽しめる業務革新を
―「現場支援のDX」についても、詳しく教えてください。
後藤 これは、VR/ARといった臨場感ある映像での遠隔コミュニケーションを、自治体の現場業務に活用するソリューションです。具体的には、「スマートグラス」というカメラのついたハイテク眼鏡を通じて、作業現地と本庁舎を映像でつなぎ、フィールドワークを支援するクラウド型ソリューションを提供しています。これにより、庁舎で開かれる有識者会でリアルな現地のようすを見てもらうといったことができるわけです。
柿崎 このほか、公共施設などの建屋の内部、丘陵地の斜面といった大きな機材が入りにくい場所も360度の立体映像を用いて撮影、再現し、映像視聴者が見たい場所へ自由に移動・拡大・縮小できる、最先端のツールを用意しています。これにより、遠隔地から現地の視察、調査・点検・監査を実施することができ、現地訪問を伴う業務の生産性が格段に向上します。広域で多様な施設や設備を、限られた人員で保守していかなければならない自治体の現場には、非常に適したソリューションと言えます。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
柿崎 コロナ禍を背景に、自治体においても映像コミュニケーションへの関心は高まっています。ただし、使う目的や使うデバイスはさまざまで、それぞれの利用シーンにあったサービスの選定や環境構築が必要です。当社はNTTグループにおいて映像ソリューションを専門に扱ってきた唯一の会社であり、映像を使った自治体のDX推進を支援できる知見やノウハウが豊富です。DXを推進するにあたっては、いままでできなかったことを実現し、職員も住民も楽しめる業務革新を実現することが当社の使命だと考えています。DX推進を成功させたい自治体のみなさんは、お問い合わせください。
設立 | 平成13年7月 |
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資本金 | 1億円 |
従業員数 | 300人(令和3年4月現在) |
事業内容 | 2001年7月の設立以来培ってきたデータセンターサービスと映像ICTサービスの運用力を強みとして、業務・利用者接点・現場支援のDXを推進するサービスを展開する。データーセンターを主軸としたICTインフラの刷新・持続的な運用に貢献する総合ソリューションをワンストップで提供する。 |
URL | https://www.nttbiz.com/ |
問い合わせ先 | Tel:0120-552294(平日9:00~17:00) Web:https://www.nttbiz.com |
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